2026年に施行される道路交通法の改正では、自転車に関するルールが大きく変わります。
これまで注意や警告にとどまっていた交通違反に対し、反則金を科す「青切符」の制度が適用されるほか、自動車が自転車を追い抜く際の新しいルールも加わります。
本記事では、2026年の改正から自転車利用者に直接影響するポイントをわかりやすく整理し、違反とならないために注意すべき点を解説します。
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2026年の道路交通法改正で「自転車のルール」はどう変わる?
2026年に予定されている道路交通法の改正では、これまで「注意や警告」で済まされてきた自転車の違反行為も、反則金を伴う「青切符」の対象となるなど、利用者にとっては従来よりも厳しいルールが課されることになります。
自転車関与事故の増加と取締りの必要性が背景に
警察庁のデータによれば、自転車が関与する交通事故は年々増加傾向にあり、その多くは「信号無視」や「一時不停止」といった基本的なルール違反が原因となっています。
特に近年は、スマートフォンのながら運転や夜間の無灯火といった危険行為も目立ち、重大事故につながるケースも少なくありません。
これまでは自転車の違反に対して、警告カードによる指導や注意で済ませるのが一般的でした。
しかし、こうした背景を受け、より強い抑止力を持たせるべく、反則金を科す「青切符」の仕組みが自転車にも導入されることになったのです。
道路交通法改正で変更となる主なルール
2026年の改正で、自転車に関する変更ルールで特に注目すべきなのは以下の2点です。
- 青切符の導入
自転車による違反行為に対して青切符を交付できるようになること。
対象となるのは16歳以上で、信号無視や通行区分違反などの行為に反則金が科される。 - 側方通過ルールの新設
自動車が自転車を追い抜く際に「十分な間隔を取る」ことを義務付ける新ルール。自転車の側方通過時に生じる接触事故の防止が期待されている。
これらの新ルールについては、次の章でさらに詳しく解説していきます。
自転車違反に「青切符」が適用
2026年4月1日から、自転車にも「交通反則通告制度(通称:青切符)」が適用されます。
これまでは自動車やバイクなどに限定されていた制度ですが、軽車両である自転車も対象に加わることで、16歳以上の利用者に反則金の納付義務が生じることになります。
16歳以上が反則金の対象に!赤切符との違いは?
青切符は、比較的軽微な交通違反に対して交付されるものです。
交付を受けた人は、指定された期間内に反則金を納付すれば刑事裁判にはかからず、手続きはそこで終了します。
現在の道路交通法だと、16歳であっても信号無視や一時不停止といった軽微な違反は、警察官による指導や「警告カード」の交付だけでした。
一方で、酒酔い運転や危険行為の反復など悪質な違反は、「赤切符」の交付によって刑事罰の対象となる可能性がありました。
つまり、これまでは軽微な違反は「注意・指導」、悪質な違反は「赤切符」という二択しかありませんでした。
しかし2026年以降は、軽微な違反でも16歳以上であれば青切符が交付され、反則金を納める必要があるという点が大きな変更です。
主な違反行為と反則金の額
青切符の対象となる違反は、道路交通法に定められた軽微なものが中心です。
自転車を含む、軽車両の主な違反行為と反則金額は以下のとおり(※)です。
違反内容 | 反則金 |
携帯電話使用等 | 12,000円 |
信号無視 | 6,000円 |
通行区分違反 | 6,000円 |
指定場所一時不停止等 | 5,000円 |
通行禁止違反 | 5,000円 |
歩道通行等義務違反 | 3,000円 |
※参考サイト|福岡県警察
期限内に反則金を納めれば刑事手続きは不要ですが、納付を拒否したり怠ったりすれば刑事手続きに移行し、裁判で罰金や科料を科される可能性があります。
なお、危険行為を3年以内に2回以上繰り返した場合は「自転車運転者講習」の受講命令が出され、従わなければ5万円以下の罰金となることにも注意が必要です。
車が自転車を追い抜くときの側方通過ルールが新設
これまで、自動車が自転車を追い抜く際の具体的な間隔については明文化されていませんでした。
しかし、接触事故や幅寄せに近い危険運転が問題となっていたため、2026年の改正によって「どのように追い抜くべきか」が明確に示されることになりました。
自動車は間隔に応じた安全な速度で通過
自動車が自転車の横を通過するときには、十分な間隔を保つことが義務付けられます。
もし道路の幅が狭く、十分な間隔を取ることが難しい場合には、間隔に応じて安全な速度で走行しなければならなくなります。
このルールは、自転車の横すれすれを高速で通過する「幅寄せ」や「危険な追い抜き」を防止することが目的です。
特に通学時間帯や生活道路では、自転車の急な進路変更や子どもの不安定な運転も想定されるため、速度を落とすことが事故防止につながります。
自転車はできる限り左端通行や徐行・歩行者優先の再確認
一方で、自転車側にも義務が課されます。
道路を走る際はできる限り左端を通行し、歩道を走る場合には徐行して歩行者を優先しなければなりません。
これらは従来から道路交通法で定められている基本ルールですが、側方通過ルールの新設によって改めて強調される形となりました。
自動車と自転車の双方がルールを守ることで、互いの安全がより確保されるようになるでしょう。
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通勤・通学・業務で自転車を使う人が知っておくべきこと
今回の改正で違反に対する処罰が強化されることから、利用者はこれまで以上にルールを守る意識が求められます。
ここでは、日常で気をつけたい安全チェックと、万が一青切符を交付されたときの流れを解説します。
今日からできる5つの安全チェック
自転車利用者がすぐに取り入れられる安全対策を、5つのポイントにまとめました。
- ヘルメットの着用
現状、努力義務ではありますが、頭部を守るヘルメットは命を守る重要アイテムです。 - ブレーキやライトの点検
整備不良は反則金の対象になるだけでなく、事故を防ぐためにも欠かせません。特に夜間はライトの有無で事故リスクが大きく変わります。 - スマホやイヤホンの使用禁止
携帯電話保持で走行すると12,000円の反則金が科されます。操作していなくても「保持」だけで違反になる点に注意が必要です。 - 交差点では一時停止と左右確認
自転車事故の多くは交差点で起きています。一時停止標識の有無にかかわらず、安全確認を徹底しましょう。 - 歩道走行時は徐行・歩行者優先
子どもや高齢者も利用する歩道ではスピードを落とし、歩行者を優先するのが大前提です。
青切符を切られたときの基本的な流れ
万が一違反をして警察官に停止を求められた場合は、次のような流れになります。
- 交通反則告知書(青切符)と反則金仮納付書が交付される
違反の内容や状況に応じて、その場で交付されます。 - 反則金の納付
通常は8日以内に、金融機関などで反則金を納める必要があります。納付すればその違反について刑事手続きは行われません。 - 納付しなかった場合
期限を過ぎても支払わない場合は、刑事手続きに移行し、裁判を経て罰金などの刑事罰が科される可能性があります。
違反の線引きとやるべき対策を確認しておこう
2026年の道路交通法改正により、軽微な違反でも金銭的負担や記録に残る手続きが発生するようになるため、普段からの安全運転が何より大切です。
しかし、
「どの行為が違反になるのかよく分からない」
「万が一青切符を切られてしまったらどうすればいいのか」
と不安に感じる方もいるでしょう。
そのようなときは、弁護士に相談するのも有効な選択肢です。法律のプロに確認しておけば、誤解や不安を減らし、万が一トラブルに発展した場合にも冷静に対応できます。
改正内容を正しく理解し、日々の運転に反映させることで、安全かつ安心して自転車を利用できる環境を整えていきましょう。
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