昨今、電動キックボードの人気が高まっています。
法改正の影響で利用しやすくなったため、通勤や観光先などでも使える新たな移動手段として多くの方が注目しています。
しかし、気軽に乗れる一方で「道路交通法の対象であること」を知らずに利用しているケースも少なくありません。
本記事では、電動キックボードを安全利用するために、公道での走行ルールやヘルメットの着用義務など、最低限知っておきたい法律の基礎知識をわかりやすく解説します。
-
-
電動キックボードの事故事例と賠償リスクは?加害者・被害者になったときの対応方法も解説
電動キックボードは、気軽に使える移動手段として注目される一方、利用者の急増とともに事故報告が増加しているのをご存じでしょうか 歩行者との接触や車との衝突などにより、凄惨な結果を招くケースも少なくありま ...
続きを見る
電動キックボードとは?注目されている理由
電動キックボードは、おもちゃのような見た目ですが、アクセルやブレーキが搭載されており、電気の力で走行できることから、実用的な移動手段として注目を集めています。
近年では、シェアリングサービスの拡大や車両価格の低下もあり、都市部を中心に若年層や観光客の利用が増えてきました。
通勤・通学、ちょっとした買い物など、「徒歩より早く、自転車より手軽」という点が多くの人に支持されている理由です。
2023年の法改正でより身近な存在に
電動キックボードの普及を後押しした要因のひとつが、2023年の道路交通法改正です。
一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として新たに区分され、16歳以上であれば運転免許が不要など、従来よりも利用しやすい環境が整えられました。
ただし、こうした緩和のイメージばかりが先行し、法律上のルールを十分に理解しないまま使用してしまうケースが増えているのです。
外見は「遊び道具」、でも法的には「車両」
電動キックボードは見た目が軽快で気軽に扱える印象がありますが、道路交通法の上では立派な「車両」として扱われます。
公道を走るには一定の基準を満たす必要があり、違反した場合には罰則の対象となります。
特に子供が乗ったり、ノーヘルメットで走行したりすると、重大な事故や法令違反につながるリスクもあるため、利用にあたっては法律の正しい知識が不可欠です。
電動キックボードに適用される法律
電動キックボードは、手軽さとは裏腹に、法律上は「車両」として扱われるため、使用には以下のような一定のルールが定められています。
道路交通法上の扱いと保安部品の設置
2023年7月の改正後、以下の要件をすべて満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」に分類されます。
- 車体の長さ190cm以下・幅60cm以下
- 時速20km以下しか出せない
- 定格出力が0.60kW以下
- 道路運送車両法上の保安基準に適合している
この区分に該当する車両は、ナンバープレートの取得や自賠責保険への加入が義務となります。
また、走行時には車両前後への灯火(ライト)や警音器(ベル)、方向指示器、ブレーキなどの保安部品が設置されていなければなりません。
ナンバー取得・自賠責保険の必要性
特定小型原付に該当する電動キックボードは、たとえ免許不要で運転できるとしても、
- 市区町村でのナンバープレートの登録申請
- 自賠責保険(強制保険)への加入
が必要です。
ナンバーを取得せずに走行すれば、無登録車両の運行として違法ですし、自賠責保険に加入していない状態で事故を起こすと、加害者が多額の損害賠償を負うリスクがあります。
自賠責保険はコンビニや保険会社の公式サイトから手続きが可能で、保険料は年間5,000円前後と比較的安価です。
「ちょっとしか乗らないから大丈夫」と考えるのではなく、万が一を想定して手続きを済ませておくことを推奨します。
電動キックボードが公道を走るときのルール
電動キックボードは、条件を満たせば公道での走行が認められていますが、その際には道路交通法に基づいたルールが定められています。
ここでは、公道を安全かつ適法に走るために押さえておくべき注意点について解説します。
電動キックボードで走行できる場所
電動キックボードが通行できる場所は基本的に車道です。
例外的に歩道の通行が認められるのは、歩道モード(時速6km以下)を搭載し、かつその状態で表示灯を点滅させている場合に限られます。
それ以外の状態で歩道を走行すると、「通行区分違反」として取り締まりの対象になるため注意しましょう。
ヘルメットの着用義務はあるのか
特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードについて、ヘルメットの着用は「努力義務」とされています。
つまり、法律上の義務ではないものの、事故時の被害を軽減するため、着用が強く推奨されているという位置づけです。
命を守る装備として、特に未経験者や通行量の多い道路を走行する際は、必ずヘルメットを装着するよう心がけましょう。
子供は電動キックボードに乗れるのか?
見た目が遊具に近い電動キックボードは、子供にも魅力的に映るものです。
ここでは、子供が電動キックボードに乗れるのか、そして利用にあたってどのような法的リスクがあるのかを解説します。
電動キックボードの年齢制限
2023年の道路交通法改正により、特定小型原動機付自転車の運転には16歳以上であれば免許不要で走行可能となりました。
つまり、15歳以下の子供は法律上、公道で電動キックボードを運転することはできません。
この規定は、シェアリングサービスだけでなく、個人所有の車両にも適用されます。
仮に年齢制限を無視して公道を走行させた場合、子供本人の違反となるだけでなく、保護者や監督者にも責任が及ぶ可能性があるため注意が必要です。
子供が事故を起こした際に発生する責任
電動キックボードによる事故は年々増加傾向にあり、歩行者との接触や交差点での衝突など、重大事故に発展するケースも報告されています。
未成年が加害者となった場合でも、以下のような責任が発生するおそれがあります。
- 民事責任
被害者への医療費、慰謝料、逸失利益など - 刑事責任
重過失による傷害などが問われるケースなど - 行政処分
違反点数や罰金等、交通違反に応じた制裁
また、自賠責保険への加入が義務であるにもかかわらず、無保険状態で事故を起こすと、すべての損害を自己負担しなければなりません。
電動キックボードは便利でも法律へ理解が不可欠
電動キックボードは、手軽で便利な移動手段として注目されていますが、その利用には道路交通法に基づくルールが存在します。
ナンバー登録や自賠責保険の加入、公道走行時のルール、16歳未満の利用禁止など、知らないままでは思わぬ違反や事故のリスクにつながります。
特に子供に電動キックボードを利用させる場合は、保護者としての監督責任も問われるため、慎重な判断が求められます。
もしトラブルに巻き込まれてしまった場合は、法律のプロである弁護士に相談するのがおすすめです。
法律への理解を深めるきっかけにもなってくれるでしょう。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシーと利用規約が適用されます。