「高額報酬」「誰でもできる簡単な仕事」といった甘い言葉に惹かれて応募したバイトが、実は「闇バイト」だった、というケースが急増しています。
もし闇バイトと知らず応募してしまったら、犯罪に加担してしまったら、どうなってしまうのでしょうか?
本記事では、闇バイトの具体例と罰則、さらには個人情報を渡してしまった場合や犯罪行為をしてしまった場合の抜け出し方について解説します。
闇バイトの具体例と罰則
闇バイトはさまざまな手口で勧誘され、一見して犯罪と気づきにくいものも多いですが、実際に関与してしまうと逮捕され、重い罰則が科されるケースがほとんどです。
逮捕後には実名報道される可能性もあり、社会的な信頼や将来の生活にも大きな影響が及ぶでしょう。
以下では、代表的な闇バイトの手口と具体的な罰則について詳しく解説します。
かけ子・受け子・出し子による特殊詐欺
闇バイトの代表的な例として、特殊詐欺が挙げられます。
特殊詐欺は、親族や公的機関の職員になりすまし、被害者を騙して金銭やキャッシュカードを盗む手口です。
この詐欺には「かけ子」「受け子」「出し子」という役割が存在します。
- かけ子…被害者に電話をかけ、金銭を騙し取る
- 受け子…被害者と直接会い、現金やカードを受け取る
- 出し子…受け取ったお金をATMで引き出す役
「電話をかけるだけ」「荷物を受け取るだけ」といった掲載をされている場合が多く、簡単な作業に見えますが、詐欺罪に問われれば、10年以下の懲役に処される可能性があります。
個人宅や店舗に押し入る強盗
闇バイトの中には、強盗行為に関与するものも多いです。
目星をつけた個人宅や店舗に押し入り、暴力や脅迫で財産を奪うことを指し、「運転手」や「見張り役」など、実際に暴力行為をしない役割であっても強盗罪に問われるリスクがあります。
罰則は非常に厳しく、以下の通りです。
- 強盗罪…5年以上20年以下の懲役
- 強盗致傷罪…無期懲役または6年以上20年以下の懲役
- 強盗致死罪…死刑または無期懲役
自分名義で契約する名義貸し
名義貸しも闇バイトでよくある犯罪のひとつです。
名義貸しとは、自分の名義で作った銀行口座や携帯電話の契約を他人に提供する行為を指します。
口座名義などが犯罪に利用されてしまうと、今後銀行での口座開設が難しくなり、実生活に大きな影響を与える可能性があり注意が必要です。
自分名義で契約したものが詐欺に利用された場合、以下の法律違反に該当するおそれがあります。
- 犯罪収益移転防止法違反…1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 携帯電話不正利用防止法違反…50万円以下の罰金
荷物運び・荷物受け
いわゆる「荷物運び」や「荷物受け」も、闇バイトに含まれるケースがあります。
具体的には、指示された場所で現金や薬物、携帯電話などを受け取り、指定の場所まで運ぶものです。
荷物の内容が違法物である場合には、知らなかったとしても「詐欺罪」や「違法薬物所持に関連する法律違反」に問われる可能性があるため注意が必要です。
例えば、覚醒剤所持・譲渡であれば10年以下の懲役、大麻所持・譲渡であれば5年以下の懲役に処される可能性があります。
運ぶだけ、受け取るだけのバイトには危険が潜んでいると考え、簡単に引き受けてはいけません。
闇バイトという犯罪に加担するリスク
刑事罰の他にも、闇バイトという犯罪に加担すると、以下のようなリスクが伴います。
報酬が受け取れない
闇バイトの募集広告では「高収入」や「日給〇万円」など魅力的な報酬がうたわれていますが、実際には報酬が受け取れないことが多々あります。
犯罪組織は信用できる相手ではなく、報酬を支払わないまま指示を出し続けることもあり、約束された報酬は結局手に入らなかったというケースも少なくありません。
また、報酬が支払われるとしても、実際には犯罪行為に対する対価であり、受け取った後も逮捕などのリスクから逃れることができません。
脅迫される
一度でも闇バイトに関与してしまうと、辞めたいと思っても簡単に抜け出せないことが多いです。
応募時に提出した身分証明書や個人情報が利用され、辞めようとすると「住所を知っている」「家族に知らせる」などと脅迫されるケースが報告されています。
特にSNS経由で闇バイトに応募した場合、やりとりは匿名性の高いアプリを通じて行われることが多く、犯罪組織側は簡単に姿を消す一方で、応募者側は逃れられない立場に追い込まれます。
闇バイトから抜け出すには?
一度闇バイトに関与してしまったとしても、被害を最小限に抑える方法はあります。
以下では、闇バイトから抜け出すための具体的な方法についてご紹介します。
個人情報を渡してしまった場合の対策
闇バイトに応募する際に、身分証明書や連絡先などの個人情報を提供してしまった場合、後々脅迫の材料として利用されることがあります。
しかし、すでに個人情報を渡してしまっていても、警察に相談すれば保護を受けることが可能です。
警察側も「勇気を持って抜け出してほしい」と呼びかけています。闇バイトから抜け出したい場合や、脅迫を受けている場合は、警察相談「#9110」ダイヤルし、保護を求めましょう。
犯罪行為をしていても自首で罪は軽くなる
もし犯罪行為に関わってしまった場合でも、自首することで処罰が軽減される可能性が高くなります。
自首は、自らの罪を認め反省を示す行為として評価されるため、刑が軽くなるケースがほとんどです。
すでに警察による捜査が開始していても、任意出頭によって減刑を受けられる場合もあります。
反省と誠意を示し、警察に協力する姿勢を見せましょう。
弁護士に頼るのも良い方法
闇バイトから犯罪に関与してしまった場合、弁護士に相談・依頼するのも良い方法です。
弁護士は、具体的に以下のようなサポートを行うことが可能です。
示談交渉による穏便な解決
弁護士であれば、被害者が警察へ届け出るより早く示談を成立させることも可能です。
また、すでに被害届提出後であっても被害弁償などを行い、示談を成立させることができれば、被害届の取り下げに加え、検察官が不起訴処分を下す可能性が高くなります。
刑事弁護によって減刑をサポート
犯罪に加担してしまったとしても、弁護士は減刑するための弁護活動を行います。
例えば、闇バイトに加担した経緯や脅迫の有無、反省の態度などを裁判などで主張し、不利な判決がでないようサポートすることが可能です。
刑事弁護によって執行猶予が付与される可能性が高まり、日常生活への早期復帰が期待できます。
取り調べに対しての的確なアドバイス
闇バイトによる犯罪は、各々の役割や利益の分配などが刑事罰を決める上で重要です。
そして、これらの立証には警察の取り調べによる供述も含まれています。
すべての取り調べは書面化されるため、気づかぬうちに自身に不利な供述をしてしまえば、後になって取り返しがつかなくなってしまいます。
しかし、弁護士であれば、取り調べに対して的確なアドバイスをしてくれるため、不利な供述が書面化される心配がなくなります。
疑わしい場合はすぐに行動を
闇バイトは、巧妙な手口で募集され、知らずに関与してしまった場合も重い罰則が科せられるだけでなく、社会的な信用や将来の生活に深刻な影響を与えるリスクがあります。
万が一、闇バイトに関わってしまった場合や、個人情報を渡してしまった場合は、迷わず警察に相談することが最善です。
また、すでに犯罪行為に加担してしまったとしても、自首によって罪が軽くなる可能性があります。
弁護士への相談も有効な手段であり、刑事弁護を通じて、可能な限りの減刑を目指すことができるでしょう。
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