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民泊のインバウンド対策はどう始める?3種類の民泊と手続きの方法

民泊のインバウンド対策

インバウンド需要の急増により、民泊が注目されています。

日本政府観光局の調査(2023年)によると、訪日外国人旅行者の数は、年間2500万人を突破しており、大きなビジネスチャンスとなっています。

民泊を成功させるためには、必要な法的手続きを踏むことや、適切な準備を行うことが不可欠です。

本記事では、

  • 民泊の定義や種類
  • 関連する法律
  • 始めるために必要な手続き

などを取り上げました。

民泊の始め方が知りたい方は、是非ご一読ください。

民泊とは?

インバウンド_イメージ

最初に、民泊の概要を説明します。
「民泊の定義」「民泊が増加している理由」について見ていきましょう。

民泊の定義

民泊とは、個人が所有する一般住宅やマンションの一部を、旅行者に短期間貸し出す宿泊サービスです。
サービス提供側、利用者側、それぞれにホテルや旅館と異なるメリットがあるため、注目されています。

サービス提供者のメリット

  • 大掛かりな設備が不要
  • 旅館やホテルより開始しやすい
  • 規制が緩和されている

利用者のメリット

  • 安価で宿泊できる
  • 地域ならではの生活体験ができる
  • 地元の文化や習慣を直接感じることができる

民泊が増加している理由

民泊の需要が増加している背景には、3つの要因があります。

  1. インバウンド観光客が増加している
  2. 多様な宿泊ニーズへ対応しやすい
  3. コストの面でメリットが大きい

それぞれ見ていきましょう。

インバウンド観光客が増加している

近年、訪日外国人旅行者(インバウンド)が大幅に増加しており、観光地のホテルや旅館だけでは、宿泊需要を満たせない状況が生じています。

これに対応するため、多くの地域で民泊が広まっています。

多様な宿泊ニーズへ対応しやすい

外国人旅行者の中では、一般的なホテルや旅館に宿泊するだけでなく、地域住民との交流や地元の文化体験を求める傾向が強まっています。

こうしたニーズに応えることができるのも、民泊の大きな特徴です。

コスト面でメリットが大きい

一般的に、民泊はホテルに比べて宿泊費が安い場合が多いです。

特に長期滞在をしたり、大人数で旅行をする場合、民泊は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

インバウンドに対応するには?3種類の民泊

民泊_イメージ

民泊には「簡易宿所」「特区民泊」「新法民泊」という3つの宿泊形態があります。

それぞれの特徴について説明します。

簡易宿所(民宿やゲストハウスなど)

簡易宿所は、旅館業法に基づいて運営される宿泊施設です。

例えば、民宿やゲストハウスなどがこれに含まれており、利用者が安心して利用できる施設として人気の宿泊形態です。

簡易宿所を運営するためには、「構造設備基準」などを満たす必要があります。

構造設備基準

  • 客室の広さ
  • 照明
  • 洗面設備やトイレ
  • シャワー室
  • 玄関(フロント) など

他にも、都市計画法建築基準法消防法など様々な法律に適合しているかの確認が必要です。

簡易宿所は、3つの民泊の中でも、特に手続きのハードルが高い宿泊形態です。

特区民泊(一部の地域のみ)

特区民泊は、国家戦略特区でのみ認められている民泊形態です。

  • 規制が緩和されている
  • 地域が限定されている

といった特徴を持っており、簡易宿所よりも、開始するハードルが低くなっています。

規制が緩和されている

特区法に基づき、通常の民泊規制が一部緩和されています。

より多くの観光客を受け入れるため、政府が必要と判断した地域について、民泊を始めやすくしているのです。

地域が限定されている

特区民泊は、国家戦略特区として指定された地域でのみ運営が可能です。

国家戦略特区(2024年6月時点)

  • 東京都大田区
  • 千葉市
  • 新潟市
  • 北九州市
  • 大阪府(堺市、東大阪市、高槻市、豊中市、枚方市、吹田市以外)

地域ごとに異なる認定基準が設けられており、それに従って運営する必要があります。

特区民泊は、地域の観光振興や経済の活性化を目的としている宿泊形態です。

新法民泊(最も手軽)

新法民泊は、「住宅宿泊事業法」に基づく民泊形態で、最も手軽に始めることができます。

「オンライン届出可能」「年間営業日数の制限」といった特徴があります。

オンラインで届出できる

新法民泊は、オンラインでの届出を行うだけで営業を開始できます。

初めて民泊を運営する人にとっても、始めやすい形態の民泊です。

年間営業日数が制限されている

新法民泊には、年間180日以内という営業日数の制限があります。

長期的な宿泊需要には対応しづらいですが、短期間の宿泊には適しています。

【種類別】民泊の始め方

新法民泊_イメージ

ここでは、各民泊の始め方について解説します。

「簡易宿所」「特区民泊」「新法民泊」に分けて、それぞれ見ていきましょう。

簡易宿所

簡易宿所は、次の手順で始めることができます。

  1. 物件の選定
  2. 保健所への申請
  3. 施設の検査・審査
  4. 許可の取得

まずは、宿泊施設として適切な物件を選び、都市計画法や建築基準法に違反していないことを確認しましょう。

物件が決まったら、必要な書類(平面図、設備詳細、衛生管理計画など)を保健所に提出して、審査・検査を受けます。

審査・検査では、保健所の担当者による現地確認が実施され、基準を満たしているかがチェックされます。

特区民泊

特区民泊は、次の手順で始めることができます。

  1. 特区地域の確認
  2. 申請書類の準備
  3. 自治体への提出
  4. 認定の取得

まずは、特区民泊が認められている地域なのか確認しましょう。

該当地域であることが分かったら、申請書類(物件情報、運営計画、設備状況)を準備して、自治体に提出します。

自治体の審査に合格すれば、認定書が交付されて、民泊を開始することができます。

新法民泊

新法民泊は、次の手順で始めることができます。

  1. 必要書類の準備
  2. 届出の提出(オンラインでもOK)
  3. 届出の完了

新法民泊は、都道府県に対する届出だけで開始することができます。

オンラインで手続きを完結できる上、必要書類を準備して、届出をするだけで、簡単に開始できるのです。

ただし、届出前には必ず次の事項を確認しましょう。

  • 住宅宿泊事業が許可されている物件か
  • 転貸が許可されているか
  • マンション管理規約で、住宅宿泊事業が禁止されていないか

簡単に始められる一方で、上記のような確認を怠ると、大きな問題に発展しやすいのが「新法民泊」です。

トラブル無く営業できるように、事前確認はしっかりと行いましょう。

まとめ

民泊は、インバウンド観光客の増加に対応するための重要な宿泊手段です。

簡易宿所、特区民泊、新法民泊の3つの種類があり、それぞれ始め方や必要な手続きが異なります。

これらの情報をもとに、法律に則った民泊運営を目指しましょう。

民泊を始める場合は、法的なトラブルを避けるために、事前に弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。

専門家のサポートを受けることで、スムーズに民泊運営を開始できるでしょう。

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