など、配偶者の不貞・不倫でお悩みの方もいるのではないでしょうか。
不貞をされた方は、配偶者とその相手に対して慰謝料を請求できます。
そして、慰謝料請求は、不貞当事者に対する、合法で最も効果的なダメージを与える方法でもあります。
慰謝料は自分で請求することもできます。
しかし、中には、慰謝料を請求したら相手に恐喝被害を訴えられたり、慰謝料額の確定、書類の準備、相手が応じない場合の交渉や裁判手続きなど、数々の負担を背負いきれなくなり、請求を諦めてしまう方もいます。
そこで今回は、不貞慰謝料の仕組みに加え、不貞慰謝料を請求する際の弁護士の探し方と選び方のポイント、弁護士費用の相場について解説します。
慰謝料請求は不貞の一番のダメージを与える方法
不貞をされた方の中には、やりきれない思いから相手を脅したり嫌がらせをするなどして、かえってご自身が犯罪行為をしてしまう方もいます。
合法的にダメージを与える一番の方法が、慰謝料請求です。
不貞は犯罪?不貞で慰謝料請求ができる理由
不貞は、犯罪ではありません。
昔は、不貞は姦通罪という犯罪とされていましたが、現在の法律では廃止されています。
そのため、不貞をした配偶者や不貞相手に、罰を加えることはできないのが原則です。
しかし、不貞は犯罪ではないものの、違法な行為です。
法律では、故意(わざと)あるいは過失(うっかり)で違法な行為(不法行為)をして他人に損害を与えた人は、その損害を賠償しなければいけないとされています(民法709条)。
夫婦は、互いに貞操義務(配偶者以外とは性的関係を持たない義務)を負っています。
不貞はこの義務に違反し、貞操権を侵害して配偶者に精神的苦痛を与えた不法行為となるため、慰謝料の対象となるのです。
慰謝料請求が不貞当事者へのダメージになる仕組み
不貞の慰謝料の目安は、夫婦の事情や不貞の程度、離婚するかどうか等の事情によっても変わりますが、おおむね100万円から500万円、最近は200万円程度が相場とされています。
特に不貞相手が若い場合、数百万円の慰謝料を払うのは大変で、生活を大きく圧迫します。
また、慰謝料請求をする際は、不貞関係の解消や、今後関係を断ち切る約束、約束を反故にした場合のペナルティ等も含めて合意させることも可能です。
相手が直ちに払えばベストですが、もし請求に応じず裁判をする場合は、公開の法廷で、恥ずかしい不貞のやり取りが公開され、当事者が大恥をかく場合もあります。
離婚しない場合に、配偶者に慰謝料を請求すると、夫婦の資産状況によっては家庭の財布を圧迫することもあるので検討が必要ですが、慰謝料請求が合法的な最大のダメージを与える方法であることは間違いありません。
不貞の慰謝料請求を弁護士に相談するメリット・デメリット
不貞の慰謝料は、自分でも請求することができます。
しかし、弁護士に相談することには大きなメリットがあります。
ここでは、弁護士に相談するデメリットも含めてご紹介します。
慰謝料請求を自分でするメリットと手順
不貞の慰謝料は、自分でも請求することができます。
自分で請求するメリットは、費用を最小限に抑えられること、周りに知られず請求できることです。
具体的には、次の手順で請求します。
不貞の相手と、不貞の事実を特定する
慰謝料の請求は、文書で行うのが通常です。
そのため、不貞行為の相手の名前や所在を明らかにしなくてはいけません。
また、不貞の事実は、ぼんやりとしたものではなく、いつ、どこで、どのような行為があったかを特定します。
具体的には、何月何日何時頃、配偶者と不貞の相手が、ラブホテルから出てくるところを目撃した、またはその写真があるといったところまで特定する必要があります。
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慰謝料額を算定する
請求する慰謝料の額を決定します。
あまりにも高額な金額を請求すると、かえって恐喝罪などに問われるリスクもあるので注意が必要です。
このとき、不貞期間の長短や、配偶者と不貞の相手との関係性、不貞の悪質性などの事情も考慮する必要があります。
配偶者と不貞の相手に、内容証明郵便で慰謝料を請求する
内容証明郵便とは、郵便局が、郵便を送った日時、差出人、送り先、文書の内容を証明してくれるサービスのことを言います。
内容証明郵便自体に判決のような拘束力はありませんが、後日相手が支払いを拒み裁判になった場合に、以前から請求していたことの有力な証拠になります。
内容証明郵便には決まった書式があるので、それに従って作成する必要があります。
相手が応じない場合、直接会って示談を行う
相手が支払いに応じない場合、直接会って請求することも一つの方法です。
自宅や個室で行うと、「脅された」などと言われる場合もあるので、静かな喫茶店等、人目のある場所が望ましいです。
通常慰謝料は一括で支払いますが、相手の資力から不可能な場合、分割の支払い方法を取り決めたり、配偶者と二度と会わないと言った約束事を盛り込んで「示談書」にまとめることもできます。
示談書を公正証書にすれば、裁判しなくても強制執行ができるので、相手の支払いが滞った場合に、相手の財産を差し押さえるなどして回収することができます。
それでも応じない場合、裁判を提起する
不貞の相手が対面の交渉でも支払いに応じない場合、裁判を起こすことを検討します。
慰謝料請求は、民事裁判という分野になるので、弁護士を付けずに自分でもすることができます(本人訴訟)。
この場合、まずは最寄りの裁判所に出向いて、訴訟を起こしたい旨を伝えて必要な書類をもらってきましょう。
なお、実際の裁判になる前に、和解という形で合意に達することもあります。
慰謝料請求を弁護士に相談するメリット
上記のように、慰謝料請求を自分で行うのは大変な手間がかかります。
決まった書式・手続を踏む必要がある上、慰謝料請求という権利の行使であっても、やり方によっては恐喝などの犯罪と捉えられることもあるので、請求の方法にも気を付けなければいけません。
その点、弁護士に慰謝料請求を依頼した場合のメリットは多く、次のようなものがあります。
相手の情報が少なくても調べられる場合がある
不貞の相手の情報が少ない場合、個人で調べるのは大変です。
しかし弁護士であれば、慰謝料請求を弁護士に相談、依頼するに当たって、弁護士照会という制度を利用できる場合があります。
弁護士照会とは、弁護士だけができる調査制度で、相手の名前、メールアドレス、電話番号、車のナンバープレート、銀行の口座番号などの情報から、不貞の相手の住所を調べることができる制度です。
とはいえ、フリーメールやLINEアカウントでは弁護士照会でも住所の特定は難しいと言われています。
利用条件もあるので、まずは相談してみましょう。
慰謝料請求できる不貞の事実を特定できる
上記のように、巷では不貞と捉えられやすいキスでは慰謝料請求の対象にならないなど、法律上の概念と一般の概念に差があることは少なくありません。
弁護士であれば、慰謝料請求の対象となる事実を特定し、的を絞った請求が可能になります。
適切な慰謝料額のアドバイスが受けられる
慰謝料額を増減させる事情はさまざまです。
弁護士に相談すれば、不貞の程度や家族の状況などから、適切な慰謝料額のアドバイスを受けることができます。
不貞の相手が無理をすれば払える程度で、相手の生活を圧迫する慰謝料額であれば、不貞をされた側としては、最も効果的なダメージを与える方法にもなります。
依頼すれば、内容証明郵便などの書類を作成してもらえる
弁護士に慰謝料請求を依頼すれば、慰謝料を請求する内容証明郵便の文書を作成し、発送までしてもらうことができます。
決まった形式に則って正確に作ってもらえることはもちろん、弁護士の名前で内容証明郵便が届くと、相手に本気度が伝わり、慰謝料の支払いにも応じさせやすくなる効果があります。
弁護士に交渉の窓口に立ってもらえる
弁護士に依頼すれば、弁護士は本人の代理人という立場になります。
そのため、不貞の相手との交渉も、ご自身で行う必要はなく、全て弁護士がやってくれます。
交渉も、数々の弁護経験に基づいて最も効果的な方法で進めてもらうことができますし、示談の内容も、今回不貞を精算しても、万が一復縁した場合のペナルティや、SNS等で不貞の事実を公表しないことなど、希望の内容を含めて交渉することができます。
慰謝料請求の裁判を代わりに行ってもらえる
不貞の相手が慰謝料請求に応じず裁判になった場合、弁護士に依頼すれば、提訴から裁判の出廷まですべて代わりに行ってもらうことができます。
訴訟を起こすための書類は複雑ですが、弁護士は専門家なので安心して任せることができます。
また、裁判は平日の昼間に行われるため、自分で行うと仕事や生活への支障が免れませんが、弁護士であれば代理人として本人の代わりに出廷できるので、ご自身は日常生活を変わらず送ることができます。
慰謝料請求を弁護士に相談するデメリット
慰謝料請求を弁護士に相談するデメリットとしては、
- どの弁護士がいいか分からない
- 敷居が高くて相談しにくい
- 弁護士費用が心配
という点があげられるかと思います。
この点について、詳しくご説明します。
不貞慰謝料請求に強い弁護士の探し方
弁護士の知り合いがいる、家業に顧問弁護士がついているといった方は多くはありません。
初めてでも相談しやすい、慰謝料請求に強い弁護士を探すために、次のポイントをご参考ください。
慰謝料請求に強い弁護士を探す5つの方法
弁護士を探す方法として次の5つの方法があり、それぞれメリットがあります。
知人の紹介
もし、友人等に不貞問題で弁護士に相談した人がいれば、その弁護士を紹介してもらうのも有効です。
弁護士の人柄、事務所の雰囲気、弁護士費用などの情報を事前に知ることができるので、相談のハードルが下がります。
なお、弁護士には守秘義務があるので、ご自身の相談内容が、紹介者である友人等に漏れることはありません。
法テラスの相談窓口を利用する
法テラスは、国が弁護士会と協力して各都道府県に設置している法律の相談の窓口です。
各都道府県の県庁所在地と、大都市の場合は複数の街に設置されています。
経済的に厳しい人は無料で相談できたり、依頼をした際も民事扶助制度という弁護士費用のサポートを受けられる場合もあります。
弁護士は交代で対応しているので、自分で弁護士を選ぶことはできませんが、利用しやすいメリットは大きいです。
電話帳を利用する
電話帳の「弁護士」欄には、その地域の弁護士が掲載されています。
昨今、電話帳が既に自宅にないという方もいるかもしれませんが、近隣の弁護士を探しやすいこと、また広告掲載に際して審査があるので安心できるメリットがあります。
インターネットで探す
ネット検索するメリットは、悩みに沿った弁護士を探せる点、ホームページから事前に情報を収集できる点にあります。
ただ、最近はどの事務所もホームページを作っているので、情報が多く、弁護士が見つけにくいという声も聞きます。
そのような場合は、「不貞」「弁護士」「相談」「慰謝料」「お住まいの都道府県」など、何を知りたいのか、どんな弁護士に相談したいのかといった検索キーワードで絞り込むことで、希望に合った弁護士が見つけやすくなります。
また、特定の専門分野に特化したポータルサイトには、弁護士の情報がまとめられているので、あわせて利用してみると良いでしょう。
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不貞慰謝料請求に強い弁護士を探す際のポイント
特にインターネットで弁護士を探す場合、膨大な情報が溢れています。
その中から不貞慰謝料に強く、信頼できる弁護士を探すためには、次の点に留意してください。
弁護士会の登録があること
弁護士は、日本弁護士連合会(日弁連)と各都道府県の弁護士会に登録しなければ活動できません。
ホームページを出している以上、きちんと登録されていることは前提ですが、念のため弁護士名や法律事務所名を日弁連のホームページで検索して確認しておくと安心です(ひまわりサーチ)。
不貞問題の知識・経験があること
ホームページで見るべきポイントは、不貞に関する解説がきちんと書かれているか、その説明が分かりやすいかという点です。
難解な法律問題を分かりやすく解説しているかどうかは、相談のしやすさにもつながります。
また、不貞慰謝料問題の解決実績があるかもホームページを確認してみましょう。
ホームページ以外にも、Googleの口コミも参考になります。
弁護士の人柄が合うこと
弁護士に相談や依頼をしてベストの結果につなげるためには、弁護士と信頼関係を築けるかが大切です。
そこで、弁護士の人柄や相性が良いことは重要なポイントです。
不貞慰謝料の交渉や、訴訟の方針など、弁護士によって異なることも多いので、ご自分の意見を伝えやすいか、考え方があうかといった点を、相談を通して見極めることが大切です。
弁護士費用が明瞭であること
法律相談は無料のところもありますが、実際に不貞慰謝料を弁護士に依頼する場合は弁護士費用が掛かります。
着手金、報酬金、日当などの費用がホームページに明示されている弁護士、法律事務所が安心です。
また、法律相談の際に依頼した場合の見積もりを依頼し、それを踏まえて検討することをお勧めします。
問題ある行動で懲戒処分を受けていないこと
弁護士の活動に問題があったり倫理違反があると、弁護士会から懲戒処分を受けることがあります。
理由は、依頼者のお金を着服した、裁判の期日を何度もすっぽかした、依頼者の情報を漏洩した等さまざまです。
弁護士の懲戒処分は、日弁連が発行している「自由と正義」という書籍やネット検索すると出てきます。
時には、事務職員のミスで弁護士が懲戒を受けるなど、懲戒処分が不当に厳しいと思われる場合もあるので、懲戒処分の有無だけではなくその理由も見て、相談・依頼するのに信頼できるか判断する一資料として検討するとよいでしょう。
不貞慰謝料請求を依頼した場合の弁護士費用の相場
弁護士に不貞の慰謝料請求を相談した場合、どのくらいの費用が掛かるのか心配な方も多いのではないでしょうか。
弁護士に相談、依頼した場合の費用は、おおむね以下が相場となりますので参考にしてみてください。
法律相談料
法律相談料は、相談だけした場合にかかる費用です。
初回は無料のところも増えています。
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有料の場合は、30分5000円、1時間1万円のところが多いです。
これは、公的な法律相談の場である法テラスで、有料相談になった場合の費用と同じです。
着手金
着手金は、弁護士に事件を依頼した時点でかかるお金のことです。
弁護活動の成功・不成功に関わらず発生します。
着手金は、弁護士により異なりますが、慰謝料請求では、おおむね10万円から30万円が相場といえます。
金額によって差があるのは、不貞の相手に交渉するだけでよいのか、裁判を予定しているのかによって異なるためです。
また、弁護士によっては着手金が無料で、回収できた慰謝料額のパーセンテージに応じた報酬しかとらないところもあります。
成功報酬
報酬金は、弁護活動で成果を上げた場合に発生するお金です。
報酬金の相場は、弁護活動の内容や、計算方法によっても異なります。
現在は撤廃されていますが、以前導入されていた弁護士会の旧報酬基準が、今でも弁護士費用の相場の目安になっています。
これは、経済的利益(請求額または回収した慰謝料額)に応じて段階的に報酬が決められており、以下のようになっています。
- 300万円以下の場合:16%
- 300万円を超え3000万円以下の場合:10%+18万円
- 3000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円
- 3億円を超える場合:4%+738万円
他にも、希望の慰謝料額を回収できた場合に、20万円から50万円の一定の成功報酬を決めていたり、経済的利益の20~30%と固定して決めている弁護士・法律事務所もあります。
実費
実費とは、郵送代や裁判所に出向いた際の交通費など、弁護士が立て替えて実際に発生した費用を言います。
日当
日当とは、弁護活動の都度生じる手数料のことをいいます。
例えば、不貞相手と交渉するために喫茶店に出向いたり、裁判所に出向いた際の「出張日当」、実際に裁判で法廷に立った際の「公判日当」などがあります。
日当は、「出張1回●万円」と一律で決めている場合や、出張先までの所要時間で計算する場合、弁護活動に要した時間に応じたタイムチャージ制を取っている場合などさまざまです。
上記のように、実際の活動でかかる費用はかなり変わるので、まずは法律相談に出向き、依頼した場合の見積もりを出してもらうことをお勧めします。
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不貞慰謝料の請求を検討している場合は弁護士に相談を
配偶者の不貞を知った場合、ショックで何も手につかなくなる方もいるかと思います。
不貞されて辛い思いをしたときに、法的な手続きを調べたり、不貞相手と向き合うなど、さらにご自分を追い込む必要はありません。
泣き寝入りしたくない、慰謝料請求をしたい場合は、まずは弁護士に相談してください。
慰謝料請求は自分でもすることができますが、適切な書式を用意したり、感情を押し殺して不貞の相手と冷静に交渉するのは負担の大きいものです。
弁護士であれば、過去の裁判の事例を参考に、依頼者の事情にあった適切な金額の慰謝料額を算出し、最も適した方法で相手に慰謝料を請求できます。
また、相手が素直に応じなかった場合でも、弁護士に任せれば、全て代理人として代わりにやってもらえるので、ご自身は今まで通りの生活を送ることができます。
配偶者に不貞をされて、慰謝料請求でお悩みの方は、不貞問題に強い弁護士にまずはお気軽にご相談ください。
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