デジカメや携帯・スマホのカメラ機能で手軽に映像を撮影できる昨今、恋人などの性的な姿を映像に撮ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
軽い気持ちで、あるいは嫌々ながらでも撮影を許してしまうと、相手と別れた後に性的な映像をインターネット上に公開されてしまうことがあります。
このような、いわゆるリベンジポルノの被害に遭うケースは年々増加し続けています。
過去には殺人などの犯罪にまで発展した事例もあり、事態は深刻です。
実際にリベンジポルノの被害に遭った場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
この記事では、性的な映像の公開・拡散を止める方法や、相手に慰謝料を請求する方法など、法的な対処法を解説していきます。
リベンジポルノの被害に遭って悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
インターネットにおけるリベンジポルノとは
リベンジポルノとは、別れた恋人や離婚した元配偶者が、別れたことに対する腹いせや嫌がらせなどの目的で、相手の性的な画像や動画をインターネットに無断で公開することをいいます。
被害者のおよそ9割が女性です。
また、性的な画像や動画をネットに公開すると告げて脅迫する行為も、「リベンジポルノ」に含まれます。
公開先はネット上の掲示板やSNSなど、様々な場所があります。
リベンジポルノによる被害は極めて深刻
裸の画像や動画がネットに公開されると、それだけで以下のような被害を受ける可能性が高いです。
- 現在の彼氏や夫に見られて、関係を解消される
- 職場の同僚など仕事関係者に見られて仕事がやりにくくなる
- 勤務先の風評が害されることを理由に退職に追い込まれる
- 近所の人に見られて、暮らしにくくなる
- 家族や親戚に見られて、気まずくなる
- 就職に支障をきたしたり、将来の夢が絶たれることもある
リベンジポルノの被害は、恥ずかしい姿を見られることによる被害だけにとどまりません。
以下のような深刻な被害に発展することもあります。
- 元彼や元夫から性的な映像を公開すると脅されて、肉体関係を強要される
- 同じように脅されて、金銭を要求される
また、元彼から性的な映像を公開して復縁を迫られ、応じなかったところ殺害されたという凄惨な事件(三鷹ストーカー殺人事件)も発生しています。
このように、リベンジポルノによる被害は極めて深刻です。
実際に公開されたり、公開すると脅されている場合は早急に対処する必要があります。
リベンジポルノの被害に遭った場合の対処法
リベンジポルノの被害に遭ったら、まずは公開された映像を急いで削除しなければなりません。
それから、相手に対して刑事上・民事上の責任を問うことになります。
リベンジポルノ画像・動画を削除する方法
リベンジポルノ画像や動画がインターネットで公開される先は、5ちゃんねるのような掲示板や、その他の画像掲示板やブログ、SNSなど多岐にわたります。
基本的に、どの媒体にも不適切な投稿を通報する窓口が設けられています。
リベンジポルノ画像や動画が投稿されているのを見つけたら、まずはその媒体から削除を依頼する旨を送信しましょう。
性的な投稿を禁止している媒体ならかなりの確率で削除してくれますし、アダルト系の媒体であっても最近はリベンジポルノの問題を重視しているので、ある程度の確率で削除に応じてもらえます。
もし削除してもらえなかったり、削除依頼を送信する窓口が設けられていない場合は、プロバイダに削除を依頼することになります。
プロバイダを特定する方法は、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
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また、「一般社団法人 セーファーインターネット協会」というところでリベンジポルノ被害の相談を受け付けており、無料で削除依頼の代行もしてくれます。
100%の削除を保証してくれるわけではありませんが、削除率90%以上の高い実績を持っているようです。
自分で削除依頼をするのが不安な場合は相談してみるのも良いでしょう。
リベンジポルノ犯人の刑事上の責任を問う方法
他人の性的な画像や動画を無断で公開することは、それだけでれっきとした犯罪になります。
平成26年11月から「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」という、いわゆる「リベンジポルノ防止法」が施行されているので、この法律によって処罰されることがあります。
その他にも、リベンジポルノは以下の犯罪に該当する場合があります。
- わいせつ物公然陳列罪
- 児童ポルノ公然陳列罪
- 名誉毀損罪
また、前述したように性的な画像や動画を公開すると告げられて脅迫や強要を受けている場合は、以下の犯罪も成立する可能性があります。
- 脅迫罪
- 強要罪
- 恐喝罪
- 強姦罪
- 強制わいせつ罪
犯罪に該当していると思われる場合は、警察に相談しましょう。
警察は動いてくれないこともある
警察に相談しても、被害が軽微だと判断されて動いてもらえない場合があります。
ある程度の被害を理解してもらえても、人手不足などの理由ですぐには動いてもらえない場合もあります。
警察はそもそも、立件して犯人を処罰できる見込みがある事案でなければ動いてくれないという面があります。
そんな場合でも、弁護士を通じて告訴などを行うと警察の対応が変わることがあります。
警察の対応に納得できない場合は、弁護士に相談してみるのも良いでしょう。
弁護士の探し方は、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
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二次被害が心配な方へ
警察に行って二次被害を受けるのが心配で、なかなか動けないという方もいらっしゃることでしょう。
たしかに、性的な画像や動画を警察官に見られるのは嫌なことでしょう。
また、事情聴取の中で警察官が興味本位な態度で性的なことを尋ねてくるというケースも、以前は見受けられました。
しかし、リベンジポルノの被害を受けているなら、毅然とした態度で警察に相談することをおすすめします。
放置しておくと、性的な画像や動画はインターネット上で表示され続けます。
その画像や動画がリベンジポルノだということが視聴者に知られた場合は、興味本位であっという間に拡散されることもあります。
最近は人権意識の高まりもあり、女性の性犯罪被害者に対する警察の対応もかなり改善されています。
各都道府県の警察本部に「性犯罪被害相談電話」も設けられているので、まずはそこに連絡してみるのも良いでしょう。
番号は全国共通で、短縮ダイヤル「#8103」です。
元彼や元夫の民事上の責任を問う方法
性的な画像や動画を公開した元彼や元夫に対しては、民事上の責任として慰謝料を請求することができます。
単に画像や動画を公開されただけでも、公開された方は恥ずかしい思いをして精神的損害を受けているので、慰謝料の支払いを請求できるのです。
肉体関係や金銭を強要されていた場合には、もちろんその損害の賠償も請求できます。
まずは内容証明郵便を送る
相手に対して慰謝料の支払いを請求する場合は、内容証明郵便で送付するのが望ましいです。
内容証明郵便にすることで、相手に心理的なインパクトを与えることができますし、後に裁判をするときの証拠にもなります。
内容証明郵便には、慰謝料金額の他にも「画像や動画の公開をやめ、既に公開したものを削除する」など、要望したい内容を盛り込んで書くと良いです。
慰謝料の金額としては、裸の画像や動画を公開された場合は少なくとも100万円以上が認められるのが通常です。
もっと高額が認められる場合も多々あります。
こちらが希望する金額を自由に書いて構いません。
裁判をするときには、ある程度は適正な金額を意識して請求する方が良いですが、内容証明郵便を送る段階では、高めの金額を請求して相手に心理的なインパクトを与えるのも有効です。
また、弁護士の名前で内容証明郵便を送るとさらに相手にインパクトを与えることができるので、おすすめです。
話し合いがまとまらなければ裁判を起こす
内容証明郵便を送っても相手の誠意ある対応がなければ、損害賠償請求訴訟を起こすことになります。
訴訟手続きには複雑な専門知識が必要なので、自分で進めるのはなかなか難しく、弁護士に依頼した方が無難です。
ただ、少額訴訟や調停など、自分でも行いやすい裁判手続きもあるので、費用をかけたくない場合は検討してみるのも良いでしょう。
弁護士費用については、こちらの記事で解説していますので、弁護士に依頼するかどうかの参考にしてください。
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裁判を起こすためには相手を特定しなければならない
リベンジポルノをしている犯人が誰なのかが自分には分かりきっていても、裁判を起こすときには、誰が行っているのかを証明しなければなりません。
相手が事実を素直に認める場合はそれ以上証明する必要はありませんが、相手が事実を否定して争ってくる場合は、相手がリベンジポルノをした事実を証拠をもって証明する必要があるのです。
そのためには、プロバイダから個人情報を開示してもらう手続きが必要になります。
プロバイダから個人情報を開示してもらう手続きについては、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
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リベンジポルノの被害を受けたら早めに弁護士に相談を
リベンジポルノの被害を受けると、何をどうしていいか分からなかったり、相談できる相手もいなかったりして1人で悩んでしまうことになりがちです。
しかし、悩んで時間が経過すればするほど画像や動画が拡散されて、さらに被害が深刻化しやすいのがリベンジポルノの特徴です。
対処すべきことはたくさんありますので、弁護士のアドバイスに従って、冷静に一つひとつ進めていくことが大切です。
相談するのに勇気が必要かもしれませんが、一刻も早く被害を食い止めるために、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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