埼玉県では年間約6万件程度の事件が発生しており、川越市でも窃盗や暴行といった刑事事件が一定の頻度で起こっています。
全体の犯罪件数は年々減少傾向にあるようですが、凶悪犯罪が増えるなど、普通に生活していても何らかの事件に巻き込まれる可能性は十分あります。
当然、被害者になる可能性もありますが、逆に自分や家族が期せずして加害者として逮捕されてしまった…そんな日が来てしまうかもしれません。
そういった万が一に備えて、逮捕されてしまった場合の適切な対応を知っておくとともに、すぐに弁護士に連絡するメリットについて理解する必要があります。
以下で説明しますが、弁護士ならば取調べ期間中でも被疑者に自由に面会できるほか、準抗告といって、裁判所や警察・検察の決定に対して、取り消しや変更を求めることができ、接見禁止の解除も求められます。
逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談することが被疑者が不利にならない唯一の方法といっても過言ではないのです。
逮捕後のプロセスと弁護士による接見
川越で逮捕された場合、そのまま川越警察署に連行されて取調べを受けることになりますが、被疑者やその家族にとって気になるのは「面会はできるのか?」ということでしょう。
特に被疑者の家族にとっては事件の状況や今後の展開などがわからないため、何としても被疑者本人に会って話を聞きたいと思うはずです。
しかし残念ながら、逮捕後の72時間は、たとえ家族であったとしても被疑者本人に面会することはできません。
なぜならば、犯罪の証拠隠滅や共謀を防ぐため、警察や検察が接見を許さないケースがほとんどだからです。
実際、川越警察署に家族が会いに行っても、警察から接見を許されるケースはまずありません。
接見とは何か?
そもそも「接見」とは、逮捕されて身柄を拘束されている被疑者に面会することをいいまず。
窃盗や傷害などの刑事事件で逮捕された場合、被疑者は警察署で最長48時間の取調べを受けた後、さらに検察庁に送致されて24時間の検察官による取調べを受けることになります。
この48時間と24時間(合計72時間)という制限は刑事訴訟法で定められており、警察や検察は何としても事件の証拠を集め、被疑者から自白を含めた事件に関する重要な情報を聞き出そうとします。
そのため、取調べの途中で家族と面会を許してしまうと、共謀して犯罪の証拠隠滅や、場合によっては逃亡の企てをされてしまうおそれから、基本的に逮捕後72時間は家族などの接見が禁止されるケースが多いのです。
なお、被疑者に対して家族などが物品の差し入れを行うことを「交通」といい、被疑者が家族を含めた外部の人間と面会したり、物品の授受を行ったりできる権利を接見交通権といいます。
被疑者に対する物品の受け渡しも取調べ中は拒否される傾向が強く、手紙のようなメッセージのやりとりも受け入れられないケースが多いです。
弁護士による接見は可能
このように、刑事事件で逮捕されてしまうと、取調べ期間中は家族であっても面会ができません。
しかし、家族としては被疑者の様子を知りたいと思うのは当然のことで、孤独な状態にある被疑者を励ましたいと思うでしょう。
そこで、重要となるのが弁護士の存在です。
弁護士ならば、たとえ取り調べの最中であっても被疑者と接見することができ、孤独な状態に置かれている被疑者に法的なアドバイスをすることができます。
刑事事件のプロセスを規定している刑事訴訟法にも、弁護士の接見交通権が認められている旨の条文があります。
『刑事訴訟法39条:身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者~(中略)~と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。』
このように、被疑者は弁護人(弁護士)とだけは、取調べ期間中のいつでも接見ができることが保障されています。
弁護士の接見を通すことで、被疑者の家族も間接的に被疑者本人から話を聞き、事件の概要や今後の展望などを把握することができるのです。
弁護士ならば警察官の立会いなしで面会できる
被疑者との面会といっても、警察関係者の監視の下で面会しなければならないと思っている人は多いようです。
しかし、上述の刑事訴訟法39条に『立会人なくして接見』とあるように、弁護士は警察や検察の監視の下に置かれることなく被疑者と接見ができます。
そのため、被疑者は無罪を主張したり、事件についての真実を話すことができるほか、これまで受けた警察の不当な(場合によっては違法な)取り扱いについて訴えることもできます。
というのも、刑事事件の取調べは上述のように時間制限が決まっているため、警察官は被疑者から自白を引き出すために、場合によっては乱暴な言葉で被疑者を罵ったり、人格を否定するような暴言を吐いたりするケースがあります。
実際にそういった不当な取調べが問題になることも多く、そうった事態を防ぐために取り調べそのものを可視化すべきだという運動も盛んです。
長時間孤独な状態に置かれた被疑者が、さらに警察官や検察官から厳しい取調べを受けた場合、自分に不利な証言をしてしまう可能性がありますが、弁護士と接見することで、そういった取調べ状況についても訴えることができるため、捜査官の不当・違法な取調べの抑止にも繋がるのです。
また、取調べ中に弁護士と接見することで、心配している家族への連絡を頼むこともできます。
弁護士ならば勾留後も接見・弁護活動ができる
さらに弁護士ならば、被疑者が勾留後も接見や弁護活動が行えます。
勾留とは検察官による24時間の取調べの後、さらに取調べが必要な場合に被疑者を刑事施設(留置所)に収監することをいい、検察官が裁判所に勾留請求を行うことで許可を受ける必要があります。
勾留が決定すると原則で10日間、そして勾留延長されるとさらに10日間の合計20日間もの期間、被疑者は身柄を拘束されることになります。
そうなると当然、被疑者は社会的に厳しい状態に追い込まれてしまうため、早々に弁護士に接見し、然るべき対策を練る必要があります。
接見禁止になる可能性もある
勾留期間に入ると、家族でも被疑者に接見できるようになるのが通例で、この時点で初めて被疑者と顔を合わせることができます。
しかし事件によっては、勾留後も裁判所から接見禁止が言い渡されるケースがあり、面会はおろか手紙のやりとりなどの交通も禁止されることがあります。
『刑事訴訟法81条:裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは~(中略)~接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。』
このように、裁判所は被疑者が逃亡したり罪証(つまり事件の証拠)を隠蔽する可能性があると考えられる場合、勾留中でも接見や外部との物品のやりとりを禁じることができると規定されています。
接見禁止は被疑者への人権制限ですので、正当な理由がない限りは行うことができないのが原則で、当然ながら事件の取調べや捜査とは関係のない食料の差し入れなどを禁じることはできないとされています。
接見禁止になりやすいケースと禁止期間
接見禁止になりやすいケースとしては、まず共犯がいる事件の場合が考えられます。
被疑者が家族に依頼して身の回りの証拠品を処分させるといった可能性が考えられる場合や、口裏を合わせて虚偽の証言などを計画するおそれのある場合など、事件の性質や状況によって判断されます。
また、犯罪グループが背景にいるような事件の場合、被疑者が(まだ逮捕されていない)共犯者を使って事件の被害者や関係者を脅迫することも考えられるため、そういった可能性が考えられる事件では接見禁止が言い渡されるケースが多いです。
接見禁止の期間に制限はなく、捜査が終了して被疑者が起訴されるまで続くのが一般的です。
ただし、事件の捜査状況によって被疑者の逃亡や共犯者との共謀などが考えられなくなったケースなどは起訴前に接見禁止が解除され、制限つきではあるものの、ある程度自由に接見できるようになることもあります。
接見禁止下でも弁護士ならば接見できる
このように、被疑者が勾留されてからも裁判所の判断で接見禁止が言い渡されるケースがあり、起訴されるまでの間、家族が面会できない状況になる可能性もあります。
そうなると、起訴されてしまうまで家族は一度も被疑者本人と面会できず、長い間心配を抱えることになってしまいます。
しかし、そんな状態でも弁護士ならば問題なく接見ができ、捜査官の立会いなしで被疑者と今後の対策について相談できます。
接見に関しては時間制限もないため、被疑者の孤独な精神状態を和らげつつ、法的なアドバイスを与えることができるため、勾留中の被疑者にとって弁護士は唯一頼れる存在といえます。
弁護士ならば準抗告や接見禁止解除の申し立てもできる
特に弁護士に依頼するメリットとしては、裁判所の出した接見禁止命令に対して異議申し立てをして禁止状態を一部解除させたり、準抗告を行うことができる点も挙げられます。
弁護士は裁判所に対し、勾留中の被疑者に対して接見禁止にする必要性や正当性がないことを主張することで、接見禁止の一部分を解除させ、家族との接見や手紙などのやりとりを認めさせられる場合があります。
たとえば、上述のように組織犯罪など共犯者がいる可能性の高い事件の場合、共謀して事件の証拠を隠滅するおそれから接見禁止が言い渡されるケースがあります。
しかし弁護士が被疑者の家族と事件の関連性がないことを裁判所に認めさせることで、家族だけは接見が認められるといった可能性があります。
また、冒頭でも述べたように、接見禁止の解除のために準抗告も可能で、刑事訴訟法にもその旨が規定されています。
『刑事訴訟法429条:裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は~(中略)~その裁判の取消又は変更を請求することができる。』
上記429条の『左の裁判』に当てはまる事柄の一つとして『勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判』があり、弁護士は勾留の決定とともに下された接見禁止の決定についても異議申し立てを行えるのです。
それが認められれば、通常の勾留と同じように、被疑者は家族と接見が可能になります。
川越市で発生した事件と接見
それでは川越市で発生した事件を例に、接見のメリットについてみていきましょう。
(※事件は実際に起こったものですが、捜査後の状況について一部フィクションとなっています。)
2014年、川越市で女子生徒を蹴って負傷させたとして、40代の作業員の男が逮捕されました。容疑は傷害です。
男は川越警察署で取調べを受け、その後検察に送致されて取調べを受けましたが、早期の弁護士との接見により、事件当時から明確な受け答えができないほどの精神状態だった可能性が主張され、刑事責任能力の問題から不起訴処分となりました。
このように、逮捕後すぐに弁護士に相談することで、被疑者が不当に不利な状況に陥らないように取り計らってくれます。
弁護士への依頼は被疑者の家族でもできますから、大切な身内が逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に連絡しましょう。
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川越で逮捕された場合のプロセスと接見について解説してきました。
逮捕後の72時間はたとえ家族であったとしても被疑者と接見することはできません。しかし弁護士ならば、取調べ中や勾留中の接見禁止が言い渡された状態でも、自由に接見することができます。
刑事事件のどのプロセスであっても、被疑者(被告人)には弁護士を選任する権利が与えられていますから、事件に巻き込まれたらすぐに弁護士に連絡して来てもらうことが重要です。
川越の場合は、川越警察署にすぐ来てもらえる弁護士事務所の連絡先を知っておきましょう。
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