犯罪別 薬物

大麻所持で逮捕されたらどうなる?まずは弁護士に相談しよう

2018年12月26日

大麻所持

2004年、当時18歳の少女達を自宅に住まわせて売春させていたとして、埼玉県川越市に住む飲食店経営者が逮捕され、大きな話題となりました。

※出典:自宅で少女ら住まわせ管理売春 容疑の29歳男ら5人を逮捕

昨今、こういった売春事件が社会問題となっており、川越をはじめ検挙数も増加していますが、それに伴って未成年の大麻所持も問題となっていることをご存知でしょうか?

同事件でも関係者の自宅を捜索したところ、中学3年生の女子生徒ら2人が乾燥大麻を所持していたことがわかり、売春容疑に加えて大麻取締法違反容疑で逮捕されています。

大麻や覚せい剤に関する事件では、このように中学生や高校生などの未成年が巻き込まれるケースが増えているほか、売春などのように他の犯罪とともに摘発されるケースが相次いでいます。

子供をもつ親としては、わが子がこういった犯罪に関わらないように願うばかりですが、それでも大切な家族が薬物事件に絶対に巻き込まれないとは限りません。

万が一に備えて、大麻などの薬物で逮捕されたときの対応について知っておき、すぐに適切な対応をとれるようにしておきましょう。

大麻とは何か?なぜ危険なのか?

大麻埼玉県が公表している情報によると、大麻による検挙者数は、すべての薬物犯罪のうち約11%(平成28年のデータ)であり、覚せい剤に次いで多いのが現状です。

※出典:埼玉県ホームページ

そして大麻に関する検挙者の半数が若年層であり、最終的には覚醒剤の乱用に至るきっかけとなる薬物といわれており、俗に「ゲートウェイ(入り口)ドラッグ」などとも呼ばれています。

特に一戸建てやアパート・マンションの一室で専用の装備を持ち込んで大麻を栽培するケースが多く、未成年者が大麻を栽培して逮捕される事件も起こっています。

大麻の何が危険なのか?

大麻とは一般的にアサ科の植物の大麻草を乾燥や樹脂化、液体化させたものを吸引する薬物のことを指し、特に葉を乾燥させたものはマリファナとも呼ばれます。

大麻は古くから日本の神道の儀式で用いられてきた歴史がありますが、そこに含まれるテトラヒドロカンナビノールと呼ばれる物質が脳の受容体に結合し、多幸感や幻覚作用、学習能力の低下などをもたらすということで、日本では違法な薬物として禁止されています。

ただ、覚せい剤など明らかな危険が薬物とは違い、科学的な研究も不十分ということで、一説には「タバコよりも安全」とか「感覚が研ぎ澄まされる」といった風説が流布されており、それを真に受けて手を出してしまう人は少なくないようです。

しかし、以下の厚生労働省のホームページでも説明されているように、乱用によって社会生活に適応できなくなることもある危険な薬物なのです。

 大麻を乱用すると、記憶や学習能力が低下し、知覚を変化させます。また、乱用を続けることによって何もやる気がしない状態や、人格の変容、大麻精神病等が引き起こされ、社会生活に適応できなくなることもあります。

※出典:厚生労働省ホームページ

増え続ける大麻常習者

煙大麻所持や使用などによる検挙人数は、平成26年以降に増加し続けており、特に10代や20代の検挙人数に占める割合は4割以上となっており、他の薬物に比べても若年層の割合が高いことは注目すべきです。

また、明らかに大麻と認識できる状態で所持しているケースに加え、有害な成分を濃縮した状態で所持していたり、一部食品として加工したものなど、さまざまな状態で隠し持っているケースが報告されています。

そのため、未成年者を含めた若年層のなかには、それが大麻であると気づかずに所持したり、使用していることもあり、知らず知らずのうちに家族が大麻の常習者になってしまう可能性もあるため、少しでも怪しいと感じたら、どんな薬物にも絶対に手を出さないという意識が重要です。

ただ、多くの場合、上述のように「タバコより害がない」とか「依存しない」「アルコールより安全」といった噂を鵜呑みにして使用してしまうケースが多く、特に未成年は先輩や知り合いから薦められるなどの経緯で手を出してしまう場合がほとんどです。

そのため、特に子供をもつ親の方は、日ごろから大麻の危険性について、正しい知識を教えておく必要があるでしょう。

 

大麻を所持しているとどうなるか?

大麻の所持や譲渡(譲受)は、以下のように大麻取締法違反となり法的に罰せられます。

『大麻取締法第3条:大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。』

基本的に都道府県知事の免許を受けた専門の取扱者でなければ大麻の栽培、所持、譲受や譲渡は認められておらず、大麻の輸入・輸出や大麻から製造された医薬品の使用も禁じられています。

もし、これに違反してしまった場合、以下のような罰則を受けることになります。

『大麻取締法第24条第1項(栽培/輸出入):大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。』

『同法第24条の2第1項(所持/譲渡・譲受):大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。』

特に営利目的で大麻の所持や輸出入を行っていた場合は『十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金』となっており、所持や譲受・譲渡などは『七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金』の罰則が科せられます。

大麻の「使用」は罰則の対象外?

ちなみに、現行法では大麻の所持や譲渡・譲受に関しては罰則の対象となっているものの、大麻の「使用」に関しては、特に罰する規定がないことを知っているでしょうか?

2016年に沖縄県で元女優のタレントが大麻取締役違反の疑いで逮捕された際、大麻の使用に関しては認めたものの、所持に関しては言葉を濁してなかなか認めようとしないという事件が物議を醸したことがありました。

これは、大麻の所持は明確に大麻取締法違反となるものの、使用に関しては同法に罰則規定がないことを知っていた容疑者が、罪を免れるためにそういったあいまいな供述をしたといわれています。

なぜ大麻の「使用」に関しては禁止されていないかといえば、大麻草のすべてに有害な物質が含まれているというわけではなく、茎や種子などはほぼ無害で、一部は香辛料などとして利用されているからです。

つまり、一口に「大麻を使用した」といっても、どの部分を口にしたかがわからなければ、なかなか処罰しづらいことや、無害な部分を食べた人を誤って処罰しないようにするためと考えられます。

しかし多くの場合、所持しないまま使用したという状態は考えづらく、ほとんどの大麻常習者は一定量の大麻を所持しているため、使用の有無に関わらず大麻所持の容疑で逮捕されるケースが一般的です。

大麻を「使ってはいたけれど所持はしていなかった」といった言い訳はまず通用しませんから、何よりも手を出さないことが肝心なのです。

大麻所持で逮捕されたらどうなる?

金網と曇り空大麻の危険性と罰則について説明してきましたが、もし親しい人が大麻所持で逮捕されてしまったらどうなるのでしょうか?

他の犯罪同様、大麻所持で逮捕されると、まず警察署に連行されて取調べを受けることになります。川越市内で逮捕された場合は、そのまま川越警察署で取調べが行われるケースがほとんどです。

警察による取調べの期限は逮捕後48時間と決められており、その後はさらに検察庁に身柄を送致されて、さらに24時間の期限で検察官による取調べを受けることになります。

この辺りの流れは、以下の覚せい剤に関する記事で詳しく説明されていますので、そちらを参考にしてください。基本的に同じ流れになります。

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取調べ中は家族は面会できない

警察と検察の取調べは、逮捕後最長で72時間(3日間)行われることになりますが、その間は、たとえ被疑者の家族であっても面会ができません。

そのため、警察署から逮捕された旨の連絡が来ても、検察官による勾留請求が認められて勾留決定が出た後か、または勾留請求されずに釈放されるまで、家族は被疑者自身に合うことができないのが一般的です。

特に大麻などの薬物事件の場合、大麻を手に入れた経緯などを被疑者の友人関係などを含めて徹底的に調べられるため、傷害や窃盗などの犯罪よりも取り調べに時間がかかるケースが多くみられます

また、冒頭でも説明したように、大麻などの薬物犯罪は、覚せい剤などと同様、背後に密売グループなどが関与している可能性が高いため、たとえ未成年者であっても慎重な取調べが行われる可能性があります。

未成年者の場合も長期の身柄拘束の可能性がある

成人の場合、検察官による取調べの後、裁判所が勾留を決定すると、最大で20日間、留置場で身柄を拘束されることになります。

一方、未成年者の場合は検察官から家庭裁判所に送致され、そこでその後の処分のためにさまざまな調査が行われ、最終的には家庭裁判所の審判によって、少年院に入る、家庭に戻される、刑事事件として成人と同様に刑事事件として取り扱うか等が決まります。

このあたりの未成年者の刑事事件のプロセスに関しては、詳しい流れを以下の記事で説明していますので、こちらもご覧ください。

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家庭裁判所でどういう審判が下されるにせよ、身柄を拘束されることで日常生活に大きな支障が出てしまうことになりますから、家族の方は早急に対策をとる必要があるのは間違いありません。

大麻所持で逮捕されたら、すぐに弁護士に連絡する

祈る女性それでは、もし自分の大切な家族が大麻に関する事件で逮捕されてしまったら、どうすればよいのでしょうか?

結論をいえば、すぐに弁護士に連絡をとって適切な対応をしてもらうことが重要となります。弁護士に相談する時期が早ければ早いほどベターです。

弁護士に相談するメリットとしては、まず取り調べ期間中のいつでも被疑者本人と面会でき、その後の対応について相談に乗れる点が挙げられます。

上述のように、取調べ期間中の72時間は、たとえ家族であっても面会できないのが普通ですが、弁護士ならばいつでも監視なしで被疑者本人と合って話を聞き、法的な視点から適切なアドバイスが可能です。

長期間の取調べで精神が弱ってしまっている被疑者が多いですから、唯一の面会者として励ましつつ、適切なサポートが期待できます。

特に精神が未成熟な未成年者の場合は精神的なケアが必要不可欠ですから、できるだけ早めに弁護士に相談することが重要となります。

弁護士に法的なアドバイスを得る

特に薬物が絡む事件の場合、傷害事件などとは違って被害者は存在しないため、被害者側と示談するなどして起訴や重い処分を免れるといったことが難しく、不起訴になるケースはそれほど多くないのが実態です。

取り調べも慎重に行われる可能性が高く、そんな状況が長く続いてしまうと、被疑者はどんどん精神的に追い詰められ、警察官や検察官の言うがままに自分に不利な供述をしてしまう可能性が高くなります。

しかし、弁護士ならば取り調べ期間中であっても、あるいは勾留後であっても、いつでも被疑者から話を聞き、事件のあらましや取調べの状況を聞くことができます。

そのうえで、できる限り被疑者の不利にならないようなアドバイスをしてくれますから、精神的に混乱している被疑者にとっては非常にありがたく、不当な取調べを防いでくれる存在でもあります。

早い段階で適切な弁護活動ができれば、不起訴を勝ち取ったり、刑事裁判で実刑を免れることも不可能ではありませんから、大麻所持で逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に来てもらうようにしてください。

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大麻の所持で逮捕されたらすぐ弁護士に連絡しよう

日本における大麻事件の現状と、万が一、大麻所持で逮捕されてしまった場合の対応について解説してきました。

どんな刑事事件でもそうですが、逮捕されてしまったら、できるだけ早く弁護士に来てもらって相談に乗ってもらうことが重要です。

特に検察官によって起訴されるまでの間がカギといわれており、素早い対応で不起訴になったケースもあります。

大麻や覚せい剤などの薬物犯罪は特に取調べが長引く傾向があるため、家族が逮捕されてしまったらすぐに弁護士に警察署に行ってもらい、弁護活動をしてもらうことが重要です。

川越市内の場合はすぐ川越警察署に行ってくれる弁護士の連絡先を知っておくことをおすすめします。

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