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不当な退学処分に不服を申し立てる方法

不当な退学処分

退学処分は、学校が一方的に生徒を辞めさせるよう命令するものです。

それだけに、高校、大学、専門学校など、通っている学校から退学処分を命じられると、生徒本人はもちろん、家族も大きなショックを受けると思います。

しかし、不当な退学処分を受けた場合に、泣き寝入りする必要はありません。

きちんと事実や学校の対応の問題点を伝え、お子様が復学したり、その後の学生生活を無事に過ごせるように対応することが重要です。

実際に、過去の裁判例でも、不当な退学処分に対して違法だと判断した判決がいくつもあります。

そこで今回は、学校の退学処分でお悩みの方に、不当な退学処分に対してできる不服を申し立てる方法をご説明します。

退学処分とは?学校が退学処分を出せる条件

不当な退学処分

生徒と学校の間には、在学関係という法律上の関係があります。

在学関係とは、生徒は学校に対し、目的に応じた授業などの教育を提供させたり、学校の施設を利用できる代わりに、入学金や授業料を払うという在学契約に基づく関係です。

退学処分は、学校が生徒の意思に関わらず、この在学関係を一方的に終了させる重い処分です。

そのため、学校は自由に退学処分を命じられるわけではなく、教育を提供する義務を放棄できる程の理由・条件が必要です。

退学処分を命じられる法律上の4つの条件

上述のように、退学処分は、校長(大学の場合は一定の学部長を含む)が、生徒に対して、生徒の意思に関わらず在学関係を一方的に終了させるもので、懲戒処分の一種です。

懲戒処分は、学校が、生徒たちが学校生活を維持するために下すことができるペナルティのことで、学校の権利として法律で定められています(学校教育法11条、学校教育法施行規則26条)。

懲戒処分には、退学処分のほかに、停学処分や訓告処分などがあります。

懲戒処分の中でも、退学は生徒の身分を奪う重大な処分なので、退学処分を命じられる条件は、学校教育法施行規則で次の4つが定められています(同規則26条3項)。

  • 性行不良で改善の見込がないと認められる者
  • 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
  • 正当の理由がなくて出席常でない者
  • 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者

懲戒処分で許される校長の裁量の限界

上記のように、規則で退学処分の条件が定められている場合でも、校長は、ある程度自由に懲戒処分を決めることができるとされています。

過去の裁判例でも、生徒に対してどのような懲戒処分を下すべきかは、校長が問題となった行為の重大さや、生徒の性格、普段のふるまい、他の学生に与える影響、懲戒処分が生徒や周りに与える影響を踏まえて判断すべきとされ、校長の裁量権が認められているのです(最判昭和49年7月19日)。

しかし、校長に裁量権があると言っても、無制限に許されるわけではありません。

具体的には、退学処分を含む懲戒処分が異なる事実に基づくものだったり、社会一般から見て妥当と言えないような、裁量権の範囲を超えたり濫用していると言える場合には、その処分は違法と判断されます(最判平成8年3月8日)。

特に退学処分は、懲戒処分の中でも生徒の身分を奪う重大なものなので、退学処分を命じる場合は、十分な教育的配慮を行ったうえで、慎重に行われるべきと考えられています。

そこで、退学処分が社会一般的にみて合理性を欠く場合は、校長の裁量の枠を超えた違法・無効な処分になるとされます。

自主退学と退学処分の違いとは

自主退学は、生徒側から学校に退学を申し出る方法をいいます。

自分で進んで退学する場合もありますが、中には、生徒の問題行動等を理由に、学校側から自主退学勧告を受ける場合もあります。ただし、自主退学勧告はあくまでも任意なので、それだけでは生徒は学生としての地位や、教育を受ける権利を奪われません。

最終的に、生徒が自主退学届を学校に提出して初めて、学校と生徒の関係が終了します。

このように、退学処分は学校からの一方的な関係終了の処分なのに対して、自主退学は、自主退学勧告を受けた場合でも、学校との関係が終了しない点で異なります。

学校としては、退学処分をいきなり行うと、生徒のダメージが大きく、トラブルになるリスクが高いため、まずは自主退学勧告を出し、応じない場合に退学処分を命じる、という流れを取ることも少なくありません。

退学処分が違法になる3つのケース

不当な退学処分

上記のように、学校(校長)には、退学処分を含む懲戒権があるとはいえ、むやみに認められるわけではありません。

懲戒処分の中でも重い退学処分が違法になるケースとして、次の3つの類型があります。

学校の調査が不十分な場合

退学処分は、学校教育法施行規則26条で定められているように、「性行不良で改善の見込がない」「学力劣等で成業の見込がない」「正当の理由がなくて出席しない」「学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反し」ているなどの事情があることが前提です。

しかし、本当は性行不良の事実がないのにあると思った、実は家族の看護のために休んでいたのに正当な理由がない欠席と思ったなど、学校の調査不足で退学処分が命じられる恐れがあります。

このようなケースでは、学校の退学処分は事実の基礎を欠いているとして、退学処分の違法性を主張することが考えられます。

退学処分が重すぎる場合

上記のような退学処分に該当する事実があったとしても、その内容や程度は様々です。

本来なら、停学処分や訓告処分で済むべき程度なのに、一方的に退学処分が命じられた場合は、処分が重すぎて社会的合理性を欠き、裁量の範囲を逸脱するとして、退学処分の違法性を主張することが考えられます。

過去の裁判例でも、退学処分はその生徒を学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って行うべきで、特に慎重な配慮を要すると判断され(最判平成8年3月8日)、文部科学省も、退学処分は、一度受け入れた生徒の面倒を最後までみるという最大限の努力をしても事態が解決できず、教育的な見地からも退学を選択せざるを得ない場合に実施されるべきとの指針を示しています。

突然退学処分を命じられた場合

上記のような退学処分に該当する事実があったとしても、軽い処分の段階を経ずに突然退学処分を命じられた場合、裁判や文科省の指針で示された慎重な配慮がないとして、退学処分の違法性を争うことが考えられます。

学校としては、退学処分を行う前に教育的指導をしたり、生徒の意見を聴く機会を設けたうえで処分を決定すべきです。

これを欠いて突然退学処分が出され、生徒の学生としての身分や、教育を受ける権利をはく奪した場合は、慎重な配慮がないとして争う余地はあるといえるでしょう。

不当な退学処分を争うための5つの方法

不当な退学処分

学校から不当な退学処分を命じられた場合、再入学(復学)を求めるかどうかによって取るべき方法が変わります。

学校に退学処分の不当性を交渉する

学校から不当な退学処分を命じられた場合、まずは、弁護士を間に立てて、学校に対して処分の不当性を主張し、今後の対応を交渉することが考えられます。

上記で、学校が退学処分を命じた場合に、基礎となった事実に誤りがある可能性があるケースをご紹介しました。

学校は警察・探偵のような捜査・調査機関ではないので、学校が調査したと言ってもそのレベルには限界があるうえ、教師は多くの生徒と対応する中で思い込みなどのバイアスがかかりやすい環境にいます。

加えて、学校という閉鎖空間での、教師と生徒の立場の違いから、適切な調査ができない可能性も高いです。

この時、本人や保護者が交渉しても感情論になって交渉が決裂することも少なくありません。

そこで、弁護士をたて、生徒や保護者に代わって、校長や教師に事実を伝え交渉を進めることで、事実を明らかにし、処分の不当性を認識させて撤回させられる可能性が高まります。

学生の立場にあることを確認する訴訟を起こす

弁護士が間に入っても学校が応じない場合、裁判所に対して、退学処分が違法・無効であり、生徒は今も学校の生徒の地位を有することを確認する訴えを提起することが考えられます。

過去の裁判例でも、退学処分は、その生徒を学校外に排除しないと学校の秩序が保てない等の状況でなければできないと考えられています。

にもかかわらず、それに満たない程度で退学処分が出された場合は、退学処分が無効であり、学校の生徒であることを確認するための訴訟を起こすことができます。

学生の地位を定める仮処分を申し立てる

上記のように、退学処分の無効を争い、学生としての地位を確認する訴訟を起こしても、裁判には時間がかかるケースが多いです。

そこで、早期の復学を目指すために、裁判所に対して仮処分(仮の地位を定める仮処分)の申立てを行うことが考えられます(民事保全法23条2項)。

仮処分は、通常の裁判より早いスピードで審理が進むため、申立から2~4か月で仮処分命令を出してもらえる場合があります。裁判所が、学生の地位を認めることの仮処分命令を発令すると、生徒は、正式な裁判の結果が出る前に学校に復学することができます。

実際に正式に学生の地位が認められるには、正式裁判の判決が必要とされていますが、不安定な立場に置かれた生徒の救済のためには、仮処分の申し立ては非常に有効です。

なお、仮処分の申立てをする際は、生徒が在学契約に基づき学校の生徒である地位を有することや、退学処分が違法・無効であることを示すための資料が必要です。

迅速に対応するためにも、仮処分の申立をする場合は、訴訟に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

退学処分の取消訴訟を起こす

既に退学処分が出された場合は、裁判所に対して、退学処分の違法性を主張する訴訟を提起することが考えられます。

裁判で、退学処分が違法であると認められれば、退学処分は取り消されます。

学校に損害賠償を請求する

不当な退学処分を受けた場合、生徒が精神的苦痛を受けたとして、その精神的苦痛を損害として、学校側に損害賠償請求(慰謝料請求)することが考えられます。慰謝料請求は、復学したかどうかに関わらず請求することが可能です。

また、上記の学生としての地位の確認を求める仮処分を行う際、裁判所を介して、審理の途中で学校側と和解することがあります。

和解すれば、正式裁判の結果を待たず、生徒は復学するなど問題が解決しますが、和解の中で出席率や成績に不利益が出ないような合意がされたり、学校側の対応に問題があった場合は慰謝料の支払いも合意内容に含まれることもあります。

不当な退学処分を命じられたら弁護士に相談を

今回は、学校に不当な退学処分を命じられた場合の対応について解説しました。

学校や教師と生徒の力関係から、退学処分に当たる事実がないのに思い込みで退学処分が命じられるケースもあります。

しかし、生徒は、ショックと自暴自棄になり、諦めて退職処分を受け入れてしまいがちです。

不当な退学処分を命じられた場合に、きちんと反論するためには、まずは弁護士にご相談ください。弁護士なら、過去の裁判例や法令をもとに、退学処分の違法性を判断し、取るべきベストの対策のアドバイスをすることができます。

退学処分を取り消したり、復学をすることは、生徒の教育を受ける権利を取戻し、将来につなげるために大きな意味を持ちます。

学校の中で、校長や教師に退学処分を命じられ、孤独になるかもしれません。しかし、弁護士はそのような生徒や保護者の味方として、一緒に戦うことができます。

不当な退学処分でお悩みの場合は、お気軽に弁護士にご相談ください。

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