その他トラブル 相続・贈与

空き家に税金はかかる?改正空き家法での変更点を解説

空き家にかかる税金イメージ

平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、空き家は過去20年で2.1倍に増加しており、全国で空き家は増加し続けています。

その背景には少子高齢化が進み日本の人口が減少していることや、過疎化が進んでいることが挙げられます。

相続などにより田舎の土地を保有することになったけれど、空き家のまま放置しているケースは増加しています。空き家のまま放置すると、倒壊のおそれなどが発生することから、空き家対策が課題となっていました。

この課題を解決するため、2023年12月13日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(いわゆる「空き家法」)が改正されました。改正空き家法では、空き家対策として、税金の軽減が受けられないこと等が定められました。

この記事では、改正空き家法の説明、改正空き家法への対処法を解説します。空き家の対処に悩んでいる方はぜひ最後までご覧ください。

改正空き家法で改正された内容

空き家にかかる税金イメージ

国土交通省の定義によれば、「空き家」とは、1年以上誰も住んでいない状態または1年以上何も使われていない状態の住宅を指します。

こちらを踏まえて、改正空き家法で大きく変わった点について詳しく解説していきましょう。

空き家にかかる税金(改正前)

空き家も不動産である以上、税金はかかります。

  • 固定資産税
  • 都市計画税

の2点です。

固定資産税と都市計画税には、住宅用地の特例によって軽減税率が定められており、住宅用地ですと軽減税率の対象となります。具体的には、以下のように土地の面積に応じて軽減されます。

区分

特例率
(固定資産税)

特例率
(都市計画税)

小規模住宅用地

住宅等の敷地で
200㎡以下の部分

6分の1

3分の1

一般住宅用地

住宅等の敷地で
200㎡以上の部分

3分の1

3分の2

上記の表からおわかりのとおり、小規模住宅用地ですと固定資産税が6分の1に軽減され、税金の負担はかなり軽くなります。

空き家は通常、住宅用地ですから軽減税率が適用され、固定資産税と都市計画税が安くなります。当然、住宅用地である空き家に関しても、軽減税率が適用されていました。

一方で、空き家を取り壊して更地にしてしまうと、建物にかかる税金はなくなるものの、土地の部分の軽減税率は適用されなくなります。そうすると、固定資産税が最大で6倍に増えてしまうケースがあり、いままで空き家を取り壊すメリットはありませんでした。

改正空き家法では「特定空家」または「管理不全空家」に住宅用地の特例が適用されなくなった

固定資産税と都市計画税が軽減されるため、空き家を維持しようとする人が増えます。その結果、空き家の増加につながっていました。空き家が増加すると、倒壊の危険が生じて他人に危害を加えたり、害虫が発生して衛生上有害となったりするおそれがあります。

政府は、このような問題を防ぐため、2023年12月13日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。

この法律により「特定空家」に指定されるとその翌年から住宅用地の特例が適用されなくなったのです。

「特定空家」とは、以下のような状態のことをいいます。

  • そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある
  • 著しく衛生上有害となるおそれがある
  • 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている
  • その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である

今回の改正では、「特定空家」に至らないが、「特定空家」になるおそれのある空き家である「管理不全空家」についても軽減税率の適用が受けられなくなることが定められました。「管理不全空家」とは、そのまま放置すると「特定空家」になるおそれのある空き家と定義されています。

空き家であっても住宅用地の特例は適用され、固定資産税が最大6分の1になります。しかし、空家等対策の推進に関する特別措置法が改正され、改正法が施行される2023年12月13日以降は、特定空家」または「管理不全空家」に指定されると固定資産税と都市計画税が軽減されなくなりました。つまり、支払う税金が最大6倍になってしまうおそれがあるのです。

マンションは戸建てよりも「特定空家」や「管理不全空家」に指定されにくい

戸建てよりマンションのほうが「特定空家」または「管理不全空家」に指定されにくい傾向があります。

空室の部屋があったとしてもマンション全体が空室で老朽化が進んでいない限り、空家対策特別措置法の対象外となるためです。

空き家にかかる税金への対処法

空き家への対策イメージ

「特定空家」または「管理不全空家」に指定され、税金が最大6倍になってしまわないよう、空き家にかかる税金が増加しないための対処法を解説します。

貸し出す

空き家を貸し出すことができれば、1年以上誰も住んでいない状態を解消できるため、「特定空家」や「管理不全空家」に当てはまらなくなります。

結果的に固定資産税と都市計画税が軽減され、家賃収入も入ってくるため、有効な対策といえるでしょう。

しかし、過疎地の空き家は借り手がなかなか見つからない場合が多く、難しいケースが多いのが現状です。

売却する

「特定空家」または「管理不全空家」に指定される前に空き家を売却してしまうのも一つの方法です。空き家を売却することができれば、固定資産税と都市計画税はかからなくなりますし、維持費用もかからなくなります

今回の改正により空き家を売却するオーナーが増加することが見込まれます。もっとも、空き家を貸し出すのと同様、過疎化が進んだ地域の空き家は買い手が見つかりにくいという問題があります。

維持・管理する

空き家をそのまま保有し続ける場合、「特定空家」または「管理不全空家」に指定されないよう留意する必要があります。そのためには、倒壊のおそれや衛生上の問題を除去しなければなりません。

空き家を適切に維持・管理することにより、「特定空家」または「管理不全空家」への指定を回避することができます。しかし、メンテナンス費用がかかることになりますから、税金が軽減されたとしてもトータルでは多くのコストがかかってしまう場合もあります。

まとめ:空き家の税金対策を万全にしよう

今回は、改正空き家法での改正点を中心に解説しました。

従来は空き家のまま放置しておいたほうが税率の優遇が受けられてお得でしたが、今後はしっかりと対策を取らないと税金が最大6倍になってしまうおそれがあります。

空き家を相続したが活用方法に悩んでいる方は、弁護士などの空き家対策の専門家や自治体に相談することをおすすめします。

遺産相続のご相談ならお任せください!

    現在のご状況

    このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

    -その他トラブル, 相続・贈与