最近では近所とのコミュニケーションが少なくなったせいもあり、近隣トラブルの件数は増えています。
近隣トラブルの原因で最も多いのは「騒音」です。ストレス過多の生活が続くと些細な音でも苦情につながり、日々の積み重ねでたえられない苦痛にもなります。
どのような音を苦痛に感じるかは人によって感覚が異なり、どの程度の音なら騒音と言えるのかは一概に決められません。このことがトラブルの要因になっているともいえるでしょう。
この記事では騒音トラブルの解決に結び付く対策について紹介しています。
弁護士への相談が増えている理由
騒音トラブルについて相談できる相手は管理会社や自治体の窓口など多数ありますが、弁護士に相談する人も増えています。
管理会社や自治体窓口に相談したけれど解決せず、困って弁護士を訪れる方が多い印象です。
弁護士と他の相談窓口との大きな違いは、「弁護士は依頼人(あなた)の味方になってくれること」です。
他の相談窓口はあなたに対しても相手方(騒音源)に対しても公平な立場でアドバイスをせざるをえません。つまり、あなたの味方になって相手方に対処したりはできないのです。
弁護士に依頼するには費用がかかりますが、弁護士によっては無料で相談にのってもらえるところもありますので相談してみても良いでしょう。
トラブルになる騒音とは
近隣トラブルになる音は大きく分けて騒音と生活音があります。
マンションか一戸建てかによっても音が出る原因は違ってきます。
騒音…車のエンジン音や楽器、ラジオ、テレビなどの音声
住居前の道路を走行する車の音、近隣の家で楽器の練習をする音、大音量の音楽などが騒音になります。
大声での会話や赤ちゃんの泣き声なども、その程度によっては騒音になります。
交通量は入居するまえにチェックしておくのがよいでしょう。楽器の音はマンションなら時間制限をルール化しているところも多いので、管理会社に確認してみましょう。
生活音…水が流れる音や電気製品の音、足音
水を流す音や洗濯機・掃除機などのモーター音、ペットや子どもの足音、ドアを閉める音などが生活音です。
生活をするうえで音が出てしまうのはしかたのないことですが、あまりにも大音量になる場合は、管理会社などから注意してもらいましょう。
マンションの場合、構造によって音の伝わり方が違うので、かならずしも真上の階が原因とは限りません。施工会社に問い合わせてみるのもよいでしょう。
マンションと戸建て
マンションの場合は施工会社に問い合わせて音源を特定する必要があります。
音源を特定できないときは、マンションの住人全体に対してチラシやポスターで注意を促す方法もあります。
一戸建ての住宅では、建蔽率ぎりぎりまで建てられていると、隣の音声がうるさいと感じることもあります。
木造建築の場合は防音性が低いことも原因です。反対隣りの住人がどう感じているかきいてみましょう。
被害者が多数いれば相手方との交渉もやりやすくなります。
町内会に相談するのもよいでしょう。
証拠集めと状況の整理
法廷で争う場合は、騒音の事実や誰が騒音を起こしているのか、どのような被害があるのかなどを証明するのは原告側です。
法廷で争うところまでいかなくても、注意を促すためにも証拠集めは重要です。証拠がなければ相談しても積極的に取り合ってはもらえないでしょう。
大事なのは次の3点です。
- 感情的にならない
- 記録・証拠をもとに相談する
- 目的(最終的にどうしたいのか)を明確にして相談する
法律の立場は?
騒音を直接取り締まる法律はありません。
自治体によっては条例で規制しているところも多いのですが、罰則がないため実効性は乏しいと言わざるを得ません。
もし、騒音に悩まされて精神的な疾患にかかってしまったような場合は民法の不法行為として損害賠償を請求できるかもしれません。
また、身の危険を感じるほどの騒音なら刑法上の責任を問える可能性もあります。
感情的にならない
被害を受けて精神的にも参っている状態かもしれませんが、客観的な情報を提供しましょう。
感情的になると逆に被害妄想を疑われたりして、プラスにはなりません。
記録をとっておく
録音ができればベストです。
録音できなくてもどのような騒音がいつ(日付と時間)、どのような頻度で聞こえてきたかをメモしておきましょう。
特に繰り返し被害にあっているときは記録が役に立ちます。
他の人はどうなのか聞いてみる
他にも同じような被害にあっている人がいないか、聞いてみましょう。
音の感じかたは人によって違いますが、他にも被害者がいれば一般的な害悪として相談できます。
どうしたいのか目的を明確に
音を出す時間帯を決めてほしいとか、なるべく音をたてないようにしてほしい、どうしても必要なときは事前に連絡してほしいなどを明確にしましょう。
結果的にどうなると満足できるのかを考えてください。
弁護士に相談する以外の対処法
無料で相談できる窓口をいくつか紹介しましょう。
管理会社・管理組合・自治会
マンションでは何かしら共同の機関がありますので、相談してみましょう。
契約上、住人のトラブルに介入しないとルール化していることもありますので、その場合は受け付けてもらえないかもしれません。
自治体・公的機関
市区町村公害窓口、環境課、公害課などの名称になっていることもあります。
条例などに基づいて騒音の相手方に指導を行ってくれることもあります。
自治体ができることはあくまで助言で、相手との直接交渉は頼めません。
また、保健所でも公害対策として相談窓口をもうけています。
住宅紛争審査会(指定住宅紛争処理機関)の相談窓口には騒音の原因が建物にある場合に相談できます。建築士など専門家の判断を得られるのがメリットです。
消費者生活センター(国民生活センター)の相談窓口は、騒音の原因としてリフォーム時の不備が考えられる場合に相談できます。
警察
周囲の静穏を害するような騒音を出している者に対し、警察官は騒音を止めるように要求できます。
警察官の制止をきかずに近隣に迷惑をかけた者は勾留または科料に処せられます(軽犯罪法第一条14号)。
近隣の住人が人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害している場合は、まずは警察に相談してみましょう。
参考警察相談専用電話9110(平日午前8時30分~午後5時15分)
110番か交番か迷ったときは「110番」
度を越えた騒音で身の危険を感じるときは、ためらわずに110番通報をしてください。
110番通報を受けると警察は出動しなくてはなりません。警察が到着した時点で騒音が止んでいても、警察が来たという事実は抑止効果が期待できます。
再発のときにも役に立ちます。
弁護士に相談する
公共の相談先や無料の相談は、アドバイスを貰えても相手方に直接交渉してくれるわけではありません。
注意を促す張り紙をしても効果が少ないこともよくあります。
弁護士は依頼人の立場にたって考え、対処法を提案します。つまり、依頼人(あなた)の味方になって対策を行ってくれるのです。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談するメリットを具体的に挙げてみると、以下のようになります。
- 証拠集めのアドバイスが得られる
- 相手との交渉を任せられるので、相手と顔を合わせずに済む
- 面倒な法律上の手続きを代行
- 相手との交渉、手続、法廷での行動など、一貫して依頼人の代理代行が可能
弁護士に相談するデメリット
逆に、弁護士に相談するデメリットは”費用が掛かる”事でしょう。具体的には、着手金、報酬金、実費などがかかります。
ただし、弁護士に頼めば解決できるのに費用の問題であきらめるのは残念なことです。
さきほどお話した弁護士に相談するメリットと比較し、一番納得できる方法を選んでみて下さい。
まとめ
騒音が原因で近隣トラブルが起こったときに、心がけてほしいのは以下の3点です。
- 感情的にならない
- 記録・証拠をもとに相談する
- 目的(最終的にどうしたいのか)を明確にして相談する
騒音による近隣トラブルは無料で相談できるところがいくつもありますが、管理会社や公的な窓口だと相談者に代わって相手方と交渉してくれるわけではありません。
弁護士なら依頼人の味方になって問題解決を目指します。
日本弁護士連合会が行った意識調査によると、法的な悩みがあるのに弁護士に相談していない人は80%もいることがわかりました。
理由は「料金が高そうだから」です。
弁護士への相談費用は、1回当たりどのくらいかかると思いますか?
という問いに対しては約40%の人が1万円以上かかると考えています。
弁護士法人S&Nパートナーズ法律会計事務所なら初回相談30分を無料でお受けしています。
騒音にまつわる隣人トラブルを抱えている方は一人で悩まず、無料の相談窓口で解決しない場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
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