甘い誘い文句で、投資話を持ちかけられた経験がある人も多いのではないでしょうか。
こうした話に乗ってしまい、投資詐欺の被害にあってしまう方が後を絶ちません。
警視庁によると、令和4年(2022年)の投資詐欺の相談件数は、令和元年(2019年)の約2倍に増加しています。
巧妙化する投資詐欺の手口に惑わされないためには、実際にあった被害事例を知っておくことが大切です。
今回は、代表的な投資詐欺の事例を4つ厳選してご紹介します。
投資詐欺にあわないためのポイントとあわせて、是非ご一読ください。
【ケース別】投資詐欺の実際の被害事例4選!
ここでは、実際にあった投資詐欺の被害事例を4つ紹介します。
知人からの紹介による投資詐欺の事例
身近な人からの誘いだからと安心していると、投資詐欺の被害にあってしまうかもしれません。
実際に、知人から「絶対に儲かる」と勧められた投資話に乗ってしまい、数百万円を騙し取られたという事例があります。
愛知県の男女4人が、「元本保証」や「高額配当」をうたい、全国の被害者から約10億円を騙し取った疑いで逮捕されました。
容疑者の1人が大手証券会社のプロトレーダーを装うことで、被害者を信用させていたのです。
被害者の1人である50代女性は、友人から紹介されて容疑者と知り合い「1カ月で5%のキャッシュバックがある」などと勧誘され、合計1,000万円を投資しました。
事件の被害者の多くは、口コミで紹介を受けたとされています。
投資詐欺では、信頼できる友人からの紹介であったとしても、むやみに信用することはできません。
友人が嘘をついている訳ではなく、友人もまた騙されている可能性があるといえるでしょう。
SNS型投資詐欺によって、詐欺罪が成立した事例
SNSを通じて投資の勧誘を受け、被害にあったという事例も増えています。
例えば、SNS型投資詐欺に共犯として加担したとして、懲役刑が科せられた事案があります。
被告人AとBは、架空のトレーダーを演じて、出会い系アプリやSNSで知り合った若者たちを騙し、高額な投資指導料を支払わせた罪に問われました。
まず、被告人Aは、SNSで「たった2時間で12万円の利益を出した」などと嘘をついて、投資の師匠と名乗る被告人Bを紹介。
被告人Bは「バイナリーオプション取引で勝つコツを教える。100万円の指導料が必要だ」などと言って、若者たちから現金を騙し取りました。
また、被告人AとBは、自己啓発セミナーの契約を結ぶ際、クーリングオフ(契約解除)についての説明や書面の交付を行わなかったとして、特定商取引法違反の罪にも問われました。
被告人AとBの行為は、グループの首謀者であるDの指示に従ったものでしたが、2人も詐欺の実行に重要な役割を果たしており、刑事責任は軽くありません。
被告人Aは「1年6ヶ月」の懲役刑、被告人Bは「2年間」の懲役刑が科せられました。
SNSを利用した投資詐欺の被害件数は年々増加しています。
事例のように、SNSで知り合った相手が「師匠」を紹介してくるようなケースも決して珍しくありません。
安易に信用することは厳禁です。
ポンジ・スキームによる被害から、返金請求が認められた事例
ポンジ・スキームは、投資の名目でお金を集め、実際には運用しないという自転車操業型の投資詐欺です。
例えば最近でも、20代〜30代の若者を中心に詐欺被害が広がり、合計10億円以上の被害金額となった事案があります。
岡山県の農園会社では、副社長が主導して違法な投資話を展開し、全国から約133億円を集めて破綻し、10億円以上の被害を出しました
農園会社では、商品の売り方として、3つの悪質な手法が用いられていました。
1つ目の手法は、農園会社が指定した通販サイトでクレジットカードで商品を買えば、利益を上乗せして返金するというもの。
2つ目の手法は、農園会社に現金を預ければ高利回りの配当が得られるというもの。
3つ目の手法は、指定サイトで商品を買いSNSで宣伝すれば、広告料と買取代金が得られるというものでした。
いずれも「商品を買い戻して、海外で転売するため、利益が出る」という名目で出資金を集めていましたが、実際には利益は出ておらず、新規の顧客から集めたお金で古い顧客に支払うという自転車操業でした。
結局、支払いが止まり、多くの顧客が多額の被害を受けました。
この事件では、全国各地で集団訴訟が提起されており、一部では被害者側の請求額の「全額」の賠償が認められる判決も出ています。
ポンジ・スキームは、最も古典的な詐欺手口の1つですが、未だに多くの投資詐欺で用いられる手法です。
「元本保証」「高利回り」等とうたう投資商品には十分注意しましょう。
投資詐欺の代表的な手口については、こちらの記事をご参照ください。
-
必ず知っておきたい!投資詐欺の5つの手口と対処法をまとめて紹介
近年、投資詐欺による被害が急増しています。 警戒していたにも関わらず、巧妙な手口によって騙される被害者も増えており、決して遠い世界の話ではなくなっているのです。 そこで今回は、 代表的な投資詐欺の5つ ...
続きを見る
ロマンス詐欺の事例
恋愛感情を利用して投資を勧誘するロマンス詐欺も後を絶ちません。
例えば、次のような事例が、ロマンス詐欺の典型例です。
マッチングアプリで自称韓国人経営者、ファッションブランドでVIP待遇を受けているという男性と出会った。
男性がアプリを退会し、無料会話アプリでやり取りする中で、「Baby」「妻」と呼ばれるようになった。
将来のため、紹介する投資サイトで投資するよう何日か説得され続け、断り切れず投資した。
少額を投資したところ利益が出て出金できた。
元金が多ければもうけも多いと説得され、銀行や消費者金融から借り入れて、合計約500万円投資した。
出金しようとしたところ、利益を含めた総資産の15%(180万円)を保証金としてさらに支払う必要があると言われたため、50万円をさらに借り入れた。
残りの130万円についてマッチング相手に相談していたところ、連絡が途絶えた。
(令和4年3月3日「独立行政法人国民生活センター 報道発表資料」より引用)
ロマンス詐欺は、恋愛感情や親切心につけ込んだ卑劣な手口です。
SNSで知り合った外国人から、好意を抱かせるようなセリフをかけられても、安易に信用してはなりません。
-
結婚詐欺はどこから罪になる?被害にあわないために手口を解説
コロナ禍で対面での男女の出会いの機会が減ったことから、マッチングアプリなどによる出会いが増加し、それに伴い結婚詐欺の件数も増えたことが指摘されています。 全国のデータではありませんが、佐賀県の場合、 ...
続きを見る
投資詐欺にあわないための3つのポイント
投資詐欺にあわないためには、3つのポイントを押さえておきましょう。
投資詐欺にあわないためのポイント
- 「簡単に儲かる」「必ず儲かる」などと断言する投資話には要注意
- 知人や親族からの投資の勧誘にも警戒心を持つことが大切
- SNSを通じた投資の勧誘にも十分な注意が必要
順番に説明します。
「儲かる」に注意
まず第一に「簡単に儲かる」「必ず儲かる」などと断言する投資話には要注意です。
リスクとリターンは必ず表裏一体。一見魅力的に見える案件ほど、その裏にはそれ以上のリスクが潜んでいるものです。
甘い言葉に騙されないよう、冷静に判断しましょう。
警戒心を忘れずに
次に、知人や親族からの投資の勧誘にも警戒心を持つことが大切です。
信頼している相手だからこそ、つい警戒心が薄れがちですが、それを悪用する手口も少なくありません。
たとえ身内の人であっても、投資の話が出たら慎重に判断するようにしてください。
SNSの勧誘を信用しない
最後に、SNSを通じた投資の勧誘にも十分な注意が必要です。
SNSは匿名性が高く、本当の素性が分からない相手も多いです。
安易に個人情報を教えたり、お金を渡したりすることは避けましょう。
結局のところ、最も大切なことは「必ず儲かる投資話など無い」と肝に命ずることです。
常に疑う目を持ち、冷静に判断する姿勢が何より重要なのです。
投資詐欺にあわないためには、こうした心構えを忘れないようにしましょう。
投資詐欺だと感じたら弁護士に相談しよう
この記事では、実際にあった投資詐欺の被害事例について取り上げました。
投資詐欺の手口は、年々巧妙化しており、新しい手口もどんどん増えてきています。
しかし、一見未知の手口のように見えても、冷静に検討していくと、結局「ポンジ・スキーム」のような古典的な手法に行き着くケースが珍しくありません。
甘い言葉や高額なリターンに惑わされることなく、常に冷静な目を持って投資先を吟味する習慣をつけましょう。
そして、万が一投資詐欺の被害にあってしまった場合は、一人で悩まずに相談することが肝要です。
速やかに弁護士等の専門家にアドバイスを求め、適切な対応を取ることが賢明だといえるでしょう。
このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシーと利用規約が適用されます。