その他トラブル 相続・贈与

空き家の相続が原因となりうるトラブルは?

2024年3月4日

空き家イメージ

親が亡くなった場合、実家などの不動産を含めた親の財産を相続することになります。しかし、実家を相続してもすでに自分の家は別にあるケースが多く、空き家のままの状態になってしまう場合もあるでしょう。

このような空き家を相続してしまうと、相続人の間でトラブルになったり税金がかかってしまうケースがあります。この記事では、空き家を相続する場合にトラブルになりやすいケースとその対処法について解説します。

空き家の基本的な相続方法

空き家の相続イメージ

空き家を相続した場合にどのようなトラブルが発生しやすいかを解説する前に、そもそも「空き家」とは何か、空き家を相続する際の流れなどについて説明します。

空き家とは

空き家とは、空家等対策の推進に関する特別措置法2条によれば、建築物またはこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるものおよびその敷地をいうとされています。

また、国土交通省の定義によれば、1年以上誰も居住しておらず使用もされていないものをいいます。

空き家を相続する流れ

被相続人が亡くなると、その相続人は被相続人の一切の財産を相続します。例えば、父親が亡くなった場合、母親とその子供が父親の財産を相続します。

被相続人が一人で住んでいる家を相続した場合、空き家を相続することになります。空き家であっても不動産である以上、相続する流れは一般の不動産と変わりはありません

被相続人の財産を相続した直後の不動産は、相続人同士で共有している状態になっています。例えば上記のケースで母親とその子供が2人いる場合、母親が2分の1、子供がそれぞれ4分の1の持ち分を有して相続不動産を共有している状態になります。

なお、遺言書がある場合、その遺言にしたがって相続財産の分配方法が決まります。

遺言書がない場合、相続人同士が遺産分割協議により相続財産の帰属を決定します。例えば上記のケースでは母親は預金、長男は実家、二男は車といったように遺産を分割することになります。

遺産分割協議により実家などを所有することになった場合、亡くなった親しか住んでおらず、自分が住むことはないような場合には空き家になります。

不動産の相続の流れについて、詳細はこちらの記事をご覧ください。

相続手続き
相続登記の手続きの流れ!やるべきこと順に分かりやすく解説

親が亡くなるなどして相続が開始すると、相続人がすべきことはたくさんあります。 死亡から7日以内、14日以内、3か月以内等それぞれ決められた期間内にすべきことが多いです。 2024年4月1日から不動産登 ...

続きを見る

空き家の相続により起こりうるトラブル

相続トラブルのイメージ

空き家を相続すると、相続人との間でトラブルが起こったり、予想外の費用がかかる場合があります。ここでは、空き家の相続により起こりうるトラブルを見ていきましょう。

相続人の間で揉める可能性がある

相続が発生した場合、通常は遺産分割協議によりどの遺産を各相続人に分配するか協議することになります。

空き家を相続した場合、空き家であっても不動産であることに変わりはないため、固定資産税と都市計画税を支払う必要があります。

自分が住んだり他人に賃貸したりして活用できればよいですが、過疎地などを理由に活用方法が見いだせず空き家になるケースがあります。このような場合、税金や維持管理費用などの負担のみが増えてしまうことになるため、相続人同士で誰が相続するか揉める可能性があります。

相続登記の義務化により過料となる可能性がある

令和6年4月1日より相続登記の申請が義務化されました。

相続により不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならなくなりました。

また、遺産分割が成立した場合には、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければならなくなりました。

正当な理由なくこれらの義務に違反した場合は、10万円以下の過料になります。

相続登記の義務化前は、相続した不動産の登記を移転せず放置してもペナルティはありませんでした。よって、相続を原因とする移転登記をせず何年も放置しているケースもありました。

改正後は相続した空き家を移転登記せず放置していると過料になる可能性があるため注意が必要です。

空き家法が適用されて予想外の出費が発生する可能性がある

空き家を相続した場合、固定資産税や都市計画税を支払う必要があります。もっとも、住宅用地の特例によって軽減税率が定められており、空き家であっても特例が適用されて最大6分の1の特例率による軽減が受けられていました。

よって、空き家を取り壊すよりも空き家のまま放置していたほうが税金の優遇を受けられるため、空き家が増加し問題となっていました。

しかし、令和5年12月13日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」(いわゆる「空き家法」)が改正され、「特定空家」または「管理不全空家」に指定された場合、税金の軽減が受けられないこと等が定められました。

これにより、空き家を相続し「特定空家」または「管理不全空家」に指定されてしまうと、最大6倍もの固定資産税を支払う必要があります。

空き家にかかる固定資産税について、こちらの記事で詳しく解説しています。

空き家にかかる税金イメージ
空き家に税金はかかる?改正空き家法での変更点を解説

平成25年に総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、空き家は過去20年で2.1倍に増加しており、全国で空き家は増加し続けています。 その背景には少子高齢化が進み日本の人口が減少していることや、過疎 ...

続きを見る

空き家の相続への対処法

空き家相続の対処イメージ

上記のトラブルを避けるため、空き家を相続した場合の対処法を解説します。

家族同士で話し合っておく

相続の際に相続人間で揉めることを予防するために、相続が発生する前に空き家の相続について十分に話し合っておくべきです。

親が亡くなった場合に実家が空き家となるような場合は、実家の処分方法や管理方法などを事前に相続人同士で取り決めておきましょう。そうすることで、いざ相続が発生した場合にトラブルになることを未然に防ぐことができます。

空き家を売却または貸し出す

空き家をそのまま放置していると、「特定空家」または「管理不全空家」に住宅用地の特例を受けることができなくなる可能性が高まります。

そうなる前に、空き家を売却してしまうか、空き家を貸し出して活用することが考えられます。

空き家を売却してしまえば、その後の固定資産税や都市計画税を支払う必要がなくなるため、予想外の出費がかかることを回避できます。

また、空き家を貸し出すことにより、空き家ではなくなるため、「特定空家」または「管理不全空家」に指定されることがなくなります。そうすると引き続き住宅用地の特例を受けることができますので、高い税金を支払うことを回避できます。

相続放棄する

空き家が活用できないことが見込まれる場合、相続放棄をすることも対処法の一つです。

相続放棄とは、相続があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に対して相続放棄の申述をすることにより、はじめから相続人でないものとしてみなされる手続きのことをいいます。

相続放棄をすることによりはじめから相続人ではないことになりますので、空き家を相続することはなくなります。したがって、固定資産税や都市計画税を支払う必要はありませんし、空き家に関する相続税を支払う必要もありません。

空き家に関するトラブルを回避したい方は、相続放棄を検討することをおすすめします。しかし、相続放棄は空き家だけでなくその他の相続財産も全て放棄することになるため、他に相続したい財産がある場合は注意が必要です。

また、相続放棄をすると他の相続人に相続権が移ることになり、迷惑を掛ける場合があります。相続放棄をする場合は事前に他の相続人に対し相続放棄をすることを伝えておくほうがよいでしょう。

まとめ:空き家を相続する場合はトラブル対策を万全にしよう

空き家を相続することにより起こり得るトラブルとその対処法について解説しました。

空き家を有効活用できれば財産となりますが、有効活用する術がなく空き家のまま放置してしまうと税金や登記の問題などさまざまなトラブルに巻き込まれるおそれがあります。

空き家を相続することが予想される場合や、空き家を相続して困っている場合、弁護士や税理士など空き家対策の専門家に相談するようにしましょう。

遺産相続のご相談ならお任せください!

    現在のご状況

    このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

    -その他トラブル, 相続・贈与