こんなケースでは、自分でも知らないうちに詐欺罪が成立する可能性があります。
知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれてしまうことは、誰にでも起こりうることです。
しかし、たとえ意図せずとも、詐欺行為に加担してしまった場合、法的責任を問われる可能性があるのです。
本記事では、
- 勧誘だけでも成立しうる詐欺罪の共犯の概要
- 投資によって詐欺が成立する要件
等について解説します。
投資詐欺に巻き込まれないために、是非ご一読ください
投資の勧誘をしただけでも詐欺になる?詐欺の共犯とは?
投資詐欺では、勧誘をしただけでも「共犯」として詐欺罪に問われる可能性があります。
自分が詐欺行為を行っていなくても、例えば、
- 共同正犯
- 共謀共同正犯
- 幇助犯
といった類型で、詐欺罪が成立する可能性があるのです。
ここでは、詐欺で成立する共犯について説明します。
共同正犯(一緒に詐欺を実行した場合)
共同正犯とは、複数の人が共同して詐欺行為を実行した場合に成立します。
例えば、劇場型の投資詐欺などで、複数人が役割分担をして詐欺を行った場合、共同正犯として詐欺罪に問われる可能性が高いでしょう。
共同正犯は、詐欺の実行行為を直接行っていなくても、グループ内で重要な役割を担っていれば成立する可能性があります。
共謀共同正犯(一緒に計画を立てた場合)
共謀共同正犯は、投資詐欺の計画を、複数人で共同して作成した場合などに成立します。
実際の詐欺行為は一部のメンバーが行っていても、計画段階から関与していれば、共謀共同正犯として詐欺罪に問われる可能性が出てくるでしょう。
幇助犯(詐欺行為を手伝った場合)
幇助犯は、詐欺の実行をサポートした人に成立します。
例えば、投資詐欺グループの詐欺行為を裏方として手伝ったり、詐欺に使う備品の調達をしたりした人が幇助犯に当たります。
投資の勧誘をした場合に成立する可能性が高いのも、この「幇助犯」です。
幇助犯は、共同正犯や共謀共同正犯と比べると、刑事責任は軽くなります。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」なので、幇助犯が成立した場合、5年以下の懲役刑となります。
ただし、状況によっては重い処分を受ける可能性もゼロではありません。
特に、重要な役割を担っていたと判断されると、幇助犯ではなく、共同正犯に問われる可能性もあるため注意しましょう。
実際の詐欺の事例を、こちらの記事で紹介しています。併せてチェックしてみてください。
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投資によって詐欺罪が成立する要件
投資詐欺が成立するのは、次の4つの要件を満たした場合です。
それぞれ説明します。
欺罔行為がある(人を騙している)
詐欺罪が成立するためには、まず欺罔行為が必要です。
欺罔行為とは、例えば嘘をついたり、重要な情報を隠したりして人を騙すことを指します。
投資詐欺の場合、「必ず儲かる」「リスクがない」などの嘘の説明を行ったり、投資商品と嘘を付いて販売し、実際には運用していないようなケースが該当します。
被害者が錯誤に陥っている
次に、欺罔行為によって被害者が錯誤に陥っていることが必要です。
「錯誤」とは、事実とは異なる誤った認識を持つことを言います。
例えば被害者が、嘘の説明を信じ込んだり、重要な情報が隠されていることに気づかなかったりして、投資商品について間違った認識を持っているケースです。
被害者による交付行為がある
さらに、錯誤に基づいて、被害者が自分で金銭や財産を交付することも必要です。
投資詐欺の場合、被害者が騙されて投資金を振り込んだり、現金を手渡したりすることが「交付行為」に当たります。
利益が移転している
最後に、被害者から詐欺犯へ、利益が移転していることが必要です。
例えば、被害者から振り込んだ投資金が、詐欺犯の口座に入金されることで、利益の移転があったと判断されます。
この利益の移転によって、詐欺罪は成立します。
詐欺罪の共犯で逮捕されるとどうなる?
詐欺罪の共犯で逮捕されると、最長23日間にわたって拘束されて、警察や検察の取り調べを受けることになります。
その後、検察官によって起訴判断が行われ、刑事裁判が開始されます。
裁判で有罪が確定すると、
- 共同正犯や共謀共同正犯の場合は、10年以下の懲役刑
- 幇助犯となった場合は、5年以下の懲役刑
が科されます。
他にも社会的信用を失ったり、多額の損害賠償を請求をされてしまったりするなど、様々な不利益が生じてしまうでしょう。
安易に投資詐欺の勧誘を行うと、その後の人生に大きな影響を与えてしまう可能性があるのです。不審な投資話には十分に注意しましょう。
友人から投資商品を勧誘をされた場合の対処法
それでは友人から怪しい投資商品を勧誘された場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。
ここでは、3つの対処法について説明します。
きっぱりと断る
勧誘された投資話に不審な点がある場合は、きっぱりと断ることが必要です。
友人であっても、甘い言葉に惑わされず、冷静に判断するようにしましょう。
「今は投資に興味がない」「そういった話は遠慮したい」など、明確に断る意思を伝えることが重要です。
勧誘が執拗な場合は、はっきりと嫌だと言い、それ以上の勧誘を拒否する姿勢を示しましょう。
クーリング・オフを利用する
勧誘に乗ってしまった場合でも、クーリング・オフ制度を利用できる場合があります。
例えば「儲け話を友人に紹介すれば報酬が得られる」といったケースでは、クーリング・オフが認められる可能性が高いです。
万が一投資の勧誘に乗ってしまった際は、すぐにクーリング・オフの期間を確認し、迅速に手続きを進めましょう。
弁護士に相談する
投資詐欺に被害に遭ってしまったり、クーリング・オフを業者が拒否したりした場合は、弁護士に相談するのが賢明です。
弁護士は法律の専門家であり、被害を回復するために最善の方法を提案してくれます。
万が一、投資詐欺に加担してしまった可能性がある場合も、正直に事情を話すことで、的確なアドバイスがもらえるはずです。
被害状況や関与の経緯を詳しく伝えれば、法的な観点からベストな解決策を一緒に探ってくれるでしょう。
巻き込まれた?と思ったら速やかに弁護士に相談を
最後に、今回の記事の要点をまとめます。
- 投資の勧誘をしただけでも詐欺になる可能性がある
- 詐欺罪の共犯で逮捕されると、懲役刑に科せられる可能性がある
- 友人から儲け話の勧誘をされたら、きっぱりと断ることが大切
つい断りきれずに投資詐欺の勧誘を手伝ってしまい、詐欺の共犯になってしまったというケースは実際に存在します。
もしも、「投資詐欺に巻き込まれてしまったかも」と感じたら、速やかに弁護士に相談しましょう。
一人で悩まずに、頼れる専門家に相談することが、投資詐欺によるトラブルを解決するための最善の方法です。
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