もし、自分の大切な家族が万引きで警察に捕まってしまったら…。
誰もがそんなことはあり得ないと思っていますが、全国では認知されているだけで毎年平均で12~15万件程度の万引き事件が発生しています。
そして実際の件数や万引き未遂はもっと多く、そのほとんどがちょっとしたきっかけで「魔が差して」万引きをしてしまっているのが現状なのです。
あなたの家族が何かのきっかけで万引きで捕まってしまったらどうすべきでしょうか?
川越市でも2018年の1月から9月の間に約268件の万引きが発生しています。
他人事と思わずに、いざという時の適切な対応を逮捕後のプロセスとともに知っておきましょう。
川越で万引きをして逮捕されるとどうなるか?
川越市内で万引きをして逮捕された場合、そのほとんどが川越警察署で処理されることになります。
具体的には、逮捕されるとまず川越警察署で取調べを受け、警察が検察官によるさらなる取調べが必要だと判断した場合、犯罪の証拠とともに検察へと送検されることになります。
その後は検察官の判断によって裁判所に対する勾留請求をしたり、起訴または不起訴を判断したりするという流れになります。
刑法上、万引きという犯罪名は存在せず、その全ては「窃盗罪」として刑事訴訟法の手続きに準拠して進められます。
お店に「万引きは犯罪です!」という張り紙がされていることがありますが、あれは万引きは「窃盗罪という立派な犯罪です」と言っているわけです。
窃盗罪の要件は?
刑法では、窃盗罪は以下のように規定されています。
『刑法第235条:他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。』
「窃取(せっしゅ)」とは、持ち主の意思に反して物を自分の手元に移すことをいい、お金を支払わない人には物を売らないという店主の意思に反して物を盗むことである万引きは、これに当てはまる行為ということになります。
なお、いわゆる「ひったくり」も持ち主の意思に反して物が奪われてしまっている点では窃盗にも該当しますが、奪う際に暴行が伴う場合は強盗罪となります。
『刑法第236条:暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。』
強盗とみなされる可能性もある
万引きは暴力の伴う強盗に比べると示談で収まったり、起訴された場合であっても略式起訴で罰金刑になる可能性が比較的高いですが、それでも悪質な場合は実刑になる可能性も十分にあります。
そのため、軽い犯罪と考えずに、窃盗というれっきとした犯罪であるという認識をもつ必要があります。
また、万引きが見つかり店主を脅すなどの行為に及んだ場合は強盗となる場合もあります。
事実、刑法238条には「事後強盗」として、盗んだものを取り返されることを防いだり、逮捕を逃れるために暴行や脅迫に及んだ場合は強盗となると規定されています。
『刑法第236条:窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。』
万引きで逮捕された後の流れ
上述のように、川越市内で万引きで逮捕された場合、川越警察署に連れて行かれて取調べを受けることが想定されます。
取調べの結果、警察が検察での取調べが必要と判断した場合、逮捕者は送検され、その身柄も検察官のもとに送られます。
「送検」とは警察が捜査した事件について、その過程で収集した書類や証拠物とともに、被疑者の身柄を検察官のもとに送致することです。
ただし、刑事訴訟法により、警察が被疑者を逮捕してから送検するまでの期限は48時間(2日間)以内と明確に定められています。
場合によっては厳しい取調べがされることも
刑事訴訟法203条には、以下のように警察は被疑者を逮捕した場合、48時間以内に当該事件について、犯罪を立証する書類や証拠物とともに検察官に送検する必要があると規定されています。
『刑事訴訟法203条:司法警察員は~中略~留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。』
このように明確な期限が定められているために、警察はこの期間内に何とかして被疑者から犯罪を裏付ける情報や自白を引き出そうとする場合があります。
そのため、被疑者が犯罪を否認している場合、厳しい取調べが行われてしまうケースもあります。
万引きの場合は現行犯逮捕が多いため、捕まった本人も素直に罪を認めざるを得ないケースがほとんどで、犯罪の事実を否定するといったケースはそれほど多くはありません。
しかし、現場の監視カメラなどで犯罪が発覚し、後日自宅に捜査員がやってきて逮捕状を提示して逮捕される可能性もあります。
これは現行犯逮捕ではなく、通常逮捕といいますが、近年は防犯カメラの数の増加や精度の向上により、録画によって証拠を押さえたうえで通常逮捕されるケースも増えています。
微罪処分とは?
このように万引きで逮捕されると、警察の取調べの後、検察に身柄を送られてさらに取調べを受けることになります。
ただし、初犯でかつ店舗の被害額も小さい場合は、検察に送られることなく微罪処分となるケースもあります。
微罪処分とは、刑事事件の手続きを警察の段階で終わらせるもので、万引きのように比較的罪の軽い犯罪で、本人も罪を認め、反省している場合に多く見られます。
簡単にいえば、警察署でお説教を受けて釈放されるケースで、万引きのほか、軽い喧嘩で相手に怪我を負わせてしまった事件なども微罪処分とされることがあります。
人によっては「罪の程度が軽かったから許してもらえた」と思っている場合がありますが、決して許してもらえたのではなく、強盗など他の犯罪に比べて罪の程度が軽いというだけです。
刑事事件で逮捕されたという事実に変わりはありません。
最終的には微罪処分だったとしても、時に警察の厳しい取調べを受けるというだけではなく、写真や指紋などが採取されてしまいます。
検察に送致され、勾留されることもある
初犯で被害額が小さい場合などは微罪処分で済まされるケースもありますが、逆に何度も窃盗を重ねていたり、被害状況が大きい場合などは検察に送致され勾留される可能性が高いです。
勾留とは、裁判官が被疑者を取り調べた結果、釈放すると逃亡したり事件の重要な証拠を隠滅するおそれがあると判断した場合に、留置場に被疑者の身柄を拘束しておく処分のことです。
検察官は被疑者を勾留する必要があると判断した場合、裁判所に対して勾留請求を行いますが、その期間は刑事訴訟法で被疑者が送致されてから24時間と決められています。
『刑事訴訟法205条1項:検察官は~(中略)~留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。』
勾留されると長期間拘束される可能性が高い
このように勾留を請求するまでの期間が決められているため、検察官は取調べや捜査に時間がかかりそうだと判断した場合、ほとんどのケースでは裁判所に勾留請求をします。
それが認められると、被疑者は留置場に入れられ(多くの場合は、逮捕された警察署において身柄拘束が続き)、最長でその後20日もの間、身体的拘束を受けなければなりません。
たとえ捜査の結果、不起訴処分で釈放となったとしても、長期にわたる拘束で精神的に疲弊するのは間違いないでしょう。
さらに会社勤めをしている人の場合、長期間の欠勤で不利な立場に追い込まれるケースは多いです。
そして万引き事件ではそれほど多くはないですが、被疑者に前科があったり余罪がたくさんあるケースや、被害額が大きい場合、起訴されて刑事裁判となるケースも十分考えられます。
そうなると判決によって重い罰金刑が課せられたり、場合によっては実刑判決で刑務所に行かなければならないこともあります。
大切な家族がそういった不利な状況にならないためにも、できるだけ早い段階で取れるべき対応は取っておくべきでしょう。
万引きで逮捕された場合の最適な対応は?
それでは、万引きで逮捕された場合の最適な対応は何でしょうか?
結論をいえば、早急に弁護士に連絡して来てもらうことです。
弁護士を呼ぶメリットとしては、まず逮捕後、検察に送致されて勾留されるまでの間に被疑者本人と会って話を聞いてもらえることです。
逮捕後、警察が検察に送致するまでの48時間と、検察が勾留請求をする期限となる24時間の最長72時間は、たとえ被疑者の家族といえど被疑者本人と会うことができません。
身柄を拘束されている被疑者と会うことを接見といいますが、この間に被疑者と接見できるのは弁護士だけとなっています。
そのため、逮捕された場合はすぐに弁護士に連絡して警察署に来てもらい、今後の対応について相談するのがベストです。
状況によっては勾留後も裁判所の決定によって接見禁止が付されることもありますが、その場合でも、弁護士ならば被疑者本人に会って相談を受けることが可能です。
弁護士に適切なアドバイスを受けられる
弁護士は被疑者から事件の詳細やそのときの状況を聞いたうえで、できるだけ被疑者が不利にならないようなアドバイスをしてくれます。
警察に対しても法的な根拠に基づいた権利を主張してくれるので、法律面の知識や取調べに対する適切な対応がわからない被疑者にとっては、非常にありがたい存在といえます。
特に取り調べの間は長期間孤独な状態に置かれるため、被疑者は不当に不利な供述をしてしまわないとも限りません。
弁護士は被疑者の精神的な拠り所となりつつ、その時点でベストな対応を助言してくれるので、家族も弁護士を通じて被疑者本人を間接的にサポートできるのです。
川越市内で逮捕された場合は、多くは川越警察署で取調べが行われ、その後さいたま地方検察庁川越支部などに送検されることとなります。
そのため、いざというときには川越警察署に出向いてくれる弁護士の連絡先を知っておくのがベストです。
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示談交渉も弁護士に任せられる
万引きのような窃盗事件において、処分を軽くするための手段として示談交渉があります。
これによって店舗のオーナーや店長と交渉し、示談金を支払うことで許してもらえるケースは少なくありません。
また、示談の事実によって処分が軽くなり、不起訴になることもあります。
当然、金額や犯罪の程度によっては示談を拒否されることもありますが、弁護士ならば被害者と上手く交渉し、できるだけ被疑者に不利にならないように取り計らってくれます。
たとえ微罪処分で済むようなケースであっても、弁護士ならば相手方と素早く示談してそれ以上不利な状況に陥らないように動いてくれます。
不利な供述をしないために
人によっては、万引き程度の犯罪で弁護士を呼ぶことは金銭面でもったいないと考えてしまう場合もあるようです。
しかし、上述のように、取り調べの間は被疑者は精神的に追い詰められた状態におかれるため、警察官や検察官の圧力によって、自分に不利な供述をしてしまうこともあり得ます。
そのため、犯行動機や犯罪状況から本来は微罪処分で済む可能性があるところを、送検されて勾留されてしまったり、起訴されて刑事裁判を受けざるを得なくなる可能性は十分あります。
場合によっては誘導質問などにより、意図せずに真実と異なる供述をしてしまう可能性もありますから、弁護士と相談して不利な供述をしないように対策を練ることが有効です。
特に早い段階で弁護士に接見できれば、その後の手続きや適切な対応についてアドバイスをしてくれるほか、精神的に追い詰められた状態を励ましてくれます。
これによって気持ちが楽になり、冷静に取り調べに対応できるようになりますから、万引きで逮捕されてしまったら、できるだけ早い段階で弁護士にコンタクトをとるようにしましょう。
特に逮捕後、勾留されるまでの72時間以内の期間にしっかりと対策を練っておくことが重要です。対応は早いに越したことはありません。
万引きで逮捕されたら素早く弁護士にコンタクトを
万引きで逮捕されてしまった場合の流れを簡単に解説するとともに、早急に弁護士を呼ぶことのメリットについて説明しました。
万引きは警察署で取調べを受けるだけで微罪処分として身柄が釈放される場合もあれば、検察に送致後に勾留され、最終的には起訴されて刑事裁判にまで至るケースもあります。
本人は軽い罪だと思っていても、取り調べでの対応が悪かったり、自分に不利な供述をしてしまうと、最悪の場合、最終的に実刑判決を受ける可能性もあるのです。
たとえ懲役刑ではなく罰金刑だったとしても前科が残ってしまうことにはなりますから、自分の不利にならないよう適切な対応をしなくてはなりません。
弁護士は法律の知識のない被疑者に対して法的な根拠に基づいた適切なアドバイスをしてくれるだけはなく、留置場などで孤独な状態にある被疑者を励ましてくれる存在でもあります。
ただの万引きと思わずに、できるだけ早めに弁護士に連絡し、不利な処分を回避するための対策を相談するようにしましょう。
特にご家族の方は、身内が逮捕されてしまったら、何よりもまず弁護士事務所に連絡を入れることをおすすめします。
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