マンションの共用部分に私物が放置されていてお困りではありませんか?
共用部分は、住民全員が快適に生活するための重要なスペースです。
私物が放置されていると、クレームに発展するだけでなく、避難経路をふさぎ、緊急時に深刻なトラブルに発展する可能性もあります。
マンションの管理規約や法律にも違反しているため、速やかな撤去が必要です。
そこで、本記事では次の点を取り上げました。
- マンションの共用部分に私物を置くのがダメな理由
- 共用部分の私物は勝手に撤去できるのか
- 放置されている私物を撤去する場合の手順
マンション共用部分の私物でお悩みの方は、是非ご一読ください。
マンションの共用部分に私物を置くのがダメな理由
マンションの共用部分に私物を置くのがダメな理由を3つ紹介します。
関連する法律や条例について見ていきましょう。
共用部分はオーナーに所有権があるから
マンションの共用部分(廊下、エントランス、階段、駐輪場など)は、オーナーに所有権があります。
入居者がオーナーの許可なく私物を置くことは、所有権の侵害にあたります。
たとえ玄関ポーチや、自宅の前の廊下であっても、契約で定められた用途以外での使用は認められません。
マンションの管理規約で禁止されているから
多くのマンションでは、管理規約によって共用部分への私物の放置が禁止されています。
国土交通省が提示しているマンション標準管理規約のコメントでも、「専用使用部分でない共用部分に物品を置くことは原則として認められない」とされています。
共有部分に、やむを得ずに私物を置く必要がある場合は、必ず管理会社への確認が必要です。
消防法で禁止されているから
消防法や各都道府県の火災予防条例でも、共用部分に私物を置くことは禁止されています。
これは、火災や地震などの緊急時に安全かつ迅速な避難を確保するためです。
万が一、共用部分に置かれた私物が倒れたり、火が燃え移ったりすると避難が難しくなるため、すぐに撤去が必要です。
また、消防署の点検でも、共用部分の廊下に置かれた傘や靴が避難の妨げになると指摘を受ける可能性があります。
改善指示が出され、指示に従わない場合には、罰則が科せられることもあります。
共用部分の私物は勝手に撤去できる?
では、放置された私物は、どのように対処すればよいのでしょうか。
他人の私物を撤去する場合の注意点を説明します。
管理会社であれば移動は可能
管理会社やマンションのオーナーであれば、共用部分に放置された私物を移動させることができます。
マンションの維持管理をする責任があるため、勝手に移動しても違法ではありません。
あくまでも、適切な管理のために必要な措置と考えられています。
処分するには事前の通告が必須
ただし、私物を処分する場合は注意が必要です。
処分するには、所有者に対して事前に連絡し、同意をもらわなければなりません。
所有者の了承がないまま突然処分してしまうと、不法行為責任(民法709条)を追求される可能性もあるため注意しましょう。
連絡が取れない場合は、「この日までに私物を撤去しない場合は処分します」と通知を送りましょう。
十分な期間が経っても撤去されなかった場合は、持ち主が所有権を放棄したとみなして、処分を行うことも可能です。
破損すると損害賠償に発展するケースも
移動する際に破損させてしまうと、民法709条に基づき、所有者から不法行為による損害賠償を請求される可能性があります。
高価な物や壊れやすい物の場合は、所有者自身に撤去を促すほうが賢明です。
特に、大型のアンティーク家具や楽器、ロードバイクなどは取り扱いが難しい物が多いため、十分に注意しましょう。
一部でも破損すると、高額な賠償責任が生じてしまうケースもあります。
私物を撤去する場合の手順
私物を撤去する場合の具体的な手順を解説します。
- 私物の状況を記録する
- 張り紙などで警告する
- 一定期間保管する
- 処分して費用を請求する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
私物の状況を記録する
まず、共用部分に放置されている私物の状況を写真や文書などで記録します。
私物の状況を記録することで、後に問題が発生した際に証拠として利用できます。
「何が」「いつから」「どこに置かれていたか」などを明確に記録しておきましょう。
張り紙などで警告する
次に、住民に向けて張り紙やお知らせを配布して、共用部分に置かれている私物の撤去を促します。
警告文には、撤去期限や法律的根拠を具体的に明示すると、より効果的です。
特定の住民であると判明している場合は、個別に注意を行うことも良いでしょう。
住民に私物を自主的に片付けてもらうきっかけになります。
一定期間保管する
警告した後は、必ず一定期間の保管が必要です。
明確な基準はありませんが、最低でも1〜2週間は保管しておきましょう。
所有者が引き取るために、十分な期間をあけておくことで、所有権の放棄があったとみなすことができます。
引き取り方法についても周知しておきましょう。
処分して費用を請求する
定められた期間を過ぎても引き取りがない場合は、私物を処分することができます。
処分にかかった費用を所有者に請求することもできますが、費用負担が発生することも事前に周知が必要です。
共用部分の私物を放置することはNG|苦情が来る前に弁護士にご相談を
この記事では、
- マンションの共用部分に私物を置くのがダメな理由
- 勝手に私物を撤去しないほうが良いこと
- 私物を撤去する場合の手順
についてお伝えしました。
マンションの共用部分に私物を置くことは、法律や管理規約に違反するだけでなく、安全面でも大きな問題を引き起こす可能性があります。
状況が複雑であったり、トラブルが深刻化している場合は、早めに弁護士に相談しましょう。
早期に専門家のアドバイスを受けることが、トラブル解決の足がかりとなるのです。
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