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【退職して私物を取りに行けない方へ】受け取り方と注意点を解説

私物を持って退職する様子

退職後、職場に私物を置き忘れてしまったことはありませんか?

体調不良精神的な理由で、なかなか取りに行けずに困ってしまう状況は意外と多いものです。

そんな時、どのように対処すればよいのでしょうか?

本記事では、退職後に私物を取りに行けない場合の対処法と、回収する際に気をつけるポイントについて詳しく解説します。

退職で私物を取りに行けない場合どうする?

退職後に職場に残してしまった私物を取りに行けない場合の対処法は次の3つです。

それぞれ見ていきましょう。

郵送で返却を依頼する

郵便物の梱包材

会社に連絡を取れる場合は、私物を郵送で返却してもらうよう依頼します。

その際、確実に受け取るためにも、着払いで送ってもらうようにしましょう。

もし配送先の住所を知られたくない場合は、コンビニ受け取りや郵便局留めなどを利用するとよいでしょう。

POINT

  • 会社に私物の郵送を依頼する
  • 着払いで送ってもらう

会社に処分してもらう

自分のベッドの上でスマホを操作する女性

退職者の私物は、たとえ会社内に残されていたとしても、会社が退職者の許可なく処分することは法的に許されません。

そのため、もしも会社に処分を依頼する場合は、事前に連絡することが必要です。

会社的にも処分の許可が出ている証拠が必要なため、処分依頼の場合は特に、メールで依頼することがおすすめです。

POINT

  • 会社は許可なく私物の処分ができない
  • 会社にメールで処分の依頼をする

依頼メールの文例を掲げておきますので、ひとつの例として参考にしてみてください。


題名:私物処分のお願い

株式会社〇〇〇〇
総務部 御中

お世話になっております。
私は、令和〇年〇月〇日に退職いたしました〇〇と申します。
退職の際に会社内に残してしまった私物について
以下のとおり、処分をお願い申し上げます。

【処分依頼物品】
1. デスク上の文房具一式
2. 書類整理棚の書類
3. ロッカー内の私物(衣類、書籍など)

【処分方法の希望】
上記の私物につきまして、廃棄をお願いいたします。

【連絡先】
電話番号: 080-xxxx-xxxx
メールアドレス: example@example.com

お手数をおかけいたしますが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

令和〇年〇月〇日
〇〇〇〇(署名)

同僚や家族に受け取ってもらう

退職後に自分で私物を取りに行けない場合、家族や同僚に代理で受け取ってもらう方法もあります。

まず、会社の総務部にメールなど記録が残る方法で連絡を取り、同僚や家族が受け取る旨を伝え、会社に訪れる日時を調整してもらいます。

受け取りの際には、私物のチェックリストを作成して何を回収するのかを受け取ってもらう人に伝えましょう。

POINT

  • 会社に代理人による私物回収の許可を得る
  • 私物のチェックリストを作成する

私物を会社に取りに行く場合は事前の連絡が必要

STAFFONLYのプレート

なお、会社に取りに行く場合は、必ず事前の連絡が必要です。

家族にお願いする場合はもちろん、自分が直接行く場合も同様です。

退職した時点で部外者となっていることを忘れてはなりません。

会社の許可なく無断で入ると、最悪の場合、建造物侵入罪に問われる可能性もあります。

注意ポイント

建造物侵入罪が成立すると「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が処せられてしまいます。

私物を取りに行く際は、必ず事前に会社側に連絡を入れて、日程を調整しておきましょう。

備品の返却忘れはない?残していた私物以外にも注意

退職して私物を取りに行けない場合に生じる問題は、所有物を勝手に処分されることだけではありません。

パソコンなどの貸与品は確実に返却しよう

IDカードやパソコン・スマホなど

退職前に会社から貸与されていた備品は、退職後であったとしても返却することが必要です。

返却が必要な備品の例

  • 会社から貸与されていたパソコン
  • 社員証やICカード
  • 制服 など

これらは全て会社の所有物です。

退職後に返却を怠ると、紛失や情報漏洩、不正利用など、大きなトラブルに発展する可能性があります。

会社に連絡して、速やかに返却しましょう。

メモ

郵送でも構いませんが、「受け取った・受け取っていない」などの受領トラブルに注意することが必要です。

事前に会社に連絡を入れた上で、配達記録が残る方法で発送しましょう。

健康保険証の返却も忘れずに

また、健康保険証退職日の翌日から無効になります。

会社は、健康保険証を健康保険組合や協会けんぽなどに返却する義務があるため、こちらも忘れずに返却しましょう。

退職代行だと解決する?2つのリスク

退職代行のブロックと履歴書

退職代行サービスを利用すれば、私物の回収や貸与物の返却などを代理で行ってもらえることがあります。

精神的なストレスなく手続きもスムーズに進めることができるでしょう。

ただし、次のようなリスクもあるため注意が必要です。

非弁行為の可能性がある

退職代行サービスは、従業員の代わりに会社に退職の意思を伝えることを主な業務としています。

しかしこのサービスは、非弁行為となる可能性があるので注意が必要です。

非弁行為とは?

弁護士でない者が報酬を得る目的で代理交渉などの法律事務を行うこと

退職代行サービスが、退職について代理交渉を行うと、非弁行為に該当する可能性があります。

無資格の代行サービスが対応できるのは、退職の意向を伝えることだけです。

会社と交渉が必要となる場合は、弁護士に依頼しましょう。

法的トラブルに対応できない

退職代行サービスは、法的なトラブルに対応することはできません。

退職の意向を伝えるまではスムーズに進んでも、トラブルが生じた場合は、再度弁護士に相談する必要があります。

特に、退職以前から給与や残業代が支払われていない場合や、労働条件を巡ってトラブルになっていたような場合では、最初から弁護士に相談するのが賢明な判断です。

退職後の私物回収で悩んだら弁護士へご相談ください

退職後に職場に私物を残してしまった場合、郵送で返却を依頼する、会社に処分してもらう、または同僚や家族に受け取ってもらう方法があります。

無断で会社に入ることは建造物侵入罪に問われる可能性があるため、必ず事前に会社と連絡を取りましょう。

また、退職代行サービスを利用する際は、法的トラブルには対応できないため、未払い給与の請求や労働条件に関する問題が発生した場合は弁護士の利用を検討しましょう。

退職時には、私物の回収だけでなく、貸与物の返却や必要な書類の受け取りにも注意が必要です。

退職は新たなスタートの一歩です。

焦らず、冷静に手続きを進めていき、トラブルが生じた場合は早めに弁護士に相談しましょう。

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