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テレワークでサボっている社員を解雇できる?対処法を解説

2021年11月24日

テレワーク サボり

テレワークが広まるにつれて、サボりの問題が浮上してきました。

今回は、サボった社員を解雇やその他の懲戒処分にできるのか、サボりをなくすにはどうしたらよいか、その対処法について解説していきます。

テレワークでサボりが発生する理由

テレワーク中の社員テレワーク中は時間の管理は自己責任になり、自由度が高いだけに隠れてサボることも容易です。

仕事に対するモラルやモチベーションの低下がサボりの原因となるので、高い自己管理力が要求されます。

時間の使い方は自己管理に任されている

自宅で仕事をする場合、多くはプライベートの用事もこなしつつ働くことになる為、プライベートと仕事の時間の切り分けがあいまいになってきます。

また、夜中でも早朝でも仕事ができる環境なので、「疲れたから、あとでやろう」と思いがちになることも。

時間管理がルーズになり働いているのか休憩しているのかあいまいな時間が多くなると、サボっている時間もふえます。

管理職は仕事の進捗が気がかり

管理職に就いている人の多くは、部下の仕事が予定通り進んでいるかを心配しています。

見えない所で働く部下が、サボらずにきちんと業務をこなしているかわからないからです。

頻繁に進捗状況を確認したり、報告を強要したりするのはそのためです。

その結果、過干渉になり、部下の方はサボっていると疑われているのではないか…と、プレッシャーを感じることになります。

信頼関係が弱くなっていくと「サボってもバレないなら好きなようにやろう」と考える人も出てきます。

モンスター社員の影響

ルールを守れない、協調性が欠如している、などの問題がある従業員がテレワークで日常的にサボるようになると、他の従業員にも影響を与えます。

また、サボっている人とまじめに働いている人との間で不公平感が生まれると、サボりを助長することにもなります。

テレワークのサボりを最小限におさえるには

ビデオ会議見えない環境で働く部下のサボりを防ぐには、いくつか対処法があります。

勤怠管理を厳しくする

自宅で仕事をしていると際限なく時間をかけられるので、残業代がかさむことになります。

残業をするときは予め申告させるなど、勤怠管理を厳しくすることによってムダな労働時間を抑えられ、ひいてはサボりを防ぐことにもつながります。

成果物重視の評価に切り替える

上司が部下を評価するときの基準として、勤務態度や業務に対する意欲・工夫など数値で表せない評価(定性評価)が含まれますが、テレワークでは相手が見えないぶん難しくなります。

そこで、どのような成果が出たのかという成果物重視の評価に切り替えるという方法があります。

信頼関係を大事にする

信頼されていると感じればモチベーションがあがるので、サボりは減ると思われます。

個々の意見が尊重されるようになると、慣れないテレワークでも臨機応変な対応策が出てくるはずです。

テレワークのルールを就業規則に明示する

書類とパソコン多くの企業ではルールを整える前にテレワークを余儀なくされているでしょう。

ここで就業規則を改定しルールを明確にすることによって、サボりを防ぐ効果を期待できるのではないでしょうか。

就業規則の見直しや従業員との合意、社内への周知などについては、弁護士に相談すると的確なアドバイスを得られます。

労働時間にバリエーションをもたせる

  • フレックスタイム制を取り入れる
    労働者が日々の始業・終業時刻を決めて、⽣活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。テレワークでも応用可能です。
  • 事業場外みなし労働時間制を取り入れる
    事業場(会社のオフィスなど)以外の場所で業務を行うときに、労働時間を算定するのが難しい場合は「特定の時間」労働したとみなすことができる制度です。職種によってはテレワークに取り入れると効果的です。
  • 時間外労働に関する取扱いを決める
    先にも述べたように、在宅勤務では時間管理がルーズになって長時間労働になりがちです。残業を事前申告制にするなど、ルールを見直す必要があります。

サボった従業員の処遇・処分を決めておく

サボりが発覚した従業員に対して懲戒を行う場合は、懲戒処分の種類、程度、手続き方法などを就業規則で明示しておかなくてはなりません。

テレワークでサボった従業員を解雇できる?

スーツを着て指をさす人テレワークでサボっていた従業員を懲戒解雇するには以下の要件を満たす必要があります。

  • 就業規則に懲戒処分の種類、程度、手続き方法などが明示されている
  • 現実に損害が発生している

サボったというだけではクビにできない

サボりがどの程度かによって、懲戒の程度も変わります。

1~2回サボりが発覚したからといっていきなり解雇するのは重すぎますし、社会通念上の相当性に欠けると判断されるでしょう。

戒告したうえでそれでもサボりが続くようなら解雇もあり得ますが、現実に損害が発生していなくてはなりません。

会社に対して重大な損害が発生したり、他の従業員に対して多大な悪影響を及ぼしたなどの事情があれば解雇も可能です。

労働契約法
第16条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

裁判事例

コロナ禍の事例ではありませんが、本来の職場以外の場所で勤務時間中に私用をしていたとして解雇の可否を争った事例です。

某学校法人の教頭が、修学旅行の引率団長として生徒をホテルへと引率する校務出張で、待機時間中に約5時間ゴルフに興じていた為、業務命令違反を理由に懲戒解雇されました。

裁判所は、懲戒解雇は客観的合理的理由がなく社会通念上相当であるとは認められないとして、無効と判断しました。

理由は業務違反行為は1回だけであり、現実の損害が発生していないという2点で、懲戒解雇は重すぎるという判断です。(大阪地判平5・9・29労判642号21頁より)

テレワークのサボりによる解雇は弁護士に相談する

以上のように、テレワークで監視の目が少なくなると、どうしてもサボりが発生します。

サボりを抑制するためには、労働時間にバリエーションを持たせるなど就業規則を改定してテレワークのルールを決めることが効果的です。

その際、管理を厳しくしすぎて信頼関係が損なわれないようにしましょう。

テレワークは高度な自己管理が要求される働き方ですが、優秀な人材の確保・定着、オフィスの経費節減など従業員も会社も双方にメリットがあります。

アフターコロナもテレワークを定着させたい場合は、本格的なルールづくりが不可欠です。

労務管理の困難さについては、弁護士がサポート出来る場面も多々あるでしょう。

また、就業規則の改定や手続面でのサポート、さらには会社と従業員の信頼関係を維持するためにも、専門の弁護士に相談するのがおすすめです。

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