という疑問をお持ちではありませんか?
賃貸物件の火事トラブルでは、火事が発生した原因や状況によって、その後の補償関係が大きく変わってきます。
必要な注意を怠ったばかりに、大きな負債を抱えてしまうという事態にもなりかねません。
そこでこの記事では、
- 賃貸で火事が起きた場合の損害賠償
- 火事に備えて、オーナー・入居者がそれぞれするべきこと
について解説します。
万が一の火事トラブルに備えて、ぜひご一読ください。
賃貸で火事が起きた場合の損害賠償はどうなる?
賃貸で火事が起きた場合、火事の発生原因や状況によって、火事によって生じた損害を誰が賠償するのかが変わってきます。
ここでは、以下の3つのケースに分けて、それぞれ説明します。
- 入居者の過失で火事になった場合
- 設備などの不具合で火事になった場合
- 自然災害等で火事になった場合
順番に見ていきましょう。
入居者の過失で火事になった場合の損害賠償
まずは、「入居者の過失(不注意)」により火事になって、損害が発生した場合について解説します。
- オーナー(物件の所有者)に対する賠償責任
- 近隣住民に対する賠償責任
それぞれで、考え方が異なるため、分けて説明します。
オーナー(物件の所有者)に対する賠償責任
入居者の過失で火事になった場合、オーナー(物件の所有者)に対しては、入居者(借り主)が、火事になった物件の原状回復義務を負います。
日本の民法では、入居者が住み始めた後に生じた損傷について、原状回復義務が規定されているからです。
原状回復義務とは?
借りた物件を借りた時の状態に戻して、オーナーに返還する義務のこと。
そのため、火事によって物件が損傷した場合、損傷した物件を修繕したり、オーナーに生じた損害に相当する金額を賠償したりする必要があります。
とはいえ、火事によって生じる損害は高額となるため、多くの場合、個人で賠償することはできません。そこで入居者は、自身が加入している火災保険を適用して損害賠償を行うことになります。
原状回復義務については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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近隣住民のもらい火事に対する賠償責任
一方、火事が延焼してしまい、近隣住民の物件に被害が生じてしまった場合には、入居者に過失があったとしても、賠償責任を負わないのが原則です。
日本では「失火責任法」という法律によって、「過失による火災の場合、重大な過失がある場合を除き、損害賠償の責任を負わない。」ことが規定されているからです。
重大な過失とは?
わずかの注意さえしていれば、火災が発生することが予測できたのに、著しく注意力を欠いたことにより火災に至った場合のこと。
(例)寝タバコによる失火・ストーブの火を付けたまま給油したことによる失火 など
そのため、もらい火事により、物件を損傷してしまった近隣住民は、自分の火災保険を利用して、必要な対応をすることになります。
設備等の不具合で火事になった場合の損害賠償
次に、「設備等の不具合で火事になった場合」について解説します。
例えば、「賃貸物件の電気系統に不具合があって発火し、火事になって、第三者に損害を与えてしまった」というケースで考えてみましょう。
この場合、入居者とオーナーの双方が、第三者に対して損害賠償責任を負う可能性があります。
民法により、一次的には入居者に責任がある一方で、入居者が必要な注意を果たしていた場合には、オーナーが最終的な責任を負うことが規定されているからです。
自然災害等で火事になった場合
最後に、自然災害で火事になった場合について解説します。
自然災害によって、物件に損害が生じてしまった場合は、オーナーの負担で必要な修繕を行うことが原則です。
民法606条により、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。」と規定されているからです。
つまり、自然災害により物件が被害を受けて、入居者が困るような状態になった場合、オーナーは速やかにそれを回復させる必要があるのです。
もしも物件の損傷を回復できない場合、家賃を減額したり、賃貸借契約を解除するなどの対応が必要となる場合もあるので、入居者とも相談しつつ、必要な対応を行いましょう。
賃貸の火事に備えてするべきこと
火事の原因に関わらず、賃貸物件が火事にあってしまうと、損害の回復に莫大な労力と費用がかかってしまいます。
結局のところ、最も大事なことは、家事に備えて事前に対策を行っておくことです。
この章では、賃貸物件の火事に備えてするべきことを解説します。
オーナーがするべきこと
賃貸物件の火事に備えて、オーナーがするべきことは、以下の2つです。
- 火災報知器や消火器を設置する
- 保険へ加入しておく
それぞれ説明します。
火災報知器や消火器を設置する
消防法により、賃貸物件にも、火災報知器や消化器の設置が義務付けられています。
設置していないことが原因で火事が拡大すると、民事上の損害賠償責任や、刑事上の業務上過失致死傷罪の責任を負う可能性もあります。
場合によっては保険が支払われなくなる危険性もあるため、 火事によるリスクを少しでも下げるために、必ず設置しましょう。
保険へ加入しておく
必要な保険に加入しておくことも、重要な対策の1つです。
事前に保険に加入しておくことで、万が一火事が発生してしまった場合も、大きな自己負担をすることなく、物件の修繕ができるからです。
契約内容によっては、火事による建物の損傷に備えることができるだけでなく、修繕や建て替えが必要となった場合の、家賃補償をしてもらえる場合もあります。
事前に適切な保険に加入しておくことで、火事によるリスクを格段に低下させることができます。
入居者がするべきこと
次に、賃貸物件の火事に備えて、入居者がするべきことを解説します。
- 火事の原因がないか調べる
- 火災保険の加入状況を確認する
それぞれ説明します。
火事の原因がないか調べる
まずは、入居中の物件に、火事が発生する原因となるような状況が生じていないか確認してみましょう。
- ストーブやコンロ等の周りに燃えやすい物が置かれていないか
- タコ足配線となっていたり、コンセント周辺に埃がたまっていたりしないか
- 寝タバコをしていないか など
前述のとおり、設備の不具合による火災が発生してしまった場合も、入居者が必要な注意をしていなかったと判断されると、入居者の責任となってしまいます。
火事を未然に防ぐためにも、事前に火事の原因がないか確認しておきましょう。
火災保険への加入状況を確認する
火災保険への加入状況についても、確認しておきましょう。
火災保険は、賃貸物件への入居時に加入していることが一般的ですが、居住期間によっては更新が行われておらず、火災保険が切れてしまっている場合もあります。
万が一火災保険が更新されていない場合、オーナーに迷惑がかかるだけでなく、火事により人生が大きく変わってしまう程の負債を抱えてしまう可能性があります。
火災保険の加入状況については、必ず定期的に確認を行いましょう。
その他の賃貸住宅でよくあるトラブルについてはこちらの記事もご覧ください。
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この記事では、
- 入居者の過失で火事になった場合の損害賠償
- 設備の不具合や、自然災害の場合の損害賠償
- 火事に備えてするべきこと
についてお伝えしました。
もっとも、この記事でお伝えしたことは、あくまで基本知識です。
実際の火事トラブルにおいては、
「火事が発生した原因や状況」
「入居者の過失の有無」
をどのように主張・立証していくかが最も重要となります。
主張・立証のやり方次第で、「責任の所在」や「損害賠償の金額」が大きく変わってくるからです。
もしも火事にあってしまった場合、速やかに弁護士に相談しましょう。
弁護士は、専門的な知識や経験を武器に、あなたの強い味方となってくれます。
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