SNSは便利な交流手段である一方、
- 投稿や行動を執ように監視される
- 勤務先や学校など現実の生活につながる情報を探られる
といった被害が起きやすい場です。
こうした被害への対応強化のため、ストーカー規制法は2025年末から2026年3月にかけて順次改正内容が施行され、被害者の安全確保に向けたルールが強化されました。
SNSでのつきまといや監視は、画面の中だけで終わるとは限りません。
この記事では、ストーカー規制法とSNSの関係を整理し、2026年3月までの改正で何が変わったのか、被害者として何に注意し、どのように身を守ればよいのかを詳しく解説します。
SNSでのつきまといや監視が社会問題に

SNSの被害は、単なる不快なやり取りで終わらないことがあります。
拒否しているにもかかわらず、連続してSNSメッセージを送るなどの迷惑行為は「ネトスト(ネットストーカー)」とも呼ばれ、社会問題にまで発展している深刻な問題です。
ブロック後も別の手段でつきまとわれるケース
SNSで相手をブロックしても、別のアカウントから再びメッセージを送ってきたり、DMが使えないとコメント欄や別のサービスを使って連絡してきたりするケースもあります。
ストーカー規制法でも、拒まれたにもかかわらず連続して電話、電子メール、SNSメッセージ等を送る行為を、ストーカー規制法上の対象となり得る行為として紹介しています。
●ストーカー行為等の規制等に関する法律 第2条第1項第5号
電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
一つのアカウントを遮断しても、手段を変えて連絡が続くなら安心はできません。
SNSの監視が現実の事件につながるケース

SNSの監視は、投稿内容や写真・位置情報の手がかり・交友関係の見え方から、相手が自宅や勤務先・立ち寄り先を推測し、現実の接触や待ち伏せにつながるおそれがあるためです。
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実際に、SNSで知り合った元交際相手に住所を突き止められ、自宅の窓ガラスを割られたといった被害事例もあります。
SNSの投稿を軽く見ず、監視されていると感じた時点で個人情報が特定されるような情報は、投稿しないことを心がけましょう。
2026年3月までの改正で何が変わった?
今回の改正では、被害者の安全を守るための仕組みが段階的に強化されています。
具体的には、2025年12月30日からは職権警告の創設や勤務先・学校への援助拡大が始まり、2026年3月10日からは被害者情報の流出を防ぐための新たなルールが設けられました。
職権警告や勤務先・学校への援助が広がった

改正前は、警察が加害者に警告するには、原則として被害者からの申出が必要でした。
一方、2025年12月30日からは被害者の申出がなくても警察が警告できるよう変更されています。
また、被害者への援助の主体も広がりました。
Point
例えば、勤務先では勤務場所や時間など勤務形態への配慮、学校ではホームページへの氏名掲載を控えることなどが示されています。
SNS被害はネット上だけで完結せず、勤務先や学校での接触につながることもあるため、いずれも被害者の生活を守るための改正といえます。
情報流出を防ぐ新ルールが始まった
2026年3月10日からは、被害者の情報が相手方へ渡るのを防ぐルールが強化されました。
警察庁の改正資料によると、警察本部長等が、ストーカー被害者の情報を提供するおそれがある者に対し、相手がストーカー行為等をするおそれのある者であることを通知し、「情報提供を行わないよう求める」ことができるとされています。
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具体的には、
- 氏名
- 住所
- 通学先
- 勤務先
- 避難先
- 電話番号
- メールアドレス
- SNSのアカウント名
- 車両番号
なども対象になるとされています。
SNS上のやり取りから勤務先や生活圏が探られやすい時代だからこそ、2026年3月の改正は、被害者情報の流出防止を通じた安全確保につながる内容だといえるでしょう。
SNS被害における安全確保のポイント
ここでは、SNSでのつきまといや監視などによる被害が広がる前に知っておきたい、安全確保のポイントをまとめました。
SNS情報の流出に注意する

SNSで注意すべき情報は、住所や勤務先だけではありません。
ストーカー行為等に使われ得る情報は、具体的に以下のとおりです。
ストーカー行為等に使われ得る情報
- 通学先
- 勤務先
- 避難先
- 通勤通学の経路
- 電話番号
- メールアドレス
- SNSのアカウント名 など
また、SNSの公開プロフィール、投稿写真、交友関係の見え方から生活圏が推測されるおそれもあります。
SNSでは個人情報の取扱いに十分注意しましょう。
ブロックや拒絶の意思を示した後は証拠を残す

相手をブロックしたり、これ以上連絡しないでほしいと伝えたりした後も連絡が続くなら、やり取りを消さずに残しておくことが重要です。
防犯の心構えとしては、拒絶の意思を示したうえで、日時や内容を記録し、着信履歴や着信画面の写真などを保存することが大切です。
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例えば、メールや写真を消さずに保存し、USBメモリやパソコンにバックアップしておくこと、いつ、どこで、何をされたのかを記録しておきましょう。
なお、SNSを使った嫌がらせや監視行為そのものについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事もあわせて確認してみてください。
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学校や勤務先にも早めに相談する
SNSの監視や嫌がらせ等が続いているときは、学校や勤務先にも早めに事情を共有しておくことも大切です。
改正後は、ストーカー被害者に対する援助の主体に、地域住民に加えて被害者の勤務先と学校が追加されました。
被害が現実の接触につながる前に、相談先を増やしておくことが安全確保につながります。
警察はどこまで対応してくれるのか

ストーカー被害では、相手の行為がエスカレートする前に警察へ相談することが重要です。
とはいえ、実際に警察はどこまで対応してくれるのでしょうか。
警告や禁止命令につながるケース
警察が動けるのは、被害が深刻化してからに限りません。
改正後は、被害者の申出がなくても警察が警告できる職権警告が創設されており、早い段階で対応しやすくなっています。
Point
警告とは、警察署長等が相手方に対して「その行為をやめなさい」と注意する行政上の対応です。
一方、禁止命令は、さらに強い措置として「その行為をしてはならない」と命じるもので、違反すると刑事罰の対象になることがあります。
警視庁の統計を確認してみても、令和7年中にストーカー規制法による警告は433件、禁止命令は524件と公表されており、警告や禁止命令は現実に用いられている対応です。
危険があるときはすぐに警察へ相談する
ブロック後も別アカウントで連絡が続く、自宅付近に現れるおそれがあるなど、身の危険を感じるときは、ためらわず警察へ相談しましょう。
警視庁は、被害に不安を覚えたら最寄りの警察署に相談するよう呼びかけており、相談専用ダイヤル「#9110」も案内しています。
危険が迫っているときは110番通報が必要です。
なお、改正後は、勤務先や学校も被害者支援の主体に加わっているため、警察と並行して相談するのも有効です。
自分一人で抱え込むことがないようにしましょう。
対応してもらえない場合は弁護士へ

警察に相談しても、十分な対応を受けられないと感じる場合は、弁護士への相談も検討してください。
弁護士であれば、被害者の代理人として相手方との間に入って交渉したり、内容証明郵便を送って警告したりすることができます。
また、今後どのように対応すべきかを整理したい、証拠の残し方を知りたい、法的な手段を確認したいといった相談にも対応可能です。
警察への相談と並行して、法的な解決が必要だと感じた段階で弁護士への相談も視野に入れましょう。
SNSでのストーカー被害は一人で抱え込まないこと
SNSでのつきまといや監視は、画面の中だけの問題ではありません。
ブロック後も別の手段で連絡が続いたり、投稿や交友関係から勤務先や生活圏を探られたりすると、現実の接触や待ち伏せにつながるおそれがあります。
相手の行為が止まらない、警察に相談したものの今後の対応に不安がある、勤務先や学校への伝え方も含めて整理したいという場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
一人で抱え込まず、被害が深刻化する前に専門家の力を借りることが大切です。

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