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ネット上の悪口は罪になる?どこからが犯罪なのか徹底解説!

投稿日:2019年7月23日 更新日:

パソコン ネット書き込み

いまやインターネットは誰もが日常的に使いこなしているツールですが、便利な反面、特定の相手の誹謗中傷や掲示板での罵り合いなどが常態化しているのも事実で、ネット上での悪口が原因で名誉毀損罪侮辱罪などで訴えられるケースも少なくありません。

特にインターネットの掲示板などは匿名で様々な主張ができる場ですから、どうしても悪口誹謗中傷の温床になってしまいがちです。日常生活の様々な場面で他人の悪口を言ってしまうような人は多いですが、もしかするとそれがきっかけで訴訟沙汰になる可能性もあるのです。

もし、あなたがネット上での軽はずみな発言で訴えられたり、逆に悪口や誹謗中傷を受けたらどうするでしょうか?

そこで今回は、ネット上での悪口が問題になったり、被害者からの告訴によって裁判になってしまう可能性について解説します。特にどういう行為が犯罪になるのかをしっかりと理解し、余計なトラブルに巻き込まれないようにしましょう。

ネット上の悪口が犯罪になるケース

まず、ネット上の悪口について、どういう場合が犯罪となるのかを理解しましょう。

一口に「悪口」といっても、他者に対する不満や誹謗中傷、事実に基づかない風評の流布など、実際には様々なケースが考えられます。ですが、犯罪行為とみなされる可能性があるのは「名誉毀損罪」「侮辱罪」に該当する場合に限られます。

それぞれがどういう犯罪なのかを知っておきましょう。

名誉毀損罪とはどういう犯罪か?

名誉毀損罪という言葉は様々な場面で聞く機会がありますが、具体的にどういう犯罪なのかを説明できる人は意外に少ないのではないでしょうか?

名誉毀損とは、簡単にいえば相手の社会的な評価を下げる言動のことをいい、法的には「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に適用されます(※1)。

つまり、他人の社会的な信用や名声といった人的価値を貶(おとし)める行為が名誉毀損となり、たとえばネットの掲示板などで「○○は詐欺行為をしている」とか「××は複数の女性と性的な関係をもっている」といった書き込みなどが該当します。

ネットの掲示板などで特定の人物に対して「犯罪行為をしている」「犯罪者だ」といった書き込みをする行為は名誉毀損となる可能性が高く、実際に被害者から告訴されて有罪とされた事件も少なくありません。

たとえば、テレビで活躍するお笑いタレントのY氏に対する強姦容疑の告訴状をネット掲示板にアップロードした女性が同氏から名誉毀損罪で訴えられ、大阪地裁から懲役1年2月、執行猶予3年(求刑懲役1年2月)の判決が言い渡された事件があります(※2)。

名誉毀損罪の刑罰は「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」となっているため(※1)、軽い気持ちでネットで他者の風評を流したり、「犯罪行為をしている」「不倫をしている」といった社会的な評価を貶めるような書き込みを行った場合、実刑を含む刑罰を受ける可能性があるわけです。

そして、名誉毀損罪で特に注意すべきなのが、刑法の条文にある「公然と事実を摘示して」という部分です。

名誉毀損罪が成立するためには「不特定多数の人がその情報を知ることができること」と「他者の社会的評価を低下させる事実を提示」することが必要で、当事者のみでそういった事実を提示する場合は該当しませんが、提示した内容が事実であるかどうかは問題とされません。

つまり、ネットに書き込んだ情報が本当だろうと嘘だろうと、相手の社会的信用を傷つけるものであれば名誉毀損罪が成立する可能性があるということです。

ネット上で風評を流したり、特定の相手を誹謗中傷する人のなかには「事実だから問題ない」と主張するケースがありますが、そういった言い訳は通用しないわけです。

ただし、刑法ではその行為が「公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合」で、さらにその内容が「真実であることの証明」があった場合には名誉毀損とはらないとされています(※3)。

たとえば、報道機関による政治家の不倫などのスキャンダルが名誉毀損にあたるかどうかが議論されることがありますが、政治家という役職上、その人となりを世間に知らしめることは公の利益になるという判断から、名誉毀損にあたらないと判断されるケースが多いのが実態です。

しかし、一般人に対するネット上の悪口の場合、その内容が公共の利害に関するとみなされるケースは極めて稀(まれ)ですから、一般人に対する風評を流したり、社会的な評価を下げるような言動は名誉毀損となる可能性が高く、十分注意しなくてはなりません。

たとえ「事実だから」という理由で軽はずみに書き込みをしてしまうと、相手から訴えられて相応の刑罰を科されてしまう可能性があるのです。

侮辱罪とはどういう犯罪か?

ネットの誹謗中傷侮辱罪とは、相手を公然と侮辱することで成立する罪です。たとえば「○○はバカだ」「××は不細工だ」といった汚い言葉で罵倒することで成立するため、ネット上の悪口に関しては名誉毀損罪よりも想像しやすいでしょう。

刑法では「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」とされており(※4)、名誉毀損罪と同様に当事者以外の第三者がその内容を見聞きできる状態でなければ成立しません。

しかし、インターネットは不特定多数の人が閲覧できる環境ですから、ネット上での侮辱や罵倒は、そのまま侮辱罪が成立する可能性があるので注意が必要です。

特にネットの掲示板などでは日常的に「バカ」や「アホ」「キモい(気持ち悪い)」のような特定の人物を侮辱する書き込みが散見されますが、その発言が誰に対してのものか第三者にもわかるような場合、被害者から告訴されて相応の刑罰を科せられる可能性があるのです。

なお、侮辱罪の刑罰は「拘留又は科料」となっており、そのほとんどが罰金刑になるのが実態ですが、悪質な場合は刑事施設に拘束される可能性もあります。

  • 拘留:1日以上30日未満の間、刑事施設に拘束する刑罰。
  • 科料:1000円以上1万円未満の罰金刑。

名誉毀損罪も侮辱罪も裁判には被害者の告訴が必要

名誉毀損罪と侮辱罪について一通り解説してきましたが、どちらも逮捕・起訴するためには被害者からの告訴が必要となり、これを親告罪といいます。

親告罪の場合、被害者からの訴えがあってはじめて警察は捜査を開始することになり、たとえ捜査の途中であっても、被害者からの訴えの取り下げがあった場合は、警察や検察はそれ以上の捜査はできません。

つまり、ネット掲示板などへの書き込みによって名誉毀損罪や侮辱罪などで訴えられた場合でも、被害者との示談によって訴えを取り下げてもらうことができれば刑罰を受けずに済むようになります。

ネットの書き込みについてのトラブルや親告罪について、詳しくは以下の記事で事例とともに解説しています。ぜひこちらを参考にしてください。

また、被害者との示談については、以下の記事を参考にしてください。

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悪口がプライバシーの侵害となり慰謝料請求される可能性もある

プライバシーの侵害ネット上での悪口が問題となる場合、そのほとんどがこれまで説明してきたような名誉毀損罪や侮辱罪に該当するかどうかが争点となります。

ですが、刑法上の問題とはならないものの、加害者に民事上の責任が発生するケースがあります。それが被害者のプライバシーの侵害です。

たとえば、悪口の延長で被害者の個人情報などをネット上に公開してしまった場合や、被害者が他人に知られたくないような情報、たとえば「○○の両親は不倫しているから○○も男(女)にだらしない」といった書き込みを行った場合などです。

特に後者は名誉毀損罪も成立する可能性もありますが、これまで公開されていなかった相手の私生活に関する秘密(両親が不倫している)をみだりに公開したことがプライバシーの侵害にあたるケースがあるのです。

プライバシーの侵害は刑法に規定がなく、侮辱罪のような拘留や科料といった刑事罰は存在しません。ですが、被害者に民事上の裁判を起こされて不法行為として認められれば、損害賠償請求によって慰謝料を含む賠償金を支払わなければならない可能性があります。

ネット上での匿名の悪口は特定される?

ネット上の悪口に関して多くの人が気になるのは、自分が匿名で書いた書き込みが特定されるのか、あるいは逆に、自分に対して匿名で誹謗中傷の書き込みをした人を特定できるのかということでしょう。

結論をいえば、被害者側の「開示請求」によって身元が特定される可能性はあります。

「開示請求」とは、簡単にいえば相手側のもっている情報を提供させるための手続きであり、特にネット上のトラブルの場合、サーバー管理者やプロバイダに対して悪口の書き込みを行った人物のIPアドレスの提示を求める手続きとなります。

開示請求の方法とプロセス

ネット上の悪口が原因で相手を侮辱罪や名誉毀損罪で訴える場合、そのほとんどが匿名での投稿となります。そのため、書き込みをした相手がわからず、警察に被害届を出したり、損害賠償請求などをすることができません。

そこで加害者に刑事上あるいは民事上の責任を問うため、その相手を特定する手段がプロバイダ責任制限法の第4条に規定されています。

具体的には、ネット上で自分の権利が侵害されたことが明らかな者は、サーバーを提供している者やインターネットプロバイダに対して、その権利を侵害した者(つまりネットに悪口を書いた者)の情報(氏名、住所、メールアドレス、IPアドレスなど)の開示請求ができるのです(※5)。

インターネットを利用する際は必ずインターネットプロバイダと契約する必要があり、その際に氏名や住所、電話番号などの個人情報を提供しなければなりません。そのため、プロバイダに開示請求がされ、それが了承された場合は、請求した相手にその情報が提供される可能性があるわけです。

ネットでの悪口が原因で訴訟となる場合、被害者はプロバイダに対して加害者の情報の開示を請求し、その情報をもとに相手を特定して被害届や訴訟手続きをとっているわけです。

警察や裁判所による開示請求以外でプロバイダが情報を提供するケースは少ない

ただし、インターネットプロバイダが被害者からの開示請求に簡単に応じることはほとんどありません。

本来、情報の開示請求は裁判手続きを経なくても可能ですが、プロバイダ側としてもみだりに利用者の個人情報を開示するわけにはいきません。場合によっては被害を装った相手に情報を開示してしまうというリスクなどもあるからです。

そのため、警察や裁判所の判断による開示請求以外には応じないという姿勢をとっているプロバイダが多いのが実態です。

しかし、逆にいえば、きちんと裁判上の手続きを踏んだ上で開示請求をすれば応じるケースがほとんどですから、個人で請求するのではなく、まず弁護士に相談して対応してもらうことがスムーズかつ確実な方法となります。

自分の悪口をネットに書かれたり誹謗中傷された場合の対応

誹謗中傷を受けたらそれでは、ネットで悪口を書かれたり、誹謗中傷を受けた場合の適切な対応について知っておきましょう。

ネット掲示板などで誹謗中傷を受けた場合、それが些細な内容ならば無視すればよいかもしれませんが、日常生活に支障を及ぼすような深刻なものだった場合、早急に対応しなければならないケースも考えられます。

重要なのは、まず相手に誹謗中傷の書き込みを止めるように働きかけることですが、それで相手が応じない場合は法的手段に出る必要があるでしょう。その際は、できるだけ早く弁護士に相談してアドバイスをもらうことです。

告訴のための手続きや、裁判に必要となる準備などは具体的に弁護士がアドバイスしてくれますから、基本的には弁護士の指示に従っておけば大丈夫です。ただ、加害者に民事上の損害賠償請求をするにせよ、名誉毀損などで刑事上の責任を問うにせよ、しっかりと証拠を集めておくことが大事です。

たとえば、掲示板で名誉毀損にあたる書き込みがされた場合などは、その書き込みの画面を保存したり、プリントアウトするなどして証拠として使えるようにしておきましょう。

そのあたりも弁護士がアドバイスしてくれますが、書き込みを相手やプロバイダが削除する可能性もありますから、まずはしっかりと証拠を保全して、それから必要に応じて掲示板の管理人などに削除依頼を出しましょう。

ネットでの悪口が問題になってしまった場合の対応

逆に、軽はずみにネットに他者の悪口を書いてしまい、加害者として訴えられてしまったらどうすればよいでしょうか?

すでに説明しましたが、名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪ですから、被害者に訴えを取り下げてもらえれば刑罰を受けることはありません。それ以前に、警察に被害届が出される前にしっかりと謝罪して許してもらうことができれば、逮捕にまで至らずに済むケースがほとんどです。

それに、もし逮捕されてしまったとしても、早急に被害者と示談を成立させることができれば、告訴が取り下げられて有罪にならずに済みます。たとえ検察官が起訴しようとしても、被害者からの告訴が取り下げられれば、起訴できないことになっているからです。

そのため、ネットの悪口が原因で逮捕された場合、できるだけ早く弁護士に相談して示談交渉をしてもらうのがベストな選択となります。弁護士を通すことで話し合いがまとまりやすくなり、被害者に告訴を取り下げてもらえる可能性が高まります。

被害者側と一対一で話し合うこともできますが、感情的にこじれてしまったり、被害者の方が話し合いを拒否することもありますから、第三者の立場で冷静に話し合いができる弁護士に依頼することをおすすめします。

悪口をネットに書かれるなどのトラブルに巻き込まれた場合の対応を知っておこう

ネット上での悪口が犯罪となるパターンや、実際にトラブルに巻き込まれた場合に対応について解説しました。

いまやほとんどの人がネットを通じて情報のやりとりをするようになっており、それに伴って誹謗中傷などのプライバシーの侵害などの問題が日常的に起こっている現状があります。特に、ネット掲示板などは特定の相手を侮辱する場になってしまいやすいため、利用にあたっては加害者として訴えられたりしないように十分注意する必要があります。

逆に、自分のプライベートの情報を晒されたり、いわれのない侮辱を受けたりする可能性もありますから、そうなった場合の適切な対応についても知っておく必要があります。

万が一、こういったトラブルに巻き込まれたら、信頼できる弁護士に相談して対応をアドバイスしてもらいましょう。弁護士ならば訴訟になった場合でも対応を任せられますし、スムーズに問題を解決するために様々なサポートをしてくれます。

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