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ネットの誹謗中傷記事を消したい!削除依頼の方法を解説

2019年9月27日

最近は匿名で利用できる掲示板やSNSが多様化し、利用者も急増しており、無責任な書き込みや誹謗中傷の書き込みが以前にも増して発生しやすくなっています。

誹謗中傷を友人や知り合い、家族、仕事関係の人たちに見られるとに悪い印象を持たれてしまい、人間関係が悪化する恐れがあります。

お店や企業などの場合は、信用を落として売上げが下がってしまうこともあるでしょう。

誹謗中傷の書き込みは削除しない限りいつまでも残るので、一刻も早く削除したいところです。

この記事では、ネットに書き込まれた誹謗中傷を削除する方法や、困ったときの相談先を解説していきますので、誹謗中傷を書き込まれて悩んでいる方は参考にしてみてください。

誹謗中傷の削除依頼は自分でできる

ネットに誹謗中傷を書き込まれたら、自分で削除依頼をすることができます。

誹謗中傷への対処は一刻も早い方が良いので、まずは自分でできることをやってみましょう。

サイト内の『削除申請フォーム』から誹謗中傷の削除を依頼する

ネットの誹謗中傷を削除依頼誹謗中傷を書き込まれたサイトに『削除申請フォーム』『お問い合わせフォーム』があれば、そこから削除依頼をすることができます。

どの書き込みによって自分のどのような権利が侵害されたのかをできるだけ具体的に記入して送信しましょう。

ネット上の書き込みがどのような権利侵害になるのかについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

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サイトにガイドライン(利用規約)や削除基準が記載されている場合は、どの条項に該当するのかも明記しましょう。

ただし、削除依頼に応じて問題の書き込みを削除するかどうかはサイト管理者の判断次第になります。

サイト管理者は書き込みをした人の表現の自由にも気を使わなければならないので、削除に積極的でないこともあります。
また、単に削除依頼を無視するサイト管理者もいます。

結局のところ、削除に応じてもらえないケースも多々あるのです。

削除に応じてもらえない場合や、『削除申請フォーム』などの連絡フォームがない場合は、次の手段をとることになります。

プロバイダ責任制限法にもとづく誹謗中傷の削除依頼

誹謗中傷の書き込みをされたサイトの管理者に対しては、プロバイダ責任制限法という法律に基づいて、その書き込みの削除を依頼することができます。

プロバイダ責任制限法はインターネット上の書き込みなどによって他人の権利が侵害された場合に、サイト管理者やプロバイダが負うべき損害賠償責任を限定することを主な目的として制定された法律です。

一見、サイト管理者やプロバイダの責任を追及するのが難しくなるようにも思えますが、実はこの法律があることによって削除依頼をする人は有利な立場になるのです。

まず、サイト管理者等は、サイト上の書き込みによって他人の権利が侵害されても、一定の事由に該当する場合以外は損害賠償責任を負わないと定められています。

一定の事由とは、

  • 書き込みを削除することが技術的に可能であって、
  • その書き込みが他人の権利を侵害していると知ることができた

にもかかわらず削除しなかった場合です。

逆に言えば、書き込みが権利侵害だと知りつつ、技術的にも可能だったのに削除しなかったときは、損害賠償責任を負うということです。

また、サイト管理者等は、書き込みを削除したことで投稿者側に生じた損害についても、一定の事由に該当する場合以外は損害賠償責任を負わないと定められています。

ここで言う一定の事由とは、「書き込みをした人に対して被害者からの削除依頼に同意するかどうかを尋ねたのに、7日以内に回答がなかった場合」などです。

書き込みをした人に対する損害賠償責任が限定されているので、サイト管理者としては被害者からの削除依頼に応じやすくなっているのです。

この法律に基づいて削除依頼をする場合は、『送信防止措置依頼書』という書面を作ってサイト管理者へ郵送することになります。

書面の様式に特に決まりはありませんが、どの書き込みによって、自分のどんな権利が、どのように侵害されているのかを特定して記載する必要があります。
削除してほしい書き込みが掲載されている記事のURLも記載しましょう。

なお、削除依頼はサイト管理者に対してだけでなく、サイト管理者が利用しているプロバイダに対しても行うことができます。

サイト管理者が利用しているプロバイダを特定する方法は、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

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誹謗中傷の書き込みを削除依頼するときの例文

サイト内の『削除申請フォーム』から削除依頼するときは、そのフォームで書き方が指定されている場合は、その方法に従ってください。

一般的には、次のような構成で依頼文を記入すると良いでしょう。

削除申請する場合の依頼文の一例

「○○の記事内に、私が職場の上司と不倫をしているという書き込みがあります。

この書き込みを見た夫から浮気を疑われて夫婦関係が悪化し、大変迷惑しています。

この書き込みは私の名誉を著しく毀損するものです。

ただちに書き込みを削除してください。」


このように、書き込みの内容・書き込まれた場所・被害状況を的確に指摘して、削除依頼する意思をはっきり伝えましょう。

郵送する場合は、このような文面で書面を作ってサイト管理者などに内容証明郵便で送付しましょう。

内容証明郵便にすることで相手にインパクトを与えることができますし、後に裁判をする際の証拠にもなります。

ただ、サイト管理者自身が誹謗中傷を書き込んだわけではないので、けんか腰の文面にすると相手の印象を悪くし、逆効果になる場合があります。

冷静に、淡々と事実を指摘した文面を心がけましょう。

書き込みをした本人に対する削除要請は慎重に

ネットの誹謗中傷に悩む掲示板などに誹謗中傷の書き込みをされた場合、その掲示板内で反論の書き込みをすることはおすすめできません。

さらに書き込みがエスカレートしたり、そのやりとりを見た他の人まで便乗して誹謗中傷してくる可能性が高いです。

誰が書き込みをしたのかが分かっている場合に、本人に連絡して削除要請することも考えられますが、慎重になるべきです。

相手が逆上したり面白がったりして、やはり書き込みがエスカレートする可能性もあるからです。

書き込みを削除するためには、結局はサイト管理者やプロバイダに依頼する必要があるので、相手本人に削除要請をするよりは自分ですみやかに削除依頼をする方が良いでしょう。

書き込みをした本人に対しては損害賠償を請求することもできますが、まずは削除依頼を急いだ方が良いです。

SNS別に誹謗中傷の削除の依頼方法を解説

最近ではSNSが多様化し、それぞれのSNSにおいて誹謗中傷の書き込みが見受けられます。

そこで、SNS別に削除依頼をする方法を解説します。

ツイッターでの削除の依頼方法

ツイッターでは、ユーザーが安心して利用できるように、誹謗中傷などの攻撃的な行為を禁止しています。

違反したコンテンツに対しては削除したり、そのコンテンツの投稿者のアカウントの一時的ロックや永久凍結などの処分が用意されています。

以下は、ツイッターに書き込まれた誹謗中傷の削除をこちらから依頼する方法です。

  1. まず、問題となるツイートをスクリーンショットなどで保存しましょう。投稿日時も画面内に入るように撮影するのが望ましいです。
    そうすることによって、証拠を保存することができます。
  2. 次に、ツイッター社へ削除依頼を出します。
    具体的には、まず「ヘルプセンター」から「お問い合わせ」をクリックします。
    「お問い合わせの内容」のうち、「嫌がらせや攻撃的な行為を報告したい」をクリックしてください。
  3. 次の画面で、問題の詳細や対象となるツイートのURL、報告者の氏名、メールアドレス、ユーザー名を尋ねられるので、それぞれ入力して送信します。
  4. 削除依頼を送信した後は、本人確認が必要です。
    ツイッター社からメールが送られてくるので、そのメールに返信する形で本人確認書類を提出します。
    運転免許証やパスポートなど顔写真付きの公的な身分証明書をスマホなどで撮影してメールに添付すれば大丈夫です。

その後、1週間前後でツイッター社から削除するかどうかの回答が届きますが、ほとんどの場合はその時点で既に削除やアカウント凍結などの措置が終わっています。

Googleでの削除の依頼方法

GoogleにはGoogle+(グーグルプラス)というSNSがありますが、一般ユーザー向けのサービスは2019年4月2日をもって終了しました。

それに伴い、コンテンツは順次削除されていますが、一部にまだ削除されていないコンテンツや、法律上の理由で削除されないコンテンツもあります。

また、企業向けのGoogle+は引き続き利用可能な状態になっています。

Google+に誹謗中傷の書き込みをされた場合は、ユーザー欄の「不正行為を報告」をクリックして、指定されたフォームから削除依頼を出すことができます。

Googleには、その他にも数多くのサービスがあり、どのサービスでも人が書き込める機能がある以上は誹謗中傷される恐れがあります。

誹謗中傷の書き込みを見つけた場合は、上記のように個別のサービス内で削除依頼を出してもいいのですが、『Googleからコンテンツを削除する』という総合的な削除依頼ページがあるので、そこから削除依頼を出すこともできます。

インスタグラムでの削除の依頼方法

インスタグラムのイメージインスタグラムで誹謗中傷の書き込みをされた場合は、その投稿画面から削除依頼を出すことができます。

  1. まず投稿の右上にある『︙』から『報告する』をクリックします。
  2. 報告する理由を選択する画面が出てくるので、『嫌がらせやいじめ』を選択します。
  3. 開いたフォームで、指示に従って必要事項を入力して送信しましょう。また、インスタグラムでは誹謗中傷する書き込みをしている人のアカウントの削除も求めることができます。
  4. 削除したいアカウント画面を開いた状態で、右上の『︙』から『報告する』をクリックします。
  5. 続いて『アカウントを報告』を選択し、『このアカウントはinstagramコミュニティガイドラインに違反していると思う』を選択します。
  6. 報告する理由を選択する画面が出てくるので、『不適切なコンテンツを投稿している』を選択し、開いたフォームで指示に従って必要事項を入力して送信しましょう。

YouTubeでの削除の依頼方法

YouTubeに誹謗中傷する内容の動画をアップロードされた場合は、以下のように削除依頼を行ってください。

  1. 投稿者名と動画タイトルの下にある『・・・』をクリックし、『報告』をクリックします。
  2. 『差別的または攻撃的な内容』を選択し、『いじめ』を選択して『次へ』をクリックします。開いたフォームで指示に従って必要事項を入力して送信しましょう。
  3. 動画そのものではなく、その動画に対して投稿されたコメントで誹謗中傷された場合は、対象となるコメントの右側にある『・・・』から『報告』をクリックします。
  4. 開いた画面で『嫌がらせ、いじめ』を選択して報告しましょう。

サイト管理者不明のネット記事で誹謗中傷された場合の削除依頼

インターネットの世界には、管理者が明示されているサイトばかりではなく、サイト管理者不明のサイトもたくさんあります。

そんなサイトの記事で誹謗中傷された場合は、サイト管理者やプロバイダを特定した上で書き込みの削除を求めることになります。

その方法を次にご説明します。

裁判手続きで誹謗中傷の書き込みを削除する方法とは

サイトの『削除申請フォーム』や『送信防止措置依頼書』で削除依頼をしても、書き込みの削除に応じてもらえない場合は多々あります。

そんな場合や、サイト管理者不明のネット記事の書き込みを削除したい場合は、裁判手続きを利用することになります。

裁判手続きを利用するためには、相手が誰かを特定していなければなりません。サイト管理者やプロバイダが判明していない場合は、まず特定する必要があります。

サイト管理者やプロバイダを特定する方法は、こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

誹謗中傷の書き込みの削除を求める申立

記事削除の仮処分命令の申立サイト管理者やプロバイダが特定できたら、その人を相手にして、「記事削除の仮処分命令の申立」を裁判所にします。

仮処分命令とは、普通の裁判の結果を待っていたのでは取り返しのつかない権利侵害が起こるような場合に、とりあえず必要な処分を仮に行うことを裁判所から相手に命じてもらうことです。

誹謗中傷の書き込みをされた場合は、書き込みをした人を相手に慰謝料を請求する裁判を起こして、その結果を待っていたのでは1~2年もの期間がかかることもあります。

その間、誹謗中傷の書き込みを放置していたら、書き込まれた人に取り返しのつかない損害が発生する恐れがありますよね。

そこでとりあえず書き込みを削除してもらうように求めるのが、「記事削除の仮処分命令の申立」になります。

仮処分命令の申立には2つの要件がある

仮処分命令が認められるためには、申し立てる人に「守るべき権利」と、その権利を「守る必要性」があることの2つの要件があります。

  • 書き込みによって名誉を毀損された場合は、名誉という「守るべき権利」があります。
  • その権利が侵害されて会社や学校、家庭などでの人間関係が悪化して困るという場合は「守る必要性」も認められます。

書き込みが単に気に入らないというだけの理由では仮処分命令は認められないので、ご注意ください。

2つの要件を満たすと裁判所が判断すれば、相手に対して書き込みを削除するように命じる仮処分命令が下されます。

裁判所が下した仮処分命令には強制力があるので、これによって誹謗中傷の書き込みは削除されることになります。

誹謗中傷の削除の相談先は3つ

ネットに書き込まれた誹謗中傷を削除する方法を解説してきました。

サイトの『削除申請フォーム』から削除依頼を出すだけでサイト管理者が削除してくれれば良いのですが、削除してくれなかった場合、その後の手続きは難しく感じる方もいらっしゃるでしょう。

難しいと思われた場合は、一人で悩まずに早めに専門家などに相談することをおすすめします。

誹謗中傷の書き込みは放置している間残り続けますし、被害も続きます。相談は早い方が望ましいです。

誹謗中傷の削除を相談できる相談先は「法務局」「弁護士」「専門業者」の3つがあります。

警察のサイバー犯罪相談窓口にも相談はできますが、警察の仕事は犯人を検挙して犯罪を取り締まることであり、誹謗中傷の書き込みの削除をしてくれるわけではありません。

したがって、ここでは相談先として上記の3つをご紹介します。

法務局では削除依頼の方法を教えてくれる

法務局に相談する誹謗中傷の書き込みによって名誉毀損などの被害を受けたら、名誉権という人権を侵害されているので、法務局の「インターネット人権相談窓口」に相談することができます。

相談すると、基本的には誹謗中傷の書き込みの削除依頼ができることや、削除依頼の方法を教えてもらって、その説明に従って自分で手続きを進めることになります。

自分で削除依頼をすることが難しい場合は法務局の担当者が削除依頼をしてくれることもありますが、基本的には自分でやることを勧められますのでご注意ください。

弁護士なら全てを代行してくれる

弁護士に依頼すれば費用はかかりますが、削除依頼も裁判所への仮処分命令申立も代理してやってもらうことができます。

注意が必要なのは、弁護士にも得意分野と不得意分野があって、インターネット分野に詳しい弁護士はそれほど多くないということです。

インターネット分野に強い弁護士を探すためには、まずはお近くの弁護士会や法テラスでインターネット分野に強い弁護士を紹介してもらうように頼むことです。

それでも適任の弁護士が見つからない場合もあります。その場合は近くにいる弁護士に無理に相談するよりも、遠方ではあってもインターネット分野に強い弁護士に相談する方が良い結果が得られやすくなります。

インターネットで検索して、口コミでの評判なども確認した上で、適任の弁護士を探してみましょう。

自分に合った弁護士の探し方は、こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。

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専門業者は問題のサイトを人目につきにくくしてくれる

誹謗中傷の書き込みに対応してくれる専門業者もたくさんあります。

ただ、専門業者といえども書き込みを直接削除できるわけではありませんし、削除依頼を代行してくれることもありません。

報酬をもらって削除依頼や仮処分命令申立を代行できるのは弁護士だけであり、弁護士でない人が報酬をもらって代行すると法律に違反する犯罪となります。

業者がやってくれるのは、「逆SEO」という技術を使って、問題となるサイトや記事の表示順位を下げることによって人目に触れにくくさせることです。

費用は業者によってまちまちで、弁護士に依頼するよりも高額になる場合もあるのでご注意ください。

ネットの誹謗中傷記事の削除で困ったら早めに弁護士に相談を

サイトの『削除申請フォーム』から削除依頼を出すことは自分でできますし、プロバイダ責任制限法にもとづく削除依頼も、調べたり法務局に相談したりしながら自分で行うことはできると思います。

しかし、『記事削除の仮処分命令の申立』は弁護士に依頼しないとかなり難しいでしょう。

自分でできることは自分でやることも大切ですが、誹謗中傷の書き込みへの対処は時間との勝負のような側面もあります。

自分でやるのが不安だったり、自分の手には負えないと感じるようなら、最初から弁護士に相談するのも、もちろん構いません。

1人で悩むよりは、早めに弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

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