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示談金が払えないときどうする?知っておくべき対策を解説!

2019年5月10日

お金がない

自分や家族が犯罪行為をして逮捕されてしまった場合、すみやかに被害者側と示談を成立させることで不起訴処分となったり、重い刑罰を避けられる可能性が高まることを知っている人は多いでしょう。

被害者側と示談が成立していれば、たとえ逮捕されても告訴を取り下げてもらえるケースも多くあります。

しかし、相手側が提示する示談金額が払えない場合はどうなるのでしょうか?

示談交渉について知っていても、実際に示談金が払えない場合にどうなるのかを知らない人は少なくありません。

ですが、自分や大切な事件の加害者として逮捕されてしまうリスクはゼロではありませんから、万が一に備えて示談金の支払いについて知っておいて損はありません。

そこで今回は、示談交渉について基本的なところから説明するとともに、示談金が払えない場合にどうなるのか、払えるようにするにはどうすればよいかを解説します。

示談交渉の基礎知識と払えない場合どうなるか?

示談とは?まず示談交渉について基本的なところを押えておきましょう。

示談とは何か?

「示談」とは、簡単にいえば、事件の当事者同士が話し合いによって争いを解決することをいいます。

多くの場合、刑事事件では警察・検察による取調べの後、起訴されて刑事裁判を受けることになり、その判決によって加害者側の処遇が決まることになります。

民事事件の場合でも、最終的に裁判所が「AがBに金○○を支払え」といった判決が出て、当事者はその判決に従うことになります。

しかし、示談交渉はこういった裁判によらずに事件の加害者・被害者の双方が話し合いの場を設け、そこで支払うべき損害賠償の金額を決めたり、告訴の取り下げをする旨の約束をしたりします。

示談がまとまると、当事者はその約束を守らなければならず、法的な拘束力ももちますから、裁判をするよりもスムーズに事件の解決ができるわけです。

特に交通事故や傷害事件などでは、被害者側と示談が成立しているかどうかがとても重要となります。

示談についてより詳しい解説は以下の記事でしていますので、ぜひこちらをご覧ください。

特に親告罪では示談が重要となる

特に名誉毀損罪や侮辱罪のように、逮捕・起訴のために被害者側の告訴が必要となる「親告罪」の場合は、示談によって相手に告訴を取り下げてもらえれば逮捕や起訴を免れることができますから、示談の成立が非常に重要となります。

親告罪の場合は、被害者側が告訴を取り下げると検察は被疑者を起訴することはできず、すぐに釈放しなければなりませんから、弁護士に協力のもとで被害者側と早期に示談を成立させることが、最終的に刑罰を受けないために必要なプロセスとなります。

近年、社会的な問題となっている強制わいせつ罪なども親告罪ですから、もしそういった事件に巻き込まれて加害者として逮捕されてしまった場合にも相手方との示談が極めて重要となるのです。

示談金の相場は?

犯罪の種類によって示談金の相場は大きく変わってきます。

当然、重大な事件になればなるほど被害者側の損害は大きくなりますから、加害者として支払わなければならない示談金額は大きくなってしまいます。

たとえば暴行罪などの場合は10万円〜30万円程度で済む場合がほとんどですが、交通事故で相手を死亡させてしまったといった重大な事件の場合、その示談金も数千万円~数億円と非常に高額になる可能性があります。

示談金の相場について、より詳しくは以下の記事を参考にしてください。

示談金が払えないとどうなる?

このように、示談金は事件の種類によって大きな金額の差があるため、軽微な事件の場合は支払うことができたとしても、重大な事件の加害者となってしまった場合、必ずしもすぐ支払えるとは限らないでしょう。

もし、示談交渉で決まった示談金が払えない場合にはどうなるのでしょうか?

これは事件の種類(民事事件なのか刑事事件なのか)によっても変わってきますし、具体的な示談の内容にもよるところが大きいですが、示談契約によって約束した金額が支払われない場合、まず被害者側から督促が届くのが一般的です。

つまり「示談金を早く支払ってください」という趣旨の催促状が内容証明郵便で届くことが多いです。

内容証明郵便とは「いつ、誰から誰にどんな内容の郵便物が送られたか」を証明できる郵便で、後から裁判で証拠とすることができるものです。

そして何度か督促状が届いても支払わずにいた場合は、最終的に裁判になってしまいます。

示談契約は法的な拘束力をもつものですから、もし従わなかった場合は、それ自体が罪として裁かれてしまうわけです。

これで有罪となれば、最悪の場合は前科がついて相応の刑罰を受けなければなりません。

また、示談の内容の公正証書を作成してあったり、裁判所の調停手続きで成立した示談などの場合、裁判所が強制的に示談金を徴収する強制執行となるケースもあります。

公正証書とは

法務大臣に任命された公証人が作成する公文書のこと。裁判で有力な証拠となる。

示談金が支払えない場合の対応

示談交渉が成立したにもかかわらず示談金を支払わずにいると、最終的に裁判になって有罪とされる可能性があります。

もとの事件では示談によって逮捕や起訴を免れたとしても、示談金を支払わないことで有罪となり、前科がついてしまっては元も子もないでしょう。

そういった事態にならないためにも、示談金が払えない場合の対策について知っておくことが重要です。基本的な対策としては以下の方法があります。

分割払いにさせてもらう

支払い 分割まず考えられるのは、示談金を分割で支払えるように交渉することです。

原則として、示談金は一括で支払わなければならないものですが、被害者側に事情を説明し、分割払いを申し出る方法があります。

被害者側の合意が得られれば、示談書にその期日と「毎月○○円支払う」などの内容を書き加えることが可能になります。

ただし、分割払いにしてもらう場合には、相手の被った被害についてしっかりと責任をとって回復させる見込みがあることを、相手方はもちろん裁判所などにも理解してもらわなければなりません。

それに加えて、毎月しっかりした収入がある点を証明したり、担保をつけたり保証人がいることなどを主張するなどして、責任をもって期日通りに支払う意思を見せることが重要となります。

家族や親戚に借りる

お願い ごめん家族や親戚に借りる方法も考えられます。

当然、家族に経済的余裕があるならば、すぐに示談金を支払う人がほとんどでしょう。

ですが、家族が支払えなかった場合でも、親戚などが一時的に肩代わりしてくれるかもしれませんから、心苦しいでしょうが何とかお願いしてみるのも有効でしょう。

また、たとえ一括での支払いが無理だったとしても、分割払いを認めてもらうことができれば、お金を借りつつ毎月少しずつでも示談金を支払えるかもしれません。

借金やローンができないか検討する

ローン 通帳自分の将来の生活を考えれば、あまり推奨される方法ではありませんが、示談金を支払うために借金やカードローンなどが利用できないか検討するのも手です。

消費者金融などからお金を借りることに抵抗のある多いはずですが、最終的に裁判になって前科がついてしまうよりは、お金を借りて示談金を払ってしまって、後はじっくり時間をかけて借金を返すという選択をとった方が賢明でしょう。

もっとも、いわゆる「闇金」のような所に手を出してしまうリスクも少なからずありますから、借金をする際には信用のおけるローン会社などを選びましょう。

弁護士に相談してみる

弁護士 相談示談金の支払いに関して弁護士に相談してみるのも有効です。

弁護士が示談金を融通してくれることはありませんが、示談金を分割払いにしてもらえるように交渉してくれたり、同じような事件の経験から、加害者がどうやってお金を融通したのかなど、有益なアドバイスをしてくれます。

また、以下で説明しますが、特に不当に高い示談金額で合意しそうになっている場合は、弁護士に相談することで、適正な金額で合意できるよう代わりに交渉してもらうことができます。

示談のやり直しはできない

ただし、示談金が支払えない場合、何とかして示談のやり直しができないか考えてしまうケース人も多いですが、原則として一度示談が成立してしまうと、後からやり直すことはできません。

ですが、一般的な相場よりも不当に高い慰謝料を要求されているような場合、こちらからしっかりと相場に基づいた金額を支払う意思を見せたという証拠を残しておけば、後で裁判になった際に、その点が考慮される可能性はあります。

そのため、はじめからこちらが支払えないような金額を請求されないように、弁護士に代理で交渉してもらうなどの対策をしておきましょう。

示談金が払えない状況にしないため弁護士に依頼する

法律事務所このように、示談金が支払えない場合は分割払いを申し出るなどの方法が考えられますが、もっとも重要なのは示談金を支払えない状況にしないことです。

そのためにも、すでに説明したように、示談をする際には可能な限り弁護士に依頼し、代理で交渉してもらうことをおすすめします。

弁護士に交渉を依頼することによって、以下のメリットが得られます。

冷静に話し合いができる

弁護士に示談交渉を依頼するメリットとしては、まず事件の加害者と被害者の双方が冷静に話し合いができる点が挙げられます。

当事者同士が面と向かって話し合うことになれば、どうしてもお互いに感情的になってしまい交渉がまとまらないことが多いです。

そこで、事件の当事者ではない弁護士が間に入ることでお互いが冷静に話し合いができるようになり、その結果、双方が納得する適正な金額で合意できる可能性が高まります。

適正な金額で合意できる

また、示談交渉を弁護士に任せることによって適正な金額で合意できるようになります。

ほとんどの人は事件や事故に巻き込まれた経験がないため、その事件についての適切な示談金がいくらなのかはもちろん、その具体的な算出の仕方もわからないことが多いです。

そのため、そもそも話し合いにならないこともありますし、被害者側が感情的になって不当に高い示談金を請求してくる可能性も十分あります。

特に、加害者は相手を傷つけてしまったという負い目から、たとえ被害者側が明らかに高めの金額を提示してきても、それで許してもらおうと受け入れてしまうケースは少なくないのです。

そこで弁護士に依頼すれば、似たような事件でどれぐらいの金額で合意されているのかがわかりますから、具体的な金額の推測ができ、不当に高額な示談金を請求されるといった事態を防ぐとともに、加害者側にも無理のない適正な相場で合意できる可能性を高められます。

後のトラブルを回避できる

すでに説明したように、一度示談契約を成立させると、後からそれをやり直すことは基本的にできません。

しかし、たとえば交通事故の示談などでは、治療費の請求漏れや通院費用の追加などにより、示談成立後に示談金額を増やしたい(減らしたい)と主張する人も出てきて、それが原因でトラブルに発展してしまうケースがあります。

特に交渉に弁護士などを介さず、当事者間で約束した場合などは、その効力を巡って争いに発展することは珍しくないのが実態です。

示談交渉を弁護士に依頼すれば、後からこういったトラブルにならないように、しっかりと法的な効力をもつかたちで示談書を作成してくれますから、余計なトラブルを抱え込まないためにも交渉事は弁護士に依頼しましょう。

示談金が払えないときは弁護士に相談してみよう

示談交渉についての基本的な知識から、示談金が払えない場合の対応について解説しました。

示談が成立したにもかかわらず、請求された示談金を支払わずにいると裁判で有罪となり、前科がついてしまうケースもあります。

そして、最悪の場合は懲役刑で刑務所に入らなければならなくなる可能性も、決してゼロではありません。

そうならないためにも、まず示談金を支払えない状況にしないことが重要です。

示談交渉はできるだけ弁護士に任せて、不当に高い金額を請求されないようにしましょう。

加えて、どうしても示談金が支払えない場合は、分割払いにしてもらうなど、何とか支払えるような状態にするために努力が必要となります。

示談金の支払いに関しても、弁護士ならば有益なアドバイスができますから、事件やトラブルに巻き込まれたら、早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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