刑事事件の知識 示談

被害者との示談を成立させたければ、弁護士をフル活用しよう

2019年4月16日

握手する手と空

川越市では毎年1,000件の事件が発生しているといわれ、普通に生活していても何らかの事件に巻き込まれ、逮捕されてしまう可能性はゼロではありません。

自分が逮捕されてしまった場合もそうですが、大切な家族が逮捕されてしまった場合、多くの人は「少しでも罪を軽くしたい」「できるだけ早く釈放して欲しい」と思うはずです。

そんなとき、重要となるのが被害者側と示談を成立させることで、それによって実刑判決を免れたり、起訴されずに済むケースもあります。

そこで今回は、まず示談の概要について説明し、できるだけ早く示談にするメリットやその方法について解説します。

知っておきたい示談の基本

サラリーマン人形とはてなたんに「示談」といっても、日頃から刑事事件に関わりをもつ人でなければ馴染みが薄いため、具体的にどういうものかを知らない人も多いはずです。
そこで、まず「示談」とは何か、基本的なところをおさらいしておきましょう。

示談とは、簡単にいえば事件の加害者が被害者側と話し合いをし、事件の解決を図ることをいいます。
事件を裁くのは裁判所の役割ですが、事件の当事者同士が話し合って和解することにより、スムーズに事件の解決を図れる場合もあります。

人によっては当事者同士が勝手に話し合いをしてもよいのだろうか、と思うかもしれませんが、慰謝料などの金額は加害者と被害者の合意があれば裁判所の手を借りずに決めることができます。

また、たとえ加害者が逮捕・起訴されるケースであっても、被害者側と示談が成立していれば、刑事裁判で実刑判決を免れたり起訴されずに済むケースもあるのです。

示談交渉について詳しくは以下の記事で解説していますので、こちらをご確認ください。

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交渉の成功例と失敗例

示談交渉の成功例としては、交通事故を起こして相手を怪我させてしまった事例が多くあります。

たとえば、相手方の代理人である保険会社と加害者自身が交渉しても折り合いがつかず、本来の示談金の相場よりも高い金額で合意をせざるを得なくなっていたところを、弁護士の協力によって過失割合が認められ、もとの金額より2割ほど減額できたといった例はたくさんあります。

過失割合とは

発生した事件(主に交通事故)に対する当事者の責任の割合のことをいう。
具体的には当事者の不注意や過失がどの程度なのか割合で算出し、それに応じて示談金などが決められる。

逆に示談交渉に失敗してしまう例としては、弁護士に依頼せず加害者自身が被害者側に示談を持ちかけるケースが多いです。

示談交渉は基本的に加害者の方から被害者側に交渉の席に着いてもらうようお願いする必要がありますが、加害者自身が交渉を持ちかけても被害者側が応じてくれないことがあります。

特に強制わいせつ罪などの性犯罪の場合や、相手が未成年だったりする場合は、どうしても相手は感情的に許すことができないことも多く、示談交渉を始められないことは珍しくありません。

そして、まともに話し合いができないうちに加害者が起訴されてしまい、刑事裁判を受けなければならなくなった例は多くあります。

特に、示談が成立していれば不起訴処分の可能性があったにもかかわらず、結局は長い時間をかけて裁判を受けなければならなくなったケースは、被疑者にとって非常に後悔の大きいものになります。

スムーズに示談を成立させるためには?

それでは、もし逮捕されてしまった場合に、被害者側との示談交渉をスムーズに行うためのポイントは何でしょうか?

結論をいえば、交渉のプロである弁護士に早急に相談して対策を練ってもらうことが重要となります。
実際先ほどの例でも、弁護士に協力してもらうことで、加害者自身が負担しなければならない示談金を減らすことができています。

逆に、加害者の側が独自に交渉を持ちかけても拒否されることが多く、相手に交渉に応じてもらったとしても、慰謝料の金額などで揉めてしまうケースが非常に多くあります。

そこで弁護士に間に入ってもらうことにより、被害者側も加害者と直接顔を合わせずに話し合いができるようになりますから、交渉に応じてもらいやすくなるほか、過去の例に基づいた適切な金額で合意できる可能性が高まります。

示談にしたい場合に弁護士を頼るメリット

それでは、示談交渉を弁護士に依頼するメリットをより具体的に挙げてみます。

被害者側と冷静な話し合いができる

サイコロに座る男性すでに説明したように、示談交渉を弁護士に依頼するもっとも大きなメリットは、被害者と冷静な話し合いができるようになることです。

被害者と直接顔を合わせて交渉するとなると、たとえこちらが反省の意を示しても上手く伝わらず、かえって被害者側を怒らせてしまう可能性もあります。それによってますます立場が不利になってしまうケースもあるでしょう。

ですが、弁護士を加害者の代理人として被害者側と交渉してもらうことにより、素早く示談交渉に入ることができ、落ち着いて話し合いが可能になります。

また、加害者に直接連絡先を教えたくない被害者も多くいるため、間に弁護士を入れることによってスムーズにコンタクトが取れるようになるメリットもあります。

適正な示談金を提示できる

事故 保険金示談交渉が上手くいかない原因として、加害者・被害者の双方が適正な示談金がわからないということがあります。
つまり具体的な金額の相場がわからないため、どうしてもお互いの感情が金額に反映されて揉めてしまうケースです。

特に被害者側の怒りが大きい場合は、慰謝料として法外な金額を提示してくる場合があり、加害者側も被害者への負い目から、たとえ示談金が高いと感じても了承してしまう可能性も十分考えられます。

そこで弁護士に交渉を依頼すれば、過去にあった類似事件から適正な示談金の額を提示してもらうことができ、双方が納得できる金額におさめることが可能になります。
場合によっては、先ほどのように示談金の減額に成功できるケースもあります。

示談交渉は早ければ早いほどよいですが、事件が起こった直後は加害者・被害者ともに感情的になってしまっているケースが多く、どうしても冷静に話し合うことが困難になってしまいます。

交渉は双方が冷静になって話し合わなければまとめることができませんから、法的な視点から冷静に話し合いができる弁護士に依頼し、公平な第三者の視点から合意をまとめられるようにすることが重要です。

相手が組織の場合でも対等に話し合いができる

ビル群さらに弁護士に示談交渉を依頼するメリットとして、被害者が企業などの組織の場合でも対等に話し合いができる点も挙げられます。

個人間の話し合いとは違い、相手が組織の場合は示談がまとまるまでに時間がかかるケースも多く、特に相手が弁護士を立ててきた場合は、こちらに不利なかたちで合意がまとめられてしまう可能性もあります。

たとえ被害に遭った相手が加害者側を許しており、話が大きくならないようにしたいと望んでいても、所属する企業の命令で多額の賠償金を得ようと交渉してくる可能性は十分考えられます。

たとえば、バスやタクシーに対して交通事故を起こしてしまった場合、相手はほぼ間違いなく弁護士を立てて、運転手の治療費や慰謝料を請求してくる可能性が高いです。

そこで弁護士を立てて交渉しなければ、不当に高い示談金で合意させられてしまう可能性がありますから、こちらも事件に関する知識と交渉に長けた弁護士に依頼することで、適正な示談金で合意できるようになります。

示談にするための手順と示談金の相場

示談の概要と弁護士に依頼するメリットについて説明したところで、次に具体的な示談交渉の手順と示談金の相場について知っておきましょう。

示談交渉はこのように行われる

まずは示談交渉の手順について説明します。一般的な流れはこのようになります。

1.被害者の連絡先入手

名刺交換事件を担当する検察官に依頼し、被害者側の承諾を得られれば、検察官経由で連絡先を入手することができます。

2.示談交渉

お金の上で握手事件の賠償内容、実際に支払われる損害賠償金額、支払い方法などを交渉します。
最終的には合意内容を具体的に記した示談書を加害者・被害者間で取り交します。

示談書には特に決まった書式があるというわけではありませんが、もっとも示談交渉が行われるケースの多い交通事故などの場合は、交渉相手が保険会社となることが多いため、その会社が日常的に利用している様式で書面が取り交わされるのが一般的です。

示談交渉自体は加害者自身も行うことができますが、すでに説明したように、感情のもつれなどから加害者・被害者の双方が納得できる金額で合意できるとは限らないため、可能な限り弁護士を通じて交渉を行い、後からトラブルにならない示談書を作成することが重要です。

示談金の内容は?

車とお金そもそも示談金は事件の被害者が被った損害を、加害者が支払い可能な金額に換算したものです。
たとえば交通事故や暴行などによって被害者が怪我を負ってしまった事件の場合、以下のものが示談金に含まれることになります。

  • 怪我の治療費や入院費
  • 通院にかかる費用(交通費など)
  • 被害者が事件のために仕事を休んだ場合の休業損害

そしてこれに加えて、被害者が被った精神的な苦痛を慰謝料というかたちで加算し、最終的な示談金が決定されます。

加害者側としてはできるだけすぐに示談を成立させたいと考えるものですが、実際には被害者の治療費や入院費などが最終的に決まらなければ、具体的な金額の算出ができずに交渉に入ることすら難しいのが実情です。

また、慰謝料などの具体的な金額の算出については、これまでの類似事件の裁判で認められた金額を基準として考えることになるため、そういった事件の判例や法律の知識がない場合、なかなか適正な金額で合意するのは難しくなります。

そういった意味からも、示談交渉は弁護士に一任することが大事です。弁護士ならば、どの程度の金額が裁判所に認められるのか、実際に被害者がかかった費用の立証ができるのかといった観点から示談金の推測が可能です。

示談金の相場

示談が成立した場合、被害者側に支払うことになる示談金は事件によって違ってきますが、一般的な相場としては、以下のようになります。

事件・事故内容 金額
交通事故(被害者が軽症) 10万円~30万円程度
交通事故(被害者に障害が残った場合) 300万円~400万円程度
交通事故(被害者が死亡した場合) 数千万円~数億円の場合も
暴行 10万円~30万円程度
傷害 20万円~100万円程度の場合も
痴漢 0万円~30万円程度
窃盗、詐欺など 実際の被害額+10~20万円程度
強盗 実際の被害額+30万~80万円程度

このように、事件や被害者の怪我の程度などによって示談金も違っており、たとえ同じ事件だっても、細かい性質の違いによって具体的な金額が変わってきます。

ただし、これらはあくまでも目安でしかありませんから、事件に巻き込まれて逮捕されてしまった場合は、すぐ弁護士に相談して「示談にいくらかかるのか?」を直接確認するのが確実です。

加害者として示談にしたい場合の注意点

サラリーマン 注意点最後に示談する場合の注意点を挙げておきましょう。

まず覚えておかなければいけないのが、

一度被害者側と示談が成立すると、原則として後から示談交渉のやり直しはできない

ということです。

一般的に示談書には、支払う示談金と同時に(合意後に何があっても)それ以上の示談金請求を行わないという内容の記載がされるケースが多いです。

そのため、いったん交渉が成立して示談書を取り交わしてから、たとえ金額に影響を及ぼすような(示談の内容とは違った)事実が出てきたとしても、合意した内容の変更を願い出ることはできないことになります。

実際、治療費の請求忘れ通院費用などの請求に関して示談の成立後にトラブルになるケースもありますから、できるだけ早い段階で弁護士に相談し、後からトラブルにならないような示談書を取り交わすことが重要です。

示談にしたい場合は早急に弁護士に相談しよう

示談の内容や示談金の相場、そして示談にしたい場合に注意すべきポイントについて解説してきました。

示談交渉は事件の当事者同士でも行うことができますが、たとえ加害者が直接被害者側に申し入れを行っても、交渉はおろか面会さえ拒絶されてしまうケースは少なくありません。

また、交渉のテーブルに着くことができたとしても、お互いに感情的になって話し合いにならないこともしばしばあるのが実態です。

示談交渉が上手くいかないうちに起訴されてしまい、そのまま刑事裁判で実刑判決を受けてしまう可能性もありますから、少しでも立場をよくするためにも、逮捕されてしまったらすぐに弁護士に相談し、示談交渉も任せるようにしましょう。

弁護士に交渉を依頼すればスムーズに示談を成立させ、起訴を免れたり被害者に告訴自体を取り下げてもらえる可能性も出てきます。それによって早期に釈放される可能性も高められます。

万が一、示談交渉が必要な事件で逮捕されてしまったら、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

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