玄関前で荷物を受け取れる置き配は便利な一方、マンションでは思わぬトラブルにつながることがあります。
共用廊下に置かれた荷物が通行の妨げになるほか、オートロック内への配達員の立入りや、誤配・盗難などに不安を感じる住民もいるでしょう。
マンションは多くの人が生活する場所だからこそ、置き配を利用する際は管理規約や共用部分のルール、避難経路、防犯などへの配慮が欠かせません。
この記事では、マンションの置き配で起こりやすいトラブルを取り上げ、法律上の注意点や住民ができる対処法について分かりやすく解説します。
マンションの置き配でよくあるトラブル
マンションでは多くの住民が共用部分を利用するため、置き配の方法によっては、住民同士や配送業者との問題が生じることがあります。
ここでは、マンションで起こりやすい置き配トラブルの具体例を紹介します。
共用廊下やエントランスの荷物が通行・避難の妨げになる

共用廊下やエントランスへの置き配は、荷物の大きさや置き方によって住民の通行を妨げることがあります。
トラブル事例
例えば、隣の住戸の玄関前に飲料水の箱や複数の段ボール箱などの大きな荷物が置かれ、廊下を通るたびに避けなければならないケースです。
ベビーカーや車いすを利用する住民にとっては、荷物の置き方によって通行しにくくなることもあるでしょう。
また、共用廊下やエントランスは、火災や地震などが起きた際の避難経路になる場合があります。
置き配によって通行や避難に支障が生じる状態は、安全面からも注意が必要です。
国土交通省も、マンションで置き配のルールを定める際には、通行や避難の妨げになる場所への荷物の放置を禁止することなどを例として挙げています。
オートロック内への配達員の立入りに不安を感じる

オートロック式のマンションでは、配達員がどのような方法で建物内に入っているのか分からず、防犯上の不安を感じることがあります。
トラブル事例
例えば、自分が荷物を受け取るためにオートロックを解錠したところ、入館した配達員がそのまま別の住戸にも荷物を届けるケースです。
住民からすると、自分が許可した配達とは関係のない目的で共用部分を移動しているように見え、不安を感じることもあるでしょう。
管理者の意思に反して正当な理由なく建物の共用部分へ立ち入った場合には、状況によって刑法第130条の住居侵入等が問題になる可能性があります。
●刑法第130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
(引用:刑法|e-Gov法令検索)
ただし、配達員がオートロック内へ入ったという事実だけで直ちに犯罪になるわけではなく、立入りの目的や方法、管理者の意思などを踏まえて判断する必要があります。
誤配・盗難や宅配ボックスをめぐるトラブルが起こる

マンションでは、部屋番号の見間違いや受取方法の違いによって、誤配や盗難などのトラブルが起こることがあります。
トラブル事例
例えば、自宅の玄関前に別の住戸宛ての荷物が置かれていたり、配達完了通知が届いているのに自分の荷物が見当たらなかったりするケースです。
玄関前に長時間荷物が置かれていれば、第三者に持ち去られるリスクも考えられます。
宅配ボックスでも、荷物を入れるボックスを間違えたり、暗証番号の通知に誤りがあったりして、受取人が荷物を取り出せないトラブルが起こることがあります。
また、一部の住民が長期間荷物を受け取らず、宅配ボックスが埋まってしまえば、ほかの住民が利用できなくなることもあります。
置き配や宅配ボックスは便利な一方、利用方法によっては住民同士や配送業者とのトラブルにつながります。
マンションごとの受取ルールを確認し、周囲の住民にも配慮して利用することが大切です。
マンションの置き配は禁止されている?
マンションの共用廊下などへの置き配が、一律に禁止されているわけではありません。
ただし、マンションごとのルールや荷物の置き方によっては、置き配が認められない場合があります。
置き配のルールはマンションごとに異なる

マンションでは、管理規約や使用細則などによって、共用部分の利用方法が定められています。
玄関前への置き配が認められているかどうかは、マンションごとに確認が必要です。
国土交通省では、置き配に関する使用細則を定める場合、荷物を置ける場所や時間帯、留め置ける期間などを具体的に決めることを例として示しています。
例えば、以下のようなルールです。
- 専有部分の玄関前のみ置くことができる
- 配達日当日中までとする
- 24時間以上の放置は禁止する など
(置き配に関する使用細則を定める際のポイント|国土交通省 より引用)
マンションによっては置き配を禁止している場合もあれば、一定の条件を守れば利用できる場合もあります。
置き配を利用する場合は、管理規約や使用細則、管理会社からの案内などを確認しましょう。
なお、マンションの共用部分に置かれた私物全般の扱いについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
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マンション共用部分に放置された私物で困ったら?今すぐできる対処法
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避難の妨げとなる置き配は消防法上の問題になる

マンションの共用廊下や階段、避難口などは、火災などが発生した際の避難経路として利用されます。
注意ポイント
そのため、荷物によって避難に支障が生じるような状態での置き配は、消防法に基づき禁止されています。
ただし、共用廊下に荷物が置かれていれば、すべてが消防法上の問題になるわけではありません。
廊下や階段の幅・形状などに応じて個別に判断され、避難の支障とならない少量・小規模の荷物を一時的に置く程度であれば、消防法の規定に抵触しないと一般的に考えられています。
したがって、「共用廊下だから置き配は禁止」と一律に考えるのではなく、マンションのルールに加えて、通行や避難を妨げる置き方になっていないかを確認することが大切です。
マンションの置き配が迷惑なときに住民ができる対処法
他人の置き配が通行の妨げになっていたり、同じトラブルが繰り返されていたりしても、住民同士で直接解決しようとすると新たなトラブルにつながることがあります。
まずは状況を記録し、マンションのルールに沿って対応しましょう。
他人の荷物を勝手に移動・処分しない

共用廊下などに置かれた荷物が邪魔だからといって、ほかの住民が勝手に処分することは避けましょう。
特に、他人の荷物を故意に壊した場合には、刑法第261条の器物損壊等が問題になることがあります。
●刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(引用:刑法|e-Gov法令検索)
別の場所へ移動する場合も、荷物を紛失・破損させるなどして所有者に損害を与えれば、民事上の損害賠償責任が問題になる可能性があります。
管理会社や管理組合に状況を伝える
置き配による通行の妨げやルール違反が続いている場合は、荷物の持ち主へ直接注意するのではなく、まず管理会社や管理組合に相談しましょう。
相談する際は、
- 「いつ・どこに・どのような荷物が置かれていたか」
- 「通行や避難にどのような支障があったか」
などを具体的に伝えます。
必要であれば、荷物の宛名など個人情報の取り扱いに注意しながら、状況が分かる写真を残しておく方法もあります。
管理会社や管理組合を通じて注意喚起やルールの周知をしてもらえば、特定の住民同士が直接対立することを避けながら改善を図れます。
配達方法に問題がある場合は配送業者へ相談する

置き配のトラブルが住民ではなく、配達方法そのものに原因があると考えられる場合は、配送業者へ相談しましょう。
例えば、
- 通行の妨げになる場所へ繰り返し荷物を置かれる
- 指定場所とは異なる場所に配達される
- オートロック内で別の住戸への「ついで配達」が行われる
といったケースが考えられます。
配送業者へ連絡する際は、配達日時や荷物が置かれていた場所、問題となった状況などを具体的に伝えることが大切です。
必要に応じて写真などの記録も残しておけば、状況を説明しやすくなります。
配達方法について改善を求めることで、同じトラブルの再発を防げる可能性があります。
管理会社や管理組合への相談とあわせて、問題の原因に応じた窓口へ連絡しましょう。
マンションの置き配トラブルは冷静に対処しよう
マンションの置き配は便利な一方で、共用廊下の通行を妨げたり、オートロック内への立入りに不安を感じたりするなど、住民同士や配送業者とのトラブルにつながることがあります。
ただし、迷惑に感じても感情的になったり、他人の荷物を勝手に移動・処分したりするのは避け、まずは管理会社や管理組合、必要に応じて配送業者へ相談しましょう。
管理会社や管理組合へ相談しても解決が難しい場合や、管理規約との関係、損害賠償など法的な問題が生じている場合は、弁護士に相談するのも一つの方法です。
弁護士に状況を整理してもらうことで、法的な問題点や取り得る対応が明確になり、解決に向けた方針を検討しやすくなるでしょう。

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