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相続登記の必要書類はこれ!取り寄せ方をわかりやすく解説

2023年12月27日

相続登記_必要書類

「相続登記は司法書士が専門と聞いたので、書類も任せていいのでは?」とお考えの方はいませんか?

たしかに、司法書士は登記の専門家なので、相続登記についても依頼すれば、相続人を調べたり登記申請をしてくれます。

しかし、司法書士に依頼した場合でも、不動産を特定する資料は自分で用意する必要がありますし、相続人が複数いる場合で遺言書がない場合は、そもそも誰が不動産を引継ぐのか遺産分割協議で決めて遺産分割協議書を作成しなければいけません。

相続登記は、被相続人が亡くなり、相続開始と所有権の取得を知ってから3年以内にする必要があるので書類集めは早めに取りかかっておくことが重要です。

今回は、相続登記で必要な書類は何か、入手方法も含めて解説します。

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相続登記のケース別に異なる必要書類の一覧表

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相続登記の手続きの流れ!やるべきこと順に分かりやすく解説』の記事で、相続登記には「遺言書により相続する場合」「法定相続する場合」「遺産分割協議によって相続する場合」と3つのケースがあることをご紹介しました。

どのケースで相続登記をするかによって必要な書類も変わってきますので、ケース別に必要書類を一覧でご紹介します。

遺言書がある場合の必要書類

遺言書がある場合は、基本的に遺言に書かれた内容に沿って相続登記を申請します。

一般的に、遺言書で相続登記をする場合の必要書類は、以下の5つになります。

書類 書類の対象者 取得場所 注意事項
戸籍謄本
(除籍謄本)
被相続人
(不動産の所有者)
本籍地の役所 出生から死亡までの情報が記載されているもの
不動産を引き継ぐ人 本籍地の役所 被相続人の死亡日以降に発行されたもの
住民票
(除票)
被相続人
(不動産の所有者)
住所地の役所 死亡を原因とする住民票(除票)
戸籍の除附票でも可
不動産を引き継ぐ人 住所地の役所 戸籍の除附票でも可
固定資産税
評価説明書
税事務所または
不動産所在地の役所
登記申請時の年度のもの
登記申請書 申請者が作成 法務局のHPからダウンロード可
遺言書 自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は家庭裁判所の検認

遺言書による相続登記の場合、他の2つのケースに比べ、戸籍謄本や住民票を取得しなければいけない対象者が少なく、基本的に不動産を取得する人のみで良いのが特徴です。

法定相続をする場合の必要書類

法定相続をする場合は法律の規定に沿った分け方になるので、相続登記で必要な書類も最小限で済みます。また、相続関係説明図の提出は任意ですが、提出するとあとで戸籍謄本を返してもらえます。

書類 書類の対象者 取得場所 注意事項
戸籍謄本
(除籍謄本)
被相続人
(不動産の所有者)
本籍地の役所 出生から死亡までの情報が記載されているもの
全相続人 本籍地の役所 被相続人の死亡日以降に発行されたもの
住民票
(除票)
被相続人
(不動産の所有者)
住所地の役所 死亡を原因とする住民票(除票)
戸籍の除附票でも可
全相続人 住所地の役所 戸籍の除附票でも可
固定資産税
評価説明書
税事務所または
不動産所在地の役所
登記申請時の年度のもの
登記申請書 申請者が作成 法務局のHPからダウンロード可
相続関係説明図 申請者が作成 任意

遺産分割協議による場合の必要書類

遺産分割協議で相続登記をする場合、まず相続人全員で話し合いを行い、合意に達し、その内容を遺産分割協議書にまとめて全員が署名押印することが必要です。遺産分割で遺産を分け合うケースは多いですが、もめやすいのが難点です。相続人の反対などで署名押印ができないままだと、遺産分割はできないので注意が必要です。

書類 書類の対象者 取得場所 注意事項
戸籍謄本
(除籍謄本)
被相続人
(不動産の所有者)
本籍地の役所 出生から死亡までの情報が記載されているもの
全相続人 本籍地の役所 被相続人の死亡日以降に発行されたもの
住民票
(除票)
被相続人
(不動産の所有者)
住所地の役所 死亡を原因とする住民票(除票)
戸籍の除附票でも可
不動産を引き継ぐ人 住所地の役所 戸籍の除附票でも可
固定資産税
評価説明書
税事務所または
不動産所在地の役所
登記申請時の年度のもの
登記申請書 申請者が作成 法務局のHPからダウンロード可
遺産分割協議書 相続人が作成 相続人全員が署名押印(実印)
印鑑証明書 全相続人 住所地の役所
相続関係説明図 申請者が作成 任意

相続登記書類の取り寄せ方

相続登記

上記のように、相続登記で必要な書類は市区町村役場で取得する物が多いですが、相続する不動産が遠方にある場合など、実際に出向いて取得するのが困難な場合もあります。

ここでは、書類ごとの揃え方、取り寄せ方をご説明します。

戸籍謄本

戸籍謄本は、相続登記のケースに関わらず必要な書類です。

被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本が必要です。

これは、相続が発生したことや、相続人を確定させるために求められます。

また、相続が発生した時に、相続人が生存している、つまり相続する権利があることを証明するため、相続人全員の戸籍謄本も必要になります(遺言による相続登記の場合は不動産を引き継ぐ人のみ)。

相続人の戸籍は過去にさかのぼらず、現在のものだけで足ります。

戸籍の管理は市区町村が行っているため、本籍地のある自治体でしか取得できません。

窓口に行かず、郵送でも取得することができます。

相続登記で用いる戸籍謄本には有効期限がなく、古いものも利用できます。

ただし、未成年者を親などの法定代理人が代理して手続きを行う場合に、法定代理権があることを証明するために必要な戸籍謄本は、発行から3か月以内である必要があります。

住民票・除票

亡くなった被相続人について必要な「住民票の除票」とは、登記簿の被相続人と、戸籍上の被相続人が同一人物であると証明するために必要になるものです。

戸籍の附票(戸籍が置かれた期間の住所履歴を記した書類)で代用することも可能です。

住民票の除票は、住所地の市区町村役場で取得することができます。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書とは、土地・建物などの固定資産の評価額を証明する書類のことをいいます。

固定資産課税台帳の固定資産評価額を転記して、市区町村がその年の固定資産評価額を証明したものになります。

相続登記をする際は、登録免許税を支払わなければいけませんが、この税額は

相続登記をする不動産の固定資産評価額×0.4%

で計算します。

固定資産評価証明書は、最新年度のものである必要があります。不動産の所在地の市区町村役場で取得でき、郵送でも取り寄せることが可能です。

登記申請書

登記申請書には専用の用紙はありませんが、法務局のホームページからダウンロードして入手できます。

テンプレートや記載例も掲載しているので、参考にしてください。

法定相続情報一覧図

法定相続情報一覧図とは、相続人を特定できる戸籍謄本等と相続関係を一覧にしたものです。

法務局に提出すると、登記官の認証文を付した写しが交付され、誰が法定相続人かを証明できるようになり、相続登記や相続に伴う金融機関での手続きにも利用することができます。

申し込む際は

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍等
  • 被相続人の住民票の除票等
  • 相続人全員の現在の戸籍等
  • 申し出た人の本人確認書(運転免許証等)
  • 申出書

以上の書類に一覧図を添えて法務局に提出します。

法定相続情報一覧図は、申し出てから交付されるまで概ね1週間程度かかります。

一度作成すれば大変便利ですが、作成するまでの準備に時間を要するため、早めに用意しておくことをお勧めします。

遺言書

相続登記の手続きの流れ!やるべきこと順に分かりやすく解説』で、遺言書には

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

の3種類があることをご説明しました。

公正証書遺言以外は、開封する際に家庭裁判所の検認が必要で、勝手に開封すると罰則を受ける可能性もあります。

遺言書が見つかった場合、法的な有効性に問題がある場合もあるので、まずは弁護士にご相談下さい。

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遺産分割協議書

相続人同士で遺産分割協議をした場合、遺産分割協議書を作成して相続人全員が署名し、実印を押印します。

実印の印鑑証明書も取得する必要があります。

自分で相続登記をすると必要書類が足りないことも

相続登記

上記のように、相続登記で必要な書類は多岐にわたります。

また、相続登記の方法によっても必要書類が変わるので、用意したつもりでも漏れがあるというケースは少なくありません。

特に被相続人の家族関係が複雑な場合、戸籍の移動などがあった場合、相続人が多数に昇る場合、など、専門家でも調査が大変な場合もあります。

加えて、相続登記は、相続の開始と不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内にしなければならないという期間制限もあります。

3年というと長いようですが、もし被相続人に借金が多く、遺産を相続するとマイナスになるような場合の相続放棄は、3か月以内にしなければならないなど、その前に検討すべきことも少なくありません。

登記は、不動産という大きな価値のある財産の所有者を確認し、この人が所有者であると誰に対しても主張できる強い効力を持つため、書類にミスがあった場合は受け付けてもらえません。

必要書類の収集に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

相続登記の必要書類について弁護士にご相談を

弁護士は法律の専門家です。相続登記のケースに応じて、何が必要な書類となるかも的確にアドバイスを受けることができますし、全国に散逸している戸籍謄本を収集してもらうこともできます。

また、他の法律家に比べて、対応できる範囲に制限がないのが最大のメリットです。

相続時はとかく揉めがちです。特に不動産という大きな遺産があると、仲の良い家族でもうまく話がまとまらないケースが大半です。

そのような場合に、弁護士であれば、話し合いの場に同席して法律相談をすることも可能です。また、法定相続分を参考にしながら適切に遺産分割を進める助言に加え、紛争に発展した場合は代理人として裁判所での対応も任せることができます。

相続登記でお悩みの方は、まずはお気軽に弁護士にご相談下さい。

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