侮辱とは、発した言葉が相手に精神的苦痛を与え、刑事責任や民事責任を負う可能性のある行為です。
侮辱罪で訴えられると、「自分の発言がどのように問題だったか」、「今後どう対応すればいいのか」と、不安や疑問を抱える方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、
- 侮辱罪で訴えられた場合に知っておくべき基礎知識
- 今すぐにでも取るべき対応
について詳しく解説します。
また、弁護士に相談する重要性やトラブル解決のポイントについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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侮辱罪で訴えられたらどうなる?
侮辱罪で訴えられると、刑事責任や民事責任が問われます。
具体的には、警察による取り調べや被害者から損害賠償請求をされることになります。
以下では、それぞれの責任について詳しく見ていきましょう。
侮辱罪に問われるとどうなる?刑事責任とは?
侮辱罪は刑法231条に規定されており、
1年以下の懲役または禁錮、30万円以下の罰金、または拘留、科料が科される
とされています
実際に侮辱罪で刑事告訴された場合は、以下のような流れで進んでいくのが一般的です。
警察や検察による捜査
捜査機関が告訴を受理すると、侮辱罪の成立要件を満たしているかを調べるため、本人への取り調べが行われます。
この段階では、被害者からの証拠や本人の供述内容が重要です。
起訴または不起訴の判断
捜査結果に基づき、検察が起訴するか(刑事裁判を起こすかどうか)を決定します。
示談が成立している場合や、行為が軽微である場合は、不起訴処分となる可能性があります。
刑罰の確定
起訴された場合は裁判が行われ、有罪が確定すると、法定刑に基づいて刑罰が科されます。
減刑のためには、被害者への誠意ある謝罪、示談の有無が大きく影響します。
民事責任として求められる損害賠償とは?
侮辱罪が刑事事件として取り扱われる一方で、被害者から民事的な損害賠償請求を受けることもあります。
具体的には以下のような流れで進んでいきます。
被害者からの損害賠償請求
被害者は、精神的苦痛を理由に慰謝料を請求するケースが多いです。
請求額は、行為の悪質性や被害の程度によって異なりますが、相場としては数十万円から、悪質なケースだと100万円を超えることもあります。
示談交渉
加害者、もしくは被害者が訴訟に至る前に示談を求めてくる場合もあります。
示談が成立すれば、民事裁判が回避でき、刑事事件においても不起訴処分となる可能性が高まります。
民事裁判の提起
示談が不成立の場合、被害者は民事裁判を起こす可能性が出てくるため注意が必要です。
刑事裁判とは別で進行し、最終的に具体的な慰謝料額が決定されます。
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侮辱罪で訴えられた場合に取るべき対応
侮辱罪で訴えられた場合、最も重要なのは正確な状況を把握し、適切な行動を取ることです。
焦りや感情的な行動は、事態を悪化させる可能性があるため注意しなければなりません。
訴えられたらまず確認すべきこと
訴えられた際、まずはどのような発言に問題があったのかを確認しましょう。
たとえば、SNS上の投稿は証拠として提示されることが多いことから、自身の発言や行動を振り返り、法律に抵触している可能性があるかを検討します。
また、相手の保有している証拠が有効なのかも重要です。証拠が不十分な場合は、事実を誤解されている場合もあり得るため、まずは冷静に確認してみましょう。
というのも、訴えられたからといって、すぐに刑事責任や民事責任が生じるわけではありません。警察から連絡がきたり、内容証明郵便が届いたりしたからといって、罪が確定するわけではないのです。
話し合いで解決する方法
侮辱が事実であるならば、被害者との話し合い(=示談)による解決を図りましょう。
示談とは、当事者間で話し合いを行い、金銭的な補償や謝罪を通じて和解を成立させる手続きです。示談が成立すれば、刑事責任を回避できる可能性が高まります。
なお、示談では慰謝料の金額や謝罪の内容を話し合いで決定しますが、感情的な対応をしてしまうと交渉が難航し、事態が悪化する危険があるため注意が必要です。あくまでも冷静に話し合いを進めることを心がけてください。
ご自身で話し合いを進めるのが難しいと感じる方は、弁護士への相談・依頼も視野に入れましょう。
弁護士に相談する重要性
侮辱罪の問題は、弁護士に相談・依頼することも重要です。
弁護士は侮辱罪の成立要件について確認し、あなたが法的にどのような責任を負う可能性があるのかをアドバイスしてくれます。また、示談交渉を弁護士に依頼すれば、適切な賠償額での和解や、有利な条件で示談でききる可能性がぐっと高くなるでしょう。
仮に訴訟に発展した場合であっても、弁護士が代理人として対応を行い、あなたの権利を守るために最善を尽くしてくれます。
弁護士に早めに相談することで、精神的な負担が軽減されるだけでなく、不必要なトラブルを回避しながら解決へと向かうことが期待されます。
侮辱罪で訴えられた場合の注意点
侮辱罪で訴えられた場合、焦りや感情に流された行動は、結果的に不利な状況を招く可能性があります。
特に、法律に抵触する行為や無用な対立を生むような対応は避けるべきです。
以下では、訴えられた際に気を付けるべき重要なポイントについて解説します。
事実の隠蔽や証拠の改ざんはNG
訴えられた際に、証拠を隠したり改ざんしたりすることは避けなければなりません。
「証拠隠滅」や「偽証罪」に該当するおそれがあり、新たな罪を問われる可能性があります。
特に、SNSのアカウントを削除する行為は、事情次第では証拠隠滅と見なされるケースもあるため、慎重に対応しましょう。
仮にアカウントや投稿を削除する必要がある場合でも、弁護士に相談するなどして適切に行うことが大切です。
過度な反論や感情的な対応は避ける
被害者に対して過度に反論することや、感情的な対応は避けなければなりません。
こうした対応は新たなトラブルを生むだけでなく、より侮辱的な発言をしたと受け取られる可能性もあります。
また、裁判や示談交渉において、こうした対応が証拠として提出される場合もあり、不利な状況に陥る可能性が高まります。
さらに、被害者の感情を逆なでする結果となれば、示談が進まず重い刑罰となる危険があるため注意しましょう。
弁護士と共に最適な解決策を探ろう
侮辱罪で訴えられた焦りや不安から、感情的に対応したり、証拠を隠蔽しようとしたりする行為は、状況を悪化させるだけでなく、さらなる法的責任を負うリスクを伴います。
まずは、事実確認を徹底し、相手からの訴えを正確に把握するのが大切です。そして、可能であれば被害者との話し合いを進め、示談による早期解決を図りましょう。
ただし、個人で示談交渉を進めるには困難が伴うため、弁護士への相談も視野に入れてください。
弁護士であれば、現状の正確な分析だけでなく、交渉や裁判の対応において的確なアドバイスをしてくれます。
一人で悩まず、信頼できる弁護士と共に最適な解決策を探っていくことが、問題を大きくさせないためには重要です。
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