子供が喧嘩をして相手に怪我を負わせてしまった。あるいは夫が酔っ払って相手を殴ってしまった…。
できればこういった事態は避けたいものですが、家族がトラブルに巻き込まれた結果、警察から連絡が来ることがあるかもしれません。
これらは一般的に傷害事件となり、場合によっては相手を死なせてしまい傷害致死となってしまう可能性もあります。
もし大切な家族がそんな事件で警察に逮捕されてしまったら…。考えたくもないことですが、万が一のケースは誰にでも起こりえます。
そんなとき、重要なのは対応がわからず時間を浪費してしまうことではなく、逮捕された後どうなるかを知っておき、素早く適切な行動をとることです。
川越で傷害事件を起こして逮捕されたらどうなるか?
ちょっとしたきっかけで口論となって相手を殴ってしまったり、いざこざの拍子に怪我をさせてしまうといった事件は、埼玉県で多く発生しています。
川越でもこういった傷害事件の発生頻度は多く、喧嘩の末に逮捕されて警察署で取調べを受ける事態になったケースも決して少なくはありません。
ただ、そういった事件で通報を受けた場合、警察はまず両者から話を聞き、当事者ともに留置の必要なしと判断した場合はそのまま開放されます。
特に喧嘩で両者ともに特に怪我がないといった場合などは、話を聞いて注意するだけで終わることもあります。
逆に、警察が被疑者を留置して詳しく取り調べる必要があると判断すれば、そのまま警察署に連行されて取調べを受けることになります。
川越で起こった事件の場合は、その取調べは川越警察署で行われますから、逮捕された被疑者の家族にも川越警察署から連絡が行くことになります。
取調べの結果、検察に送検されることもある
警察は被疑者の取調べをした結果、必要があると判断すれば、作成した事件の書類や証拠物とともに、被疑者を検察に送検します。
取調べには時間的な制限があり、以下のように刑事訴訟法によって、その時間は逮捕後48時間以内と決められています。
刑事訴訟法203条:(警察は)~中略~留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
警察としては、何とかこの期間に事件に関する情報や自白を引き出そうと、時に厳しい取調べが行われることがあります。
傷害事件のようにある程度罪状がはっきりしている事件でも、被疑者が容疑を否認しているような場合、警察官によっては声を荒げるなどして厳しく追求してくる可能性があります。
そのため、容疑を自覚しているならば、素直に罪を認めたほうが後々不利にならずに済む可能性が高くなります。
ただし、事実に反することまで捜査員の誘導に従って自白してしまうのは、被疑者にとって不利にしかなりませんから、早急に弁護士を呼んで適切な対応をアドバイスしてもらいましょう。
微罪処分になるケースもある
本来、警察で取調べを受けると、その後は送検されて検察の手に捜査が委ねられることになります。
しかし傷害事件の場合でも、初犯で相手の怪我の程度も軽い場合、逮捕者がしっかりと反省していれば、検察に送られることなく警察の段階で処分が下されることがあります。
これを微罪処分といい、典型的なケースとして万引きがあります。
たとえば100円の商品の万引き事件について、いちいち送検していては、検察庁が本当に重要な事件を処理することができなくなってしまいます。
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そこで、刑事訴訟法では、検察官が指定した事件は検察庁に送致しなくてもよいことになっています。
刑事訴訟法246条:司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
傷害事件でも微罪処分となるケースがありますが、被疑者に反省の様子が見られないような場合、警察の判断で送致されることがあります。
そのため、相手に怪我を負わせてしまったならば、しっかりと反省の色を示す必要があります。
傷害事件でも逮捕されて勾留に至るケースは多い
警察による取調べの結果、検察に送検されると、その後は被疑者の身柄が一時的に検察庁に移され、検察官によるさらなる取調べを受けることになります。
警察による取調べの期間は48時間とされていましたが、ここでの検察官による取調べも刑事訴訟法により24時間と定められます。
刑事訴訟法205条1項:検察官は~留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
他の記事でも説明していますが、勾留とは、簡単にいえば被疑者(被告人)の逃亡や犯罪の証拠隠滅を防ぐため、留置所に身柄を拘束しておく措置のことです。
24時間で検察の取調べが終わることはほぼないため、ほとんどの事件で裁判所に勾留請求が出されているのが実態で、傷害事件も例外ではありません。
勾留が決まると被疑者は最長で20日間、留置所に身柄を拘束され、その間に検察官によるさらなる取調べを受けることになります。
逮捕後23日間で起訴か不起訴が決まる
このように傷害事件で逮捕されると、2日(48時間)のうちに警察に取調べを受けて検察庁に送検されます。
そして、さらに3日目に裁判所で勾留質問をされた後、勾留が決定すれば最長で20日間身柄を拘束されることになるため、合計で23日間の後、起訴か不起訴かが決定されます。
実際には、はじめの10日間は勾留請求日も含まれるため、逮捕から22日間で起訴および不起訴が決められるケースが多く、捜査に進展があれば勾留期間の途中でも起訴・不起訴が決まることもあります。
いずれにしても、一度勾留まで至ってしまうと被疑者の生活に大きな支障が出てしまいます。
特に毎日会社勤めをしている人にとっては、20日間にもわたる身体的拘束は解雇にもつながってしまう重大な事案といえるでしょう。
未成年者が傷害で逮捕されたらどうなるか?
傷害で逮捕された場合の一般的な流れについて説明してきましたが、もし逮捕されたのが未成年だったらどうなるでしょうか?
当然ながら、未成年だから逮捕されずに済むということはありません。
未成年者が犯罪を犯した場合でも、警察の取調べを受け、検察に送致されるまでの流れは成人が逮捕された場合と同じです。
ただし、その後のプロセスに違いがあり、検察官は被疑者である未成年者の勾留請求をするか、勾留に代わる措置として少年鑑別所に移送するかを選択します。
少年鑑別所は未成年の被疑者を家庭裁判所による少年審判が下されるまで収容するとともに、医学や心理学などの知識に基づいて資質の鑑別を行う施設です。
どのタイミングで鑑別所に行くことになるかは事件よって違っており、逮捕後すぐに送られる場合もあれば、成人同様に最長20日間の勾留後に送られるケースもあります。
その後、家庭裁判所によって少年審判の必要があるかどうかを判断され、必要ありとされた場合は少年法に基づいた処分が言い渡されることになります。
未成年でも刑事裁判になるケースはある
成人の場合は刑事裁判の判決によって懲役や罰金といった刑罰となりますが、未成年の場合は保護処分や児童相談所長送致などの処分が下されることになります。
ただし重大犯罪の場合は、たとえ未成年でも検察官に送致され刑事裁判となるケースもありますが、少年同士の喧嘩のような事案で刑事裁判に至ることはまずありません。
そのため、前科がつく可能性も低いと考えて構いませんが、集団で一方的に相手を痛めつけるといった悪質な犯行の場合、刑事裁判に至る可能性があることは覚えておきましょう。
また、たとえ保護処分となったとしても勾留されたり鑑別所に送られることで、その後の生活にマイナスの影響が出てしまう点は変わりません。
大切な子供の将来のためにも、逮捕されたらすぐに然るべき対応をとる必要があります。
傷害事件で逮捕された場合の最適な対応は?
こういった社会的ダメージを回避するためにも、傷害で逮捕されてしまったら、できるだけ早く弁護士に連絡をとることが重要です。
それが被疑者やその家族にとって、最適かつ唯一の対応となります。
逮捕されて社会的に隔絶された状態の被疑者にとって、最も大きな権利は法律の専門家である弁護士を選任できることで、以下のように刑事訴訟法にもそれが規定されています。
(警察は)逮捕状により被疑者を逮捕したとき~(中略)~犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え(なければならない)
このように、警察は被疑者を逮捕した時点で、弁護士を選任できる旨を被疑者に告げなければならないとされています。
警察の取調べの実態
しかし実際には、そういった事実を告げずに取調べのみを行う警察官が多く、なかには被疑者が有罪であることを前提に高圧的な取調べが行われることもあります。
そのため、傷害で逮捕されて警察署に連行されてしまったら、できるだけ素早く弁護士に連絡をとって来てもらうようにしましょう。
被疑者本人が連絡をとれないこともありますから、その場合は警察署から連絡を受けた時点で家族の方が自発的に弁護士とコンタクトをとるようにしてください。
川越で逮捕された場合は、取調べが行われる川越警察署に来てくれる弁護士に連絡するようにしましょう。
取調べ期間中の面会は弁護士しかできない
弁護士に依頼する最大のメリットは、取調べ期間中でも被疑者本人と会って話ができることです。
警察による取調べ期間の48時間と、検察官によって勾留請求がされるまでの24時間の合計72時間は、たとえ被疑者の家族であっても面会することができません。
その期間中に唯一被疑者と面会し、取調べで不利にならないよう法律的なアドバイスをしてくれるのが弁護士で、できるだけ早期の釈放に向けた弁護活動を行ってくれます。
逆に、弁護士を呼ばずに被疑者だけで取調べに対応しようとした場合、取調べのプロである捜査員に誘導されて不利な供述をしてしまうかもしれません。
場合によっては、やってもいない罪を認めさせられて、そのまま起訴されて刑事裁判にまで至ってしまう可能性もあります。
そうならないためにも、早期に弁護士に相談して対策を練ることをおすすめします。弁護士の協力を得ることで、不当な取調べに抗議することも可能になります。
弁護士は被疑者の精神的なサポートもできる
取調べの間、被疑者は基本的に捜査員以外と口をきくことが許されず、長期間にわたってとても孤独な状態に置かれます。
そのため、精神的に追い詰められる人が多く、取調べに対して冷静に対応できなくなるケースは少なくありません。
そういった状況で唯一話を聞けるのが弁護士で、彼らは被疑者がどういう精神状態に置かれているかを熟知していますから、話を聞いて被疑者の気持ちに寄り添いながら最適なアドバイスをしてくれます。
それによって、被疑者は混乱した状況を自分で整理することができるようになり、今後の対応について冷静に考えられるようになります。
弁護士に協力してもらうことは、こういった被疑者のメンタル面にも大きなプラスとなることを覚えておきましょう。
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勾留の取り消しや不服申し立ても可能
また、弁護士に相談することにより、裁判所の勾留決定の取り消しや、不服申し立てをすることも可能になります。
上述のように、検察官の請求によって裁判所が勾留を許可してしまうと、被疑者は原則として10日間、延長を含めると最長で20日間も身体的な拘束を受けなければなりません。
そうなると、社会生活に大きなダメージを受けることになり、たとえ不起訴になったり、刑事裁判で無罪を勝ち取ったとしても、社会復帰に支障が出てしまう可能性があります。
被疑者が勾留されてしまった場合、弁護士は勾留処分自体の正当性や妥当性を争うことができ、取り消し請求や勾留停止の申し立て、あるいは準抗告などの手続きができます。
準抗告とは、勾留や以下で説明する保釈など、裁判官が下した決定に対する不服申し立てのことをいい、申し立てが通れば、被疑者の身体的拘束を解放できるようになります。
そのため、どんなに遅くても検察官によって勾留請求が出される前に、弁護士に相談できる状態にしておくことが重要です。
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示談交渉もスムーズになる
傷害事件では、被害者側と示談できているかが量刑にも大きく関わってきます。
たとえ起訴されて刑事裁判にまで至ってしまった場合でも、被害者との示談が成立していれば、そうでなかった場合に比べて裁判でよい情状を得られる可能性が高くなります。
場合によっては、刑事裁判にまで至らないこともありますし、起訴されずに前科を免れることができるケースもあります。
特に傷害で前科がつかないことのメリットは大きく、被疑者(被告人)のその後の人生に大きな差が出ることは間違いありません。
被疑者が自分で被害者と示談交渉するのはなかなか難しいですが、交渉に慣れている弁護士ならば、被害者との示談交渉をスムーズに進めてくれます。
傷害事件で逮捕されたら早急に弁護士を呼ぼう
傷害事件で逮捕された場合の流れと、できるだけ早く弁護士を呼ぶことのメリットについて説明しました。
警察に逮捕されると、最大で72時間も留置されることになり、検察に送致されて勾留にまで至ってしまうと、最長で20日もの間、身柄を拘束されることになってしまいます。
特に仕事をしている人の場合は、それほどの長期間身柄を拘束されることの不利益は非常に大きなものになるでしょう。
そのような事態をできる限り回避するために、逮捕されてしまったらすぐに弁護士に連絡するようにしてください。
法律のプロである弁護士に依頼すれば、取調べの対応から被害者との示談交渉など、刑事手続きに関するあらゆる場面で最適なアドバイスを受けられます。
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