私有地への無断駐車は、所有者や管理者にとって大きなストレスです。
といった疑問を抱える方も多いでしょう。
また、感情的な行動を取ってしまうと状況を悪化させる事態もありえます。
本記事では、無断駐車に悩む方のために、法律に基づく正しい対処法と再発防止策について解説します。
私有地の無断駐車への正しい対処法
私有地の無断駐車に迷惑しているという方は、感情的な行動は避け、冷静に適切な手順を踏むことが大切です。
具体的には、以下のような手順で対処するよう心がけましょう。
1. まずは冷静に状況を確認・記録する
無断駐車を発見した際、まずは状況を確認し、以下の点を記録することが重要です。
車両の位置と状況
本当に私有地内にあるか、車両の位置と状況を遠目から撮影するなどして記録しましょう。
車両と時間や日付
写真を撮影する際は、ナンバープレートや車両についても記録しましょう。
同時に時間や日付もメモしておくと、後の有効な証拠になってくれます。
メモ
例えば、頻繁に無断駐車される場合は、車両が同じか確認するだけでなく、その都度、時間や日付を残しておきましょう。
2. 警察に相談する
次に、警察への相談を検討しましょう。
ただし、私有地での無断駐車は「民事不介入」といって、基本的に民事上のトラブルとして扱われ、警察に対応してもらえないケースがほとんどです。
それでも以下のような状況では、警察が関与してくれる可能性があります。
住居侵入罪や建造物侵入罪
私有地や建物内の駐車スペースに侵入した場合に適用されます。
刑罰として、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」が科されることがあります。
威力業務妨害罪
無断駐車が月極駐車場や店舗などである場合は、業務に支障を与えるとして適用されます。
刑罰として、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることがあります。
なお、相談時には、記録した証拠を提示することで警察が動きやすくなります。
3. 張り紙などで注意喚起をする
警察が対応してくれない場合や、対応以降も無断駐車が続く場合、張り紙などで注意喚起を行うのが有効です。
- 「ここは私有地です」
- 「無断駐車はお控えください」
など、わかりやすいメッセージを掲示するなどして、所有者からの反応を待ってみましょう。
ただし、脅迫的な表現や過激な文言は避け、後のトラブルを招かないよう注意してください。
実際には、張り紙があるだけで無断駐車を予防できるケースも少なくありません。
4. 所有者を特定する
注意喚起以降も無断駐車が継続している場合、相手に具体的な損害請求をするためには車両の所有者を特定しなければなりません。
国土交通省の運輸支局や自動車検査登録事務所で「登録事項等証明書」を交付請求することで、所有者の特定が行えます。
所有者が特定できた場合は、所有者に直接連絡し、状況の解決を求めてみましょう。
5. 弁護士に相談する
所有者への直接連絡が難しい場合、ご自身では対応が困難と感じた場合、またはトラブルが深刻化してしまった場合は、弁護士への相談を視野に入れてください。
弁護士であれば、以下のような方法で解決をサポートしてくれます。
- 所有者への内容証明の送付
- 損害賠償の請求や交渉
- 調停や裁判といった法的手続き
なお、弁護士への依頼後は、基本的にすべての対応を任せることができます。
報告を待っているだけで解決に向けて進んでいくため、精神的なストレスは大幅に軽減されるでしょう。
逆に訴えられるリスクのある避けるべき行為
無断駐車に対応する際、あまり怒りから感情的な行動を取ってしまうと、相手から逆に訴えられるリスクがあります。
以下のような行為は、特に注意が必要です。
高額な罰金の提示はNG
無断駐車の所有者に対して、高額な罰金の提示はNG行為です。
なぜなら、私有地の無断駐車に対して金銭を請求しても、相手に支払い義務が発生することはないためです。
メモ
駐車場などでよく見かける「無断駐車は罰金◯万円」といった表示は、心理的な抑制にはつながるものの、実際に支払わせるのは難しいのが現実です。
それにも関わらず、高額な罰金を提示する行為は、「脅迫罪や強要罪」に該当するおそれがあるため注意しましょう。
車両ナンバーなどをSNSでの晒す行為
その他にも、車両やナンバープレートなどの写真をSNSなどで公開する行為もしてはなりません。
SNSによる晒し行為は、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する場合があります。
撮影した写真は、あくまでも警察や弁護士への説明のための証拠として使いましょう。
車両を動かせなくする行為
無断駐車されているからといって、車両の周囲に障害物を置く、チェーンなどでタイヤをロックするなどの行為は、器物損壊罪などに問われる可能性があります。
また、レッカー車などを使い、無断で車両を動かすこともしてはなりません。
こうした行為は、「自力救済禁止の原則」に反することになります。
「自力救済禁止の原則」に反する行為
「自力救済禁止の原則」とは、法律に基づかず、個人が独自の判断だけで問題を解決する行為を禁じるという原則です。
これに違反すると、逆に訴えられる可能性があります。
先ほど解説した車両を動かせなくする行為のほか、以下のような行為が自力救済禁止の原則に反する行為に該当します。
自力救済禁止の原則に反するNG行為
- 車両を勝手に動かす
- バリケードや障害物を設置して車両を閉じ込める
- 車両に傷つける
これらはすべて違法行為に該当する危険があり、逆に刑事罰や損害賠償請求の対象となり得ます。
無断駐車は自力で解決するのではなく、必ず法的手段を通じて行いましょう。
無断駐車の再発防止策
では、そもそも無断駐車を根本的に防ぐには、どうすればよいのでしょうか?
以下では、具体的な再発防止策についてご紹介します。
駐車禁止の表示を明確にする
「ここは私有地です」「無断駐車は禁止されています」などの注意書きを設置します。
具体的であり、わかりやすい表示を心がけることが無断駐車の抑止力になります。
駐車場の利用者を管理する
定期的に契約者や利用者リストを更新し、管理を徹底することが重要です。
また、月極駐車場であれば、利用者以外が駐車できないようなチェーンやバーの設置も有効です。
無断駐車に対しての設置は自力救済に該当しますが、予防策としての設置は問題ありません。
防犯カメラやセンサーを設置する
防犯カメラは抑止効果が高いだけでなく、無断駐車の証拠収集にも役立ちます。
また、センサーを設置することで、不審車両の侵入をリアルタイムで把握することも可能です。
無断駐車には法律に基づいた冷静な対応を
私有地への無断駐車は所有者に多大な迷惑をかける行為なのは確かですが、感情的な対応はトラブルを拡大させる原因になります。
特に、自力救済は禁止されているため、法律に基づいた冷静な対応を心がけてください。
しかし、それでもトラブルが解決しない場合、状況が悪化してしまった場合は、法律問題のプロである弁護士に相談し、状況に応じたアドバイスを受けることをおすすめします。
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