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電動キックボードの事故事例と賠償リスクは?加害者・被害者になったときの対応方法も解説

電動キックボードの事故事例と賠償リスクは?加害者・被害者になったときの対応方法も解説

電動キックボードは、気軽に使える移動手段として注目される一方、利用者の急増とともに事故報告が増加しているのをご存じでしょうか

歩行者との接触や車との衝突などにより、凄惨な結果を招くケースも少なくありません。

本記事では、電動キックボードのよくある事故事例を紹介しながら、加害者・被害者それぞれの立場で取るべき対応や賠償リスクについて、わかりやすく解説します。

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電動キックボードの事故が増加している理由

電動キックボードの利用は都市部を中心に拡大しており、利便性の高さから日常的な移動手段としても浸透しつつあります。

しかし、普及に伴って歩行者との接触や交差点での衝突といった事故も増加しているのが現実です。

法改正による利用者の急増

2023年7月の道路交通法改正により、一定条件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として扱われ、16歳以上であれば免許不要で公道走行が可能となりました。

この規制緩和を受けて若年層を中心に利用が急増し、シェアリングサービスの拡大も相まって、観光地や都市部で「試しに使ってみる」ユーザーも増えています。

しかし、運転経験が浅く交通ルールに不慣れな利用者も多く、事故のリスクが高まっているのが現状です。

交通ルールの誤解や過信による事故も増加

見た目はおもちゃのようでも、電動キックボードは道路交通法上「車両」として扱われます。

車道通行やモード切り替え、保安部品の装備など、多くのルールを守らなければなりません。

ところが、

歩道を走ってもいいと思っていた
保安部品は不要だと思っていた

など、誤った認識で利用するケースが多く、こうした油断が事故を引き起こしています。

よくある電動キックボードの事故事例

電動キックボードの事故事例ここでは、典型的な事故事例をもとに、起こりやすいトラブルと法的リスクを紹介します。

自身が加害者・被害者どちらの立場になっても対応できるよう備えておきましょう。

歩行者と接触して賠償請求されたケース

都市部の人通りが多い歩道付近で、電動キックボードに乗っていた利用者が歩行者と接触し、歩行者が転倒して骨折するという事例です。

このようなケースでは、たとえ軽い接触であっても、人身事故と認定されれば民事上の損害賠償責任を問われる可能性があります。

特に歩道モードを使用せずに歩道に進入していた場合や、徐行義務を怠っていた場合には、利用者に重大な過失があると判断されがちです。

被害者が通院や治療を必要とする場合、加害者側には治療費・慰謝料・休業損害などの請求がなされ、数十万~数百万円規模の賠償責任を負う可能性があります。

子供が無許可走行で事故を起こしたケース

中学生が親の所有する電動キックボードを無断で使い、公道で自転車と接触する事故を起こしたという事例です。

2023年の法改正により、電動キックボード(特定小型原動機付自転車)の運転は16歳以上に限定されているため、16歳未満の子供が使用することは法律違反です。

このようなケースでは、加害者本人は責任能力が十分でないとされる一方、保護者に監督責任が及ぶことになります。

数百万円規模の損害賠償が命じられる可能性も十分もあるため、「子供が勝手に使ったから仕方がない」では済まされません。

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車との衝突事故で重傷を負ったケース

住宅街の交差点で、電動キックボードを運転していた利用者が一時停止を無視して交差点に進入し、直進してきた乗用車と衝突するという事故も少なくありません。

このようなケースでは、キックボード側の交通違反が原因であれば、過失割合が大きくなり、損害補償を十分に受けられない可能性があります。

特に、電動キックボード利用中にヘルメットを着用していなかった場合、入院や後遺症が残る危険性もあります。

加害者側も、事故後には相手方との示談交渉保険会社とのやり取りも必要になり、精神的・経済的な負担が非常に大きくなることを理解しておくべきです。

事故を起こしてしまった場合の対応

電動キックボードの事故軽い接触でも対応を誤ればトラブルに発展します。

ここでは、事故時の初動賠償責任への備えについて確認しましょう。

まず取るべき初動対応

事故が発生した際は、まず冷静に状況を確認し、負傷者がいる場合はすぐに119番通報して救急を呼びましょう。

続いて、事故の当事者同士で名前・住所・連絡先・車両情報などを交換し、警察(110番)へ通報します。

電動キックボードも法律上は「車両」に分類されるため、物損・人身を問わず、事故の届け出は義務です。

通報を怠った場合、「報告義務違反」として道路交通法違反に問われる可能性があります。

万一のため、現場の状況や相手の発言などをスマートフォンで記録しておくと後のトラブル回避に役立つでしょう。

損害賠償の責任範囲と保険の重要性

加害者となった場合、被害者に対して医療費や慰謝料、修理費などの損害を賠償する必要があるため、自賠責保険個人賠償責任保険に加入しているかどうかが重要になります。

自賠責保険は電動キックボードの使用にあたり加入が義務付けられていますが、未加入の場合はすべての賠償を自己負担しなければならず、経済的ダメージが大きくなります。

また、自転車保険や火災保険の特約などに付帯する「個人賠償責任保険」に加入していれば、加害者としての賠償リスクをある程度カバーできるでしょう。

事故の被害に遭った場合の対応方法

電動キックボードの損害賠償事故に巻き込まれた場合、突然のことでどう対処してよいか分からないものです。

ここでは、事故の被害者となった際にとるべき対応や、損害賠償請求の進め方について解説します。

相手が無保険だった場合の対処法

電動キックボードの加害者が自賠責保険や個人賠償責任保険に加入していない場合、被害者は損害の補填を加害者本人に直接請求することになります。

このとき、加害者が賠償能力を持っていないと、治療費や通院費を自分で負担するリスクもあるのです。

事故現場では、警察への通報はもちろん、後日、加害者と連絡が取れなくなる事態を防ぐために、可能であれば事故直後の会話や現場状況を録音・撮影しておくと有効です。

また、ご自身が加入している自動車保険や火災保険の個人賠償責任特約、あるいは労災保険・健康保険の適用範囲も確認しておくと、被害補填の可能性が広がるでしょう。

示談交渉・損害賠償請求の進め方

加害者との間で損害賠償の話し合い示談)を進める場合は、感情的なやり取りを避け、客観的資料に基づいた請求が原則です。

診断書・治療費の明細・通院交通費・休業損害など、請求内容を明確に文書で整理した上で、賠償額を提示しましょう。

ただし、加害者側が対応に応じない場合や、示談内容に納得できない場合には、弁護士への相談を検討すべきです。

弁護士を通じて損害賠償請求を行うことで、交渉のストレスを軽減できるほか、請求額の妥当性や法的根拠も裏付けてもらえるでしょう。

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電動キックボードは、ちょっとした移動に便利な乗り物として普及が進んでいますが、その一方で交通事故や賠償トラブルのリスクも現実に存在します。

法律上は「車両」として扱われるため、交通ルールの順守はもちろん、事故時の対応や保険加入など、十分な備えが欠かせません。

特に歩行者との接触や、子供の無許可使用によるトラブルは日常的に起こり得るため、自分が加害者・被害者のどちらになっても対応できるよう、知識を身につけておくことが大切です。

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