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家族の金銭トラブル~よくある3パターン

2022年2月24日

金銭トラブル_家族

事情は人それぞれですが、事業に行き詰まった、浪費癖・ギャンブル癖が治らない、病気になって働くことができないなど、人生のさまざまな場面において、お金が必要になることがあります。

そんなとき、家族に援助を頼んだりすることもあるでしょう。

ここでは、家族の金銭トラブルについて最もありがちな次の3パターンを解説していきます。

  • 家族同士の貸し借りの問題点・対処
  • 業者から家族の借金の返済を迫られたときの対処
  • 家族内の窃盗・横領への対処

家族間貸し借りの金銭トラブル・対処

家族間の金銭トラブルを避けるには「貸さない」のが最も良いのですが、さまざまな事情で貸さざるを得ないこともあるでしょう。

家族同士の貸し借りの問題点と解決方法についてみてみましょう。

借用書・覚書など文書にしておく

借用書_金銭トラブル多くの場合、借りるときは「必ず返す」つもりでいるのですが、返済期限を決めていないといつまでも返済できない状態になります。つまり、お金に余裕ができたら返そうと思っているものの、いつまでも余裕はできない、という状況になりやすいのです。

貸し借りをするときに、最低限の事項を決めて文書にしておくことはとても大事です。

誰が誰に貸すのか、返済期限はいつなのか、期限に返済できなかったときはどうするのか(遅延利息など)を書いておきましょう。

家族の扶養義務の範囲を把握しておく

家族にお金を借りている人の言い分としてよく聞くのが「家族は自分を扶養する義務がある」です。

たしかに、直系血族、兄弟姉妹が生活に困っているときは互いに扶養する義務があります(民法第877条第1項)。しかし、これは扶養する側が通常どおり自身の生活をおくれていて、さらに余裕があれば扶養するということです。

つまり、自分の生活を犠牲にしてまで家族に金銭を渡す必要はないのです。勘違いしないように注意しなくてはなりません。

家族間の貸し借り問題の解決方法

家族で充分に話し合って解決するのが最善ですが、第三者を交えて話し合ったほうが感情的にならずにすむという考え方もあります。

できることを挙げてみましょう。

親族関係調整調停

家庭裁判所の調停員が間に入って話し合い、円満な家族関係の回復を目指します。

当事者双方から事情を聞きよく把握したうえで、解決案を示したり助言したりします。
費用は印紙代・通信費程度ですみ、手続きも簡単です。

住民票の閲覧を制限する

家族がしつこく借金を迫ってストーカー行為に及ぶような場合は、転居して住所を知らせないという方法があります。ストーカーなどの加害者が住民票の閲覧をできないように制限するのです。

転居しても住民票は移さないという方法もありますが、子どもの通学や運転免許の取得などが困難になり、公的機関からサービスを受けるときに支障があるのでおすすめできません。

暴力や脅迫などがからむときは

警察に通報しましょう。
家族だけで解決しようとすると被害が大きくなってしまうことがあります。

弁護士に相談することもおすすめです。第三者の前では比較的冷静になれますし、事情に応じた法的処置を選ぶことができます。

業者から家族の借金返済を迫られたときの対処

ドラマなどで「家族なんだから借金を代わりに返済しろ」と迫られる場面をご覧になったことがあると思います。

しかし法律的には、家族には返済義務はありません。

業者が家族に返済請求するのは違法

貸し手が金融業者の場合は家族に対して返済請求することは禁止されています(貸金業法第21条1項7号)。違反すると2年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処せられます。

業者が家族に対して請求してくるようならば、内容証明郵便で警告書を送る、あるいは監督官庁に知らせるなどの手段があります。
それでもやめない場合は警察に刑事告訴するのがよいでしょう。

法律上、未成年の子が作った借金は取り消せる

未成年の子の借金でも家族には返済義務はありません。さらに、未成年の子が行った借金の契約は両親(法定代理人)が取り消すことができます。

業者は親によって取り消されることを防ぐために、あらかじめ形式的な署名捺印をとっていることがあります。
しかし、親本人が知らないところで行われた「親の同意」は無効なので、借金の契約は取り消せます。

ただ、未成年の子にクレジットカードを与えているときは、カードを使っての買い物やキャッシングを取り消すことはできません。
事前に包括的な同意があったものとみなされるからです。

夫婦でもお互いの借金を肩代わりする義務はない

夫婦は日常生活を共にしているので、第三者から見ると支払も一緒と考えがちです。

たしかに生活必需品や光熱費、子どもの教育費などはどちらが契約したものでも両方に責任があるとされます。
しかし、遊興費や高額な宝石、借金返済のための借金などは日常の家事とはいえないので、夫婦の一方が肩代わりする義務はありません。

家族内の窃盗・横領への対処

通帳と印鑑_金銭トラブルたとえば、年老いた親の預金を子の一人が勝手に引き出していた場合をみてみましょう。

普通に考えると、自分以外の人の預金を同意なしに引き出すのですから窃盗とか横領にあたるはずです。

家族間の窃盗・横領は刑が免除される

配偶者や直系血族、同居している親族がお金を盗んだり、着服した場合は刑罰はありません(刑法第244条1項)。当然、逮捕されたり起訴されることもありません。

それ以外の親族が窃盗・横領を犯した場合は、親告罪になります。つまり、被害者が告訴しないかぎり逮捕・起訴されません。

民事上の責任を追及できる

犯罪として処罰されることはなくても、民事上の責任は追及できます。

預金を引き出された損害はあるのですから、不法行為に基づく損害賠償請求、または不当利得返還請求ができます。
ただし、事実関係を立証するのは難しく、特に親が病気で判断能力がない場合などは事実がうやむやになってしまうことも多いようです。

不法行為に基づく損害賠償

民法709条によって、他人の権利または利益を侵害した者は損害を賠償する責任があります。家族でも責任を免れることはできません。

不当利得返還請求

民法703条によって、法律上の原因がなく他人の財産から利益を受け、他人に損をさせた者は利益を返還する義務があります。

遺産分割調停

親が亡くなった後で、預金を勝手に引き出していたことがわかった場合は遺産分割協議で遺産の分け方を調整する方法があります。

協議がまとまらないときは裁判所に調停を申し立てます。

家族の金銭トラブル~まとめ

家族間の金銭トラブルの要点をまとめると以下のようになります。

  • 金銭貸借は基本事項を決めて書類にしておく
  • 家族には扶養義務があるが、自分の生活を犠牲にする必要はない
  • 犯罪の要素があるときは、通報しよう
  • 家族の借金を返済する義務はない
  • 未成年の子の借金は取り消せる
  • 家族間の窃盗・横領は民事責任を追及できる

弁護士に相談するメリット

弁護士に相談するメリットは以下のようになります。

  • 第三者を交えると感情的にならずに話し合うことができる
  • 法律の専門家なので多くの選択肢の中から最適な方法をアドバイスできる
  • 弁護士は依頼人の代理人としてさまざまな手続きを行える

弁護士に依頼するときの最大のデメリットは弁護士費用がかかることです。

借金の額や損害額から考えて費用対効果が見合うときに弁護士に依頼されるとよいでしょう。

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