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ネットを介して未成年者に会うと誘拐罪になる?もし逮捕されたら早急な対応が必要

スマホを操作する学生

出会い系サイトやマッチングアプリ、SNSなどで知り合った未成年者を誘拐した犯人が逮捕された事件が報道されることがしばしばあります。

誘拐罪というと悪質な犯行のようなイメージを持たれると思いますが、報道される事件のすべてが言葉巧みに未成年者を誘い出した犯行というわけではありません。

多くのケースではお互いに合意のうえで会っていますし、むしろ未成年者の方から積極的に働きかけたケースも少なくないのです。

同意があるのに、なぜ誘拐罪で逮捕されてしまうのでしょうか?

この記事では、どのようなケースで未成年者誘拐罪に問われてしまうのかを解説し、逮捕されてしまった場合の対処法についてもご説明します。

ネットで未成年者とやりとりするときは、この記事をご参考に十分に注意していただければと思います。

相手の同意があっても未成年者誘拐罪が成立する理由

手を繋ぐ男性と幼児誘拐罪とは、人をそれまでの生活環境から引き離し、自分や第三者の支配下におくことで成立する犯罪です。

言葉巧みに相手を騙したり誘惑したりして誘い出すような場合が誘拐罪の典型的なケースです。

相手の身体の自由を侵害または制限することが誘拐罪の第一次的な本質です。

しかし、相手が未成年者の場合は別の注意が必要です。

誘い出す相手が未成年者の場合は、本人の身体の自由だけでなく親などの保護監督権も侵害することになります。

そのため、本人の同意があっても保護監督権者の同意がない場合は未成年者誘拐罪が成立するとした判例があり、裁判所や警察もその判例に従っています。

したがって、未成年者を親などの保護監督権者に無断で誘い出すと未成年者誘拐罪が成立し、逮捕されてしまうのです。

なお、誘拐罪が成立するのはネットを介して出会った場合だけではありません。

路上や飲食店などで未成年者に直接声をかけて誘い出した場合も、もちろん誘拐罪が成立します。

ただ、最近は未成年者も携帯電話やスマホを持ち、出会い系サイトやマッチングアプリ、SNSなどを利用する人が増えているため、ネット介した事件が増えていると考えられます。

未成年者を誘拐する目的しだいで刑罰が重くなる

一万円札を持つ手未成年者誘拐罪の刑罰は、3か月以上7年以下の懲役です(刑法第224条)。
大変な刑罰ですが、数多くある刑法犯のなかではそれほど重い方ではありません。

ただし、未成年者を誘い出すときの目的次第では以下のように刑罰が重くなってしまいます。
軽い気持ちで未成年者と会うことでどれほど重い責任を負うことになるのかを、しっかり理解しておきましょう。

わいせつ目的誘拐罪

相手を誘い出すときに性的な行為をする目的を持っていると、単なる未成年者誘拐罪ではなくわいせつ目的誘拐罪(刑法第225条)が成立します。刑罰は1年以上10年以下の懲役と重くなります。

未成年者と会って性的な行為に至った場合はわいせつ目的誘拐罪で逮捕される可能性が高くなります。

営利目的誘拐罪

未成年者と自分が性的な行為をするのではなく、第三者と性的な行為をさせて利益を得る目的で誘い出した場合は営利目的誘拐罪(刑法第225条)となります。

刑罰はわいせつ目的誘拐罪と同じで1年以上10年以下の懲役です。

身代金目的誘拐罪

未成年者の近親者など安否を気遣う人から金品を得る目的で誘い出した場合は、身代金目的誘拐罪が成立します(刑法第225条の2)。

刑罰は無期または3年以上の懲役と非常に重くなります。

児童買春罪

18歳未満の未成年者に対して金銭などの対価を提供し、または提供することを約束したうえで性的な行為に及んだ場合は児童買春罪(児童買春・児童ポルノ禁止法第3条)が成立します。

刑罰は5年以下の懲役または300万円以下の罰金です。

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児童ポルノ所持罪・提供罪

18歳未満の未成年者の裸などわいせつな姿を撮影してその画像や動画を携帯電話やスマホ・パソコンなどに保存していると児童ポルノ所持罪(児童買春・児童ポルノ禁止法第7条1項)が成立します。

刑罰は1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

上記のような画像や動画をインターネット上の掲示板に投稿するなどして、不特定多数の人が見ることができる状態にすると児童ポルノ提供罪(児童買春・児童ポルノ禁止法第7条2項)となります。

刑罰は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金と、児童ポルノ所持罪よりも重くなります。

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青少年保護育成条例違反

金銭などの対価のやりとりなしに18歳未満の未成年者と性的な行為に及んだ場合は、都道府県の青少年保護育成条例違反となります。

刑罰は都道府県によって異なる場合もありますが、2年以下の懲役または100万円以下の罰金とされているところが多いです。

強制わいせつ罪・強制性交等罪

相手の同意なく性的な行為に及んだ場合は強制わいせつ罪(刑法第176条)あるいは強制性交等罪(刑法第177条)が成立することがあります。

性的な行為に対して一定の同意があった場合でも、性交渉そのものや特定の行為について拒否する意思を相手が示していた場合はこれらの犯罪が成立する可能性があるので注意が必要です。

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なお、13歳未満の未成年者に対しては同意があった場合でも強制わいせつ罪や強制性交等罪が成立します。

未成年者誘拐罪で逮捕される可能性がある5つのケース

スマホを触る女子高生それでは、具体的にどのような行為が未成年者誘拐罪にあたるのかを具体的な事例でみていきましょう。

ありがちなケースから意外なケースまで5つの例をご紹介します。

援助交際をしたケース

未成年者誘拐罪が成立する典型的なケースは、いわゆる援助交際をした場合です。

出会い系サイトなどで未成年者とやりとりをして、金銭などの対価を支払う約束をした上で遭い、自宅やホテルなどで性的な行為をするのが援助交際です。

この場合は相手が18歳未満であれば未成年者誘拐罪とともに児童買春罪も成立します。

対価のやりとりがない場合は児童買春罪は成立しませんが、青少年保護育成条例違反として処罰の対象になります。

誘い出す手段としては出会い系サイトだけでなく、マッチングアプリやSNSを利用する例も最近は増えてきています。

未成年者を自宅に宿泊させるケース

性的な行為に及ばなくても、親などの同意なく未成年者を誘い出すだけで誘拐罪が成立する可能性があります。

未成年者を自分の支配下におく時間が長くなればなるほど親が心配し、警察に相談したり捜索届けを出す場合が多いので逮捕される可能性が高まります。

最近報道された事件としては、2019年11月、Twitterで愛知県の14歳の女子中学生を誘い出して東京都八王子市の自宅に宿泊させた43歳の男性が未成年者誘拐罪の疑いで逮捕された例があります。

この事例では、女子中学生が家出を希望してTwitterに「部屋を貸してほしい」という書き込みをしたところ、男性がメッセージを送信して誘い出しています。
性的行為があったかどうかは報道からは不明です。

インターネット上では家出に対する支援を求める書き込みをする未成年者も多くいます。

本人が希望しているからといって親などの同意なしに未成年者を誘い出してはいけません。

短時間の同行でも逮捕されるケース

誘拐罪で逮捕されるのはある程度の時間継続して未成年者を自分の支配下においているケースが多いですが、短時間の同行でも逮捕されているケースはあります。

2019年10月、チャットなどの通信機能を備えた「カカオトーク」というアプリで知り合った小学生の女児を自宅に連れ込んだとして兵庫県姫路市の20代の男性が逮捕されました。

この事例では女児が男性の自宅に滞在したのは日中の約3時間でした。

家族がスマホのGPS機能で女児を探したところ、なじみがない場所にいることを知り、帰宅した女児に問いただしたのが逮捕のきっかけとなりました。

誘拐罪は未成年者をそれまでの生活環境から引き離し、自分の支配下に置いた時点で成立します。

短時間なら大丈夫だと思ったという言い訳は通用しないので注意しましょう。

わいせつ目的がなくても逮捕されるケース

未成年者誘拐罪はわいせつ目的がなくても成立します。

わいせつ目的があればわいせつ目的誘拐罪として刑罰が加重されます。

わいせつ目的もなしに未成年者を誘い出しただけで逮捕されることはないだろうと考えている方もいらっしゃるかもしませんが、実際に逮捕されているケースがあります。

2018年9月、出会い系サイトで知り合った鹿児島県の女子高校生を誘い出したとして北海道網走市の21歳の男子大学生が逮捕されました。

この事例では、女子高校生が「家を出たい」と出会い系サイトに書き込んだところ、男子大学生が「協力する」と誘い、女子高校生が自ら飛行機などを使って男子大学生の自宅がある網走市に訪れました。

報道によると、男子大学生は取り調べに対して「女の子を助けてあげたかった」という動機を説明したとのことです。

性的行為があったかどうかは報道からは不明ですが、不純な動機がなくても未成年者を誘い出すだけで未成年者誘拐罪で逮捕された実例のひとつです。

善意で誘い出しても逮捕されるケース

不純な動機がなく、むしろ善意であっても未成年者を誘い出したことで逮捕された例があります。

2019年11月、Twitterで誘い出した女子中学生2人を約2か月間、借家に住ませたとして埼玉県本庄市で不動産業を営む男性が逮捕されました。

この事例では、Twitterに家出を希望する投稿をしたさいたま市と兵庫県の女子中学生2人に対して男性が「埼玉においで、勉強するなら養ってあげる」と誘い出しています。

男性は実際に2人の女子中学生に自分が管理する借家を提供し、食事も与えた上で宅建士の資格を取るための勉強をさせていました。
外出や携帯電話の使用も自由にさせていたとのことです。

この男性の行為は見ようによっては褒められても良いように思えるかもしれません。

しかし、約2か月にもわたって保護者の支配下から未成年者を引き離した罪は軽いとはいえないでしょう。

未成年であることを知らなかった場合でも誘拐罪から免れるのは難しい

メイクする女性誘拐罪は過失によっては成立しない犯罪です。

したがって、誘い出した相手が未成年であることを知らず、かつ知らなかったのが無理もないといえる場合は未成年者誘拐罪は成立しません。

しかし、実際には未成年者誘拐罪で逮捕されてしまったら「未成年者とは思わなかった」という言い訳が通用することはほとんどありません。

未必の故意があれば誘拐罪は成立する

未必の故意とは、もしかしたら相手は18歳未満であるかもしれないと認識しつつ、それでも思いとどまらずに犯行に及んだ場合の故意のことをいいます。

つまり、未成年者を誘い出す際に相手が18歳未満であることを実際に知らなかったとしても、通常の常識的な注意を払えば18歳未満であることを知ることができた場合は有罪になってしまうのです。

このような「未必の故意」があったといえるかどうかは非常に微妙な判断で、刑事裁判で争点となることも多い問題です。

それだけに取り調べでは、捜査官はほんのわずかでも「18歳未満ではないか」と疑う可能性があった以上は「故意あり」だという調子で被疑者を厳しく追及します。

故意を否認する場合は弁護士を呼ぶべき

実際のところ、相手が18歳未満であることを知らなかった場合でも、罪を認めて被害者側と示談をすることが得策であることが多いです。

それでも納得できず、故意の否認を貫きたい場合は早めに弁護士を呼ぶ必要があります。

一人で取り調べに対応していると、捜査官からの厳しい追及に根を上げて自白してしまうおそれが強いです。

逮捕されると通常72時間ほどは家族とも面会することはできませんが、弁護士はいつでも呼ぶことができます。

逮捕されたときの弁護士の接見について、詳しくはこちらの記事で解説しているのでご参照ください。

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未成年者誘拐罪で逮捕された場合の対処は示談が最重要

手錠をかけられた人マッチングアプリやSNSを介して未成年者を誘い出したことで逮捕されても、必ずしも刑罰を受けなければならないわけではありません。

適切に対処すれば起訴を回避して釈放されることも可能ですし、起訴されても執行猶予つき判決を得られる可能性があります。

そのためには、早急に対処する必要があります。

早期に示談が成立すれば起訴を回避できる

未成年者誘拐罪は親告罪です。

親告罪とは、被害者側からの告訴がなければ検察官が刑事裁判を求めて起訴することができない犯罪のことをいいます。

つまり、問われた罪が未成年者誘拐罪のみの場合は、被害者側と示談をして告訴を取り下げてもらえば起訴されることはないのです。

児童買春罪や青少年保護育成条例違反など親告罪でない罪も問われている場合は示談をしても確実に起訴を回避できるとは限りません。

しかし、非親告罪についても被害者側と示談が成立しているかどうかや、被害者側が被疑者の処罰を求める感情の強弱は検察官が起訴するかどうか判断する際の重要な要素となります。

とはいえ、逮捕・勾留されてしまうと自分で被害者側と示談交渉をするのは困難です。

連絡がとれたとしても、円滑に話し合いができるとは限りません。

話し合いが進まなければ短期間のうちに起訴されてしまうので、早めに刑事事件に詳しい弁護士に依頼するのがおすすめです。

示談交渉のノウハウを豊富に持っている弁護士が対応することで円満かつ速やかに示談が成立する可能性が高まります。

被害者側との示談に関する詳細はこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

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未成年者に対する誘拐罪などの罪に問われたらまずは弁護士に相談しよう

いまはネットを介して未成年者と会うことは簡単にできてしまう世の中になりました。

しかし、本人の同意があっても、相手が未成年であることを知らなくても未成年者誘拐罪などの罪に問われる可能性があるので、十分に注意が必要です。

もし罪に問われ、逮捕されたら少しでも早く弁護士を呼ぶことが重要です。

逮捕されていなくても、心当たりがある方は早めに弁護士に相談してみることをおすすめします。

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