ほとんど使っていないブランド物のバッグなどは、業者に下取りしてもらうよりメルカリで欲しい人に売ったほうがお得!そんな話をよく聞きます。
質屋では価格を決めるのは業者側で、細かいキズや劣化を指摘されて買いたたかれてしまいます。その点メルカリでは価格を決めるのは自分です。
キズや劣化部分もきちんと告知してそれでも良いと思う人に買ってもらえれば問題ありません。
さらに購入対象者はサイトを閲覧する不特定多数の人々なので、成約率も高くなります。
しかし、不特定多数の人々を相手にしていると、中には悪意のユーザーもいます。
悪意のユーザーが購入して「これって、偽物ですよね?」と言ってきたら、どのように対処したらよいでしょうか。
結論は以下のようになります。
- 本物の確証があるときは、返品・返金に応じない
- 本物の確証がないときは、返品・返金に応じる
本物である確証がある(偽物ではない)ときは⇒返品返金に応じない
直営店で購入した、ギャランティーカードがあるなど、本物であることが確かであれば、返品・返金に応じる必要はありません。
購入時のレシートなどを示して本物であることを丁寧に説明しましょう。
なぜ偽物と思ったのか理由を聞き、相手が納得できるように説明します。
それでも、文句を言ってくるようなら無視してもかまわないでしょう。
「警察に通報する」といった脅しをかけてきても、あわてる必要はありません。
警察は民事不介入といって民間のトラブルにはかかわってきません。
また、返品に応じると住所・氏名を知られてしまいますし、偽物にすり替えて返品してくるかもしれません。
本物であるという確証があるかぎり、しつこいクレームは無視してよいでしょう。
返品・返金に応じる必要はありません。
しかし、いつでも示せるようにレシートやギャランティーカード、シリアルナンバーの写しなど証拠になる物はきちんと保管しておきましょう。
悪意のメルカリ購入者には詐欺罪が成立することも
本物であるにもかかわらず、購入者が悪意で「偽物」を言い立てているケースです。
前述のとおり、直営店のレシートなど確証があれば、返品・返金に応じる必要はありません。
悪意の購入者は返品するときに偽物に差し替えて、ただで本物を手に入れようと考える人もいます。
これは、相手をだまして金品を得る行為なので詐欺罪に該当する可能性があります。
購入者が言いがかりをつけてくる
しつこく言いがかりをつけてきたり、警察に通報するなどと脅してくるときは、弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士を通して話をすると、相手は次は法的手段に訴えられると考えますから、話がスムーズに進みます。
警察に被害届・告訴状を出す
弁護士に依頼するのと平行して、警察に被害届と詐欺・恐喝の告訴状を出しておいたほうがよいでしょう。
また、弁護士を通してそのことを購入者に伝えれば、購入者が引き下がる可能性もあります。
本物の確証がないときは⇒メルカリ取引をキャンセルする
購入時の出所が不明だったり、誰かのプレゼントだったり、本物だといえる証拠がない場合は、取引をキャンセルして返品・返金に応じてしまうのがよいでしょう。
本物であるという立証責任は出品者側にあるからです。
購入者が偽物であることを証明する必要はないのです。
そして、ブランド商品の真贋(本物か偽物か)を見分けるのは、実はとても難しい問題です。
本来、そのブランド品を作ったメーカーでなければ見分けることができないはずです。
なぜなら、本物と偽物の違いはそのブランドのトップシークレットだからです。
もし、本物と偽物の違いが誰でも知りえる情報であるなら、限りなく本物に近い偽物・ほぼ本物といえる商品が出回ってしまいます。
レシートやギャランティカードがない場合は本物だと証明するのが難しいので、返品・返金に応じるのが良策です。
偽物だとわかっていて出品したときは
偽物を本物だと偽って売りつけると、さまざまな犯罪・法律違反を犯すことになります。
詐欺罪
偽物を本物だと偽る行為は購入者をだますことになります。
そして代金を受け取るのですから詐欺罪に該当し、10年以下の懲役に処されます。
刑法
(詐欺)
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
商標権の侵害
偽物の出品はブランド商品の商標権を侵害する行為になり、10年以下の懲役・1,000万円以下の罰金刑が課せられます。
親告罪ではないので、ブランドの会社が一つひとつの取引をチェックして告発する必要はなく、ネット販売でも摘発されるおそれがあります。
親告罪とは
被害者からの告訴がなければ起訴できない犯罪のこと。
商標法
(侵害の罪)
第七十八条 商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第七十八条の二 第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
意匠権の侵害
ブランド商品や他の工業製品の多くは意匠権といって、他人が真似しないようにデザインを独占する権利を登録しています。
偽物を販売する行為はこの意匠権を侵していることになります。
民事上の不法行為責任
購入者やブランドの会社から損害賠償を請求されることもあります。
偽物だと知らずに出品してしまったら
よくあるのは、本物だと思って所持していた物が実は偽物だったかもしれない、という場合です。
出品時は偽物かもしれないなどとは思いもせず出品したけれど、購入者から指摘されて初めて偽物かもしれないと自覚するケースです。
このようなときも返品・返金に応じるのがベストです。
偽物だと知らずに出品してしまったのですから、出品者に悪意はありません。
それでも違法になるのでしょうか。
意匠法では意匠権を侵害する者に対して「過失を推定する」といっています。
つまり、知らなかったでは済まされませんよ。注意義務を怠っていたでしょ?ということです。
偽物の販売が度重なると、差止請求権(販売をやめるよう要求する権利)を行使されるおそれもあります。
意匠法
(差止請求権)
第三十七条 意匠権者又は専用実施権者は、自己の意匠権又は専用実施権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。(過失の推定)
第四十条 他人の意匠権又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。(後略)
本物の確証がないときは出品しない
上記のように本物の確証がないのにメルカリなどに出品すると、詐欺罪や商標権・意匠権の侵害にあたるおそれがあります。
偽物だと知らなかった場合でも、過失責任を追及されます。
「本物の確証がないときは出品しない」これが一番よい方法です。
偽物トラブルは弁護士に相談を
偽物を買わされてしまった、偽物を売ってしまった、などブランドの偽物トラブルは故意・過失にかかわらず弁護士に相談することをおすすめします。
偽物を買わされてしまった
損害額が大きいときは弁護士を通して法的手続きをとることで損害賠償を勝ち取ることができるかもしれません。
相手方が手慣れたプロの場合は、法律の専門家である弁護士に交渉をまかせるほうが確実です。
また、詐欺の容疑で相手方を告訴すれば、犯罪防止につながるでしょう。
偽物を売ってしまった
偽物と知っていながら売っている、または何度も偽物を売ったような場合は、摘発されるおそれがあります。
弁護士に相談して最善策を考えましょう。
もし、逮捕されてしまったら、すみやかに法的手続を進めなくてはなりません。
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