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当て逃げされて泣き寝入りしないために知っておくべき連絡先と対応を解説

2022年7月21日

駐車場やコインパーキングなどで当て逃げをされた経験はありませんか。

「当て逃げ」とは、自動車同士の接触などによって物損事故を起こしたにも関わらず、自動車を停止させたり警察に報告することなく、その場を去る行為のことを言います。

特に、ドライバーが不在の駐車場コインパーキングで発生しやすいといわれているため、買い物で車を離れている間に当て逃げをされていたという方もいるのではないでしょうか。

また、当て逃げの場合、加害者はもちろん、被害者もすぐには気づかず、後日になって車の傷に気づき、いつ、どこでできた傷かが判明しないこともあります。

そのため、当て逃げ被害にあっても、後日通報できるのか悩んだり、あきらめて何もしない方もいます。

そこで、明らかに接触したことが明白なのに、その場を立ち去るような悪質な当て逃げのケースや、どこで当て逃げされたか不明なケースを含め、当て逃げで泣き寝入りしないためにどうすべきか、対応方法をご紹介します。

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泣き寝入りが多い?当て逃げの犯人が検挙される確率と罰則とは

当て逃げの犯人を検挙する確率は低いと一般的に言われています。

その理由としては以下のようなものがあります。

当て逃げの犯人が逮捕される確率が低い理由

令和3年の犯罪白書によると、ひき逃げ事故(人の死傷を伴う交通事故で救護措置を取らず走り去った場合)の場合、令和2年に6,830件発生し、検挙率は70.2%、死亡事故に限ると90%超という高い水準で犯人が見つかっています。

しかし、当て逃げに関してはそもそも統計がなく、数字を出すことが難しいのが実情です。

理由としては、当て逃げをした側もされた側もその場で気づかないことが多いこと、後日気づいたとしても犯人や原因の特定が難しいということがあり、警察庁としても統計を扱っていません。

当て逃げの犯人が負う罰則

上記のように、当て逃げ犯が後日検挙される可能性は決して高いとは言えません。

しかし、当て逃げでも犯罪が成立します。

交通事故の当事者になった人は、現場の危険防止措置を取り(緊急措置義務)、警察に報告する義務(報告義務)を負います。

当て逃げはこの双方を行わないため、次の罰則を負うことになります。

  • 緊急措置義務違反1年以下の懲役または10万円以下の罰金
  • 報告義務3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金

加えて、行政処分の違反点数として

  • 物損事故の場合の危険防止等措置義務違反5点
  • 安全運転義務違反2点

合計7点の違反点数が付加され、30日の免停処分になります。

泣き寝入りしないために当て逃げされたらやるべき対処法

当て逃げをされたら、

  • 犯人を見つけること
  • 車の損害の保障をどうしたらいいか

が気になる方は多いのではないでしょうか。

できるだけ良い結果につなげるために、次のような対処法を参考にしてください。

1.相手のナンバーなど情報を記録する

ナンバープレートイメージ

相手の車の車種、ナンバーを覚える車のドライブレコーダーの作動を確認するなどです。

また、後述する車の移動が終わったら、周囲の防犯カメラの有無も確認しておきましょう。

ショッピングセンターなど大型の駐車場がある施設では、原則として警察や弁護士の依頼がないと防犯カメラの開示は難しいとしつつ、状況によっては当事者の依頼に応じて開示するところもあるようです。

2.車を安全な場所に移動する

二次被害を防ぐために、まずは車を安全な場所に移動して停車しましょう。

3.車の被害を確認する

車のどこにどのような傷ができたか、程度と場所を確認します。スマホのカメラなどで記録を取っておくことをお勧めします。

4.警察に届け出をする

人身事故、物損事故を問わず、事故の当事者になった場合は危険防止措置を取り、警察に報告する義務が課されています(道路交通法第72条)。

当て逃げをされた被害者になった場合も、気づいた段階で警察に連絡してください。

警察に届け出が受理されると、交通事故証明書を発行してもらえます。

この証明書は、事故と損害の関係を明確にするもので、保険を請求したり、犯人が判明した場合に損害賠償請求をするときに重要です。

5.自分が加入している保険会社に連絡する

ご自身で車両保険に加入してれば、加害者が不明な場合でも、その保険を使って保険金を受け取ることができます。

ただし、エコノミータイプの場合は、通常当て逃げは対象外となっているので、確認してみましょう。

また、車両保険を使うと、保険の等級が下がり保険料が上がるため、当て逃げの損害の程度によってはあえて車両保険を使わず自費で修理したほうが得になる場合もあります。

被害の程度や修理の見積もりを出してから検討することをお勧めします。

通報は1週間以内に行うのが目安

当て逃げの通報等の対応は、できれば当て逃げから1週間以内に行えればベストです。

あまりにも日数が立ってしまうと、当て逃げの事実と車の傷との因果関係が曖昧になってしまうからです。

とはいえ、車の傷に気が付いたのが、思い当たる当て逃げの日から1週間を超えた場合であってもあきらめてはいけません。

特に報告義務については、1週間を超えても必ず行い、事故証明を受けておくようにしましょう。

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スーパーの駐車場やコインパーキングに多い当て逃げの5類型

コインパークングの精算機

スーパーの駐車場やコインパーキングは、

  • 運転手が車内にいないこと
  • 1台当たりのスペースが狭いこと
  • 駐車場内の進行方向が複雑な場合が多いこと

といった理由から、当て逃げが起きやすい特徴があります。

具体的には次の5類型よくある当て逃げの形態です。

1.バックで走行中の接触

駐車場やコインパーキングでは、バック駐車やバックによる出庫などが多いです。

バックは、運転者からすると見えない死角が多く、ハンドル操作も難しいため、狭い駐車場では当て逃げが起きやすい類型です。

2.ミラーの接触

駐車場で離合する際に、相手の車のミラーが自車に接触し、傷がついていたというケースです。

駐車場内の通路は狭いことが多く、またミラーの接触は気づきにくいことが多いのが特徴です。

3.出会いがしらの接触

駐車スペースから車を出す際に、駐車場内の通路を走行中の車と接触したり、車を切り返している際に接触するケースがあります。

4.ドアパンチ

駐車場で車のドアを開けた際に、隣の車にドアがぶつかり傷つけることをドアパンチといいます。

駐車場のスペースは狭いため、ドアパンチが発生しやすい場所です。

また、ドアパンチが、相手の車のドアの角がぶつかって生じた場合、被害車両への傷が深くなる反面、加害車両にあとが残りにくく、犯人が見つかっても因果関係が立証しにくい場合があります。

5.設備への接触

駐車場内のポールや塀に車両をぶつけたけれど、修理代の請求が怖くてその場を立ち去るケースです。

当て逃げの加害者が見つかった場合にできること

示談書イメージ

当て逃げの加害者が見つかった場合、加害者に対して次のような請求をすることができます。

加害者の対物賠償責任保険から賠償を受ける

加害者が見つかれば、加害者が加入している対物賠償責任保険から車の修理代の補償を受けることができます。

もし、加害者が自賠責保険にしか入っておらず、対物賠償責任保険をつけていなかった場合は、この保険は使えません。

その場合は、相手方個人に対して、直接修理費用を請求していくことになります。

加害者と示談交渉を行う

示談とは、そのトラブルに関する当事者の一切の合意を言います。

上記のように、加害者側の保険が使えない場合は修理費用や、修理中の代車費用などが含まれます。

通常、物損で愛車が傷ついてショックを受けたとしても、精神的苦痛は損害賠償に含まないとされますが、示談は当事者が合意すれば、何を含むかは自由です。

修理費プラスアルファを示談金に含むことで、事件を許す(宥恕)意向を示し、刑事処分で加害者に有利な事情を与えることも可能です。

ただし、やりすぎた示談交渉は、被害者としての権利の行使であっても脅迫・強要として別の問題が生じることも少なくありません。

示談交渉を行う際は、間に弁護士をいれて、代理人として交渉を進めてもらうことをお勧めします。

当て逃げで泣き寝入りしないために弁護士に相談を

当て逃げされた車

当て逃げにあったら、泣き寝入りしないために弁護士に相談することをお勧めします。

当て逃げが起こりやすい駐車場では、防犯カメラが設置してあることが多いですが、録画の開示は弁護士が行うとスムーズなことが多いです。

また、当て逃げも犯罪なので、加害者が逮捕された場合、弁護士を立てるのが通常です。

被害者側として加害者、またその弁護士に対応するためには、適切な法的知識を持った専門家を代理人とするのが、交渉を有利に進めるのに役立ちます。

もし、ご自身の保険に弁護士費用特約を付けていれば、多くの場合上限300万円まで、保険から弁護士費用を支払って弁護士についてもらうことができます。

加害者が見つからなくても、見つかっても、弁護士に相談することでできるだけよい解決につなげていくことが可能になります。

当て逃げの被害にあったら、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

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