2023年、パパ活をしていた女性(パパ活女子)が、男性に対して借金があるなどとウソをつき、約2700万円をだまし取った詐欺の容疑で逮捕されたニュースを覚えている方はいませんか。
この女性は、本件の他にも、パパ活マニュアルを販売し、他のパパ活女子がそのマニュアルに沿って詐欺をした事件で逮捕されています。
被害額が高額な上に、他の男性からも数万円から1億円を超える入金もあったと報道され、被害の大きさに驚いた方もいるかと思います。
パパ活は、男性の側がトラブルを起こすケースが多いですが、男性側が詐欺被害に遭うケースも少なくありません。
また最近は、男性が詐欺をしてパパ活女子を騙す事例も発生しています。
そこで今回は、パパ活で起きやすい詐欺事件のケースを、事例別にご紹介します。
パパ活で詐欺罪が成立するための条件
詐欺は、人からお金や財産上の利益を騙し取る犯罪で、刑法246条に規定されています。
逮捕されて有罪になると、十年以下の懲役刑が科されられる可能性があります。
罰金刑はなく、重い類型の犯罪と言えます。
詐欺罪が成立するには、次の3つの条件を満たす必要があります。
騙す行為があること
詐欺罪が成立する前提として、騙す行為が必要です。
- 借金がないのにあるとウソをつく
- 親は健康なのに介護や入院費用でお金が要る
- 留学や進学の予定はないのに勉強のためにお金が要る
などの内容が一般的です。
実際に、冒頭でご紹介した詐欺で逮捕された女性も、借金を返済しないと風俗で働かなければならないとウソをついていたことが明らかになっています。
また、結婚する気がないのに匂わせるような言動も、お金を得るための手段として用いられると詐欺に該当し、いわゆる「結婚詐欺」に発展する類型となります。
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騙されてお金を支払うこと
上記のウソを相手が信じなければ詐欺罪は成立しません。
パパ活では、男性が女性に支払うお金のことを「お手当」と言いますが、お手当名目で払われたとしても、相手の嘘を見破りながら、「かわいそう」「必死で哀れだ」などと憐憫の情で払ったような場合は、詐欺にはなりません(騙す行為はあったため、無罪とはならず未遂になります)。
冒頭の逮捕された女性の場合、男性が被害届を出していることや、返金を求める報道もあったことから、騙されてお金を渡したことが明らかなケースです。
パパ活女子がお金を受領すること
詐欺罪は、騙した側がお金を受領して初めて成立します。
途中、パパ活相手に怪しまれ、お金を受領するに至らなかった場合は、詐欺未遂罪が成立することになります。
未遂にとどまった場合、刑が軽くなる可能性はありますが、必ず軽くしてもらえるとは限りません。
また、「騙す」という詐欺の行為があった以上、無罪になることはありません。
パパ活詐欺師に騙されない!よくある詐欺のパターン
パパ活での詐欺は少なくありません。詐欺をするパパ活女子は、詐欺師のように巧みなウソをつくこともあります。
そこで、ここではよくある詐欺のケースをご紹介します。
境遇についてウソをつく
上記でもご説明したような、境遇についてウソをつき、パパ活相手からお金を騙し取る方法です。
学費や留学費用がいる、親の介護にお金が必要、借金があるなど、理由は様々です。
また、前払いで顔合わせのお手当を振り込ませ、デートの当日すっぽかしてLINE等をブロックするケースもあります。
参考
昨今、ホストに貢いだ女性が、売掛金を払うためにパパ活をしたり、ホストに売春まがいの行為をさせられるケースが社会問題化しています。
しかしパパ活でホストに貢ぐお金を稼ごうとする女性が、お金が必要な理由はホスト通いだと正直に話すことはまずありません。
ありきたりなウソで騙されないと思うかもしれませんが、冒頭の逮捕されたパパ活女子は、ホストに貢ぐお金を得るため、借金があるとウソをついていました。
実際に騙されて1億円以上払った男性もいるので、十分に注意が必要です。
美人局
恋人や夫がいるのにいないように装ってパパ活をして、デートで仲良くなったところで男性が登場するケースです。
特に性交渉を持ったケースで多いですが、「不倫慰謝料を払え」「彼女(妻)を強姦した」「キズモノにした」などと因縁をつけてお金を要求します。
警察に詐欺や恐喝で相談できるケースですが、パパ活をした男性側も引け目があるため、要求されるがままにお金を払うケースが多いです。
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妊娠を理由にする
パパ活で性交渉した相手から、妊娠を理由にお金を請求されるケースです。
もちろん、思い当たる行為をする側にも問題はありますし、もし実際に妊娠に至っていた場合は対応が必要です。
しかし、中には、実際は妊娠していなかったり、生理的に妊娠が発覚できない早い段階で、検査費用、中絶費用、精神的苦痛に対する慰謝料など、多額な請求をしてくるパパ活女子もいます。
示談交渉で請求する
パパ活女子が、実際は独身だったり、既婚者でも夫にバレていないのに、「夫にパパ活がバレた。示談で許すと言っているので示談金を払ってほしい」などとウソの示談の話を持ちかけてくるケースです。
また、男性に対して「パパ活したことを奥さんにバラされたくなければ示談金を払え」「パパ活したことを警察に通報されたくなければ示談しろ」等と言ってくることもありますが、こちらは詐欺というより、害悪を告知してお金を要求する恐喝罪(刑法249条)の類型と言えるでしょう。
パパ活マニュアルには何が書いてある?男性側が知っておくべき詐欺の手口
冒頭でご紹介した、逮捕されたパパ活女子は、パパ活マニュアルを販売していました。
実際にそのマニュアルに沿って詐欺をした別の女性が詐欺罪で逮捕され、冒頭の女性もその共犯として逮捕されています。
昨今、パパ活アプリの数は多く、お手当の相場が高いアプリ、年齢層が若いアプリなど様々です。
マニュアルでは、アプリの特性に応じて、敬語と友達口調の使い分けなど、パパ側が術中にはまりやすいやり取りが示唆されています。
また、顔合わせまでに行われる費用の交渉では、「1万円」などと直接的な記載をせず、「食事だけで1.5万円」だと「茶飯で苺」等の隠語を用いたやり取りのアドバイス、最初から高額請求をしないようにといった注意点が記されています。
さらに、パパ活女子と男性が初めて会う「顔合わせ」での服装や、男性の関心をひくための細かい指定もあります。
また、家庭環境に恵まれない、心身が弱っているなど男性の庇護欲を掻き立て、金銭的に支援したくなるような女性を演出するアドバイスがなされます。
このように、パパ活をする女性は、マニュアルやネットを駆使して、男性から割の良いお手当をもらうために情報を収集しています。
パパ活に慣れていなければ、ウソの話を信じて詐欺被害に遭ってしまうことも少なくないのが実情です。
パパ活女子からお金を巻き上げる詐欺パパとは
上記とは反対に、パパ活女子から警戒される「詐欺パパ」をご存知でしょうか。
パパ活の男性側が女性側を騙すケースです。
投資詐欺やマルチ商法の勧誘も
パパ活自体、最近登場した男女の出会いの方法ですが、その中でも詐欺パパは新しい概念です。
よくある詐欺パパが、女性とデートや食事をしたり、場合によっては性交渉をした後で、約束のお手当を支払わずに逃げるケースです。
金銭を騙し取ったわけではありませんが、本来支払わなければならなかった財産上の利益を得ているため、これも詐欺罪に該当します(詐欺利得罪)。
また、女性を投資詐欺やマルチに勧誘するなど、その後の金銭トラブルに巻き込む詐欺パパも存在します。
この場合、詐欺パパは、詐欺やマルチ商法の組織から、紹介料としてお金を得ているケースが大半です。
詐欺パパが金銭を騙し取る手口
パパ活アプリなどで、パパ活をしようとする女性をターゲットにし、偽名を使って近づくのが新たな詐欺パパの手法です。
「最初に20万円支払う」「最初に20万円、デートを継続する場合は都度3万円」などの好条件を提示し、女性を引き付けたうえで、「信頼関係を築くために、デート当日にデポジットとして3万円持ってきてほしい」などと約束を取り付けます。
詐欺パパは、当日顔合わせの際に、自分が持っている封筒を女性に触らせ、20万円が入っていることを確認させてデポジットの3万円を受け取ります。
そして、「持ち歩くと危ない」などと自分の封筒をコインロッカーに入れ、鍵を女性に渡して、デートやホテルに向かいますが、途中、急な電話等を理由にそのまま逃亡してしまいます。
女性がコインロッカーを確認すると、封筒に入っているのは、おもちゃや新聞紙等で作ったお札だけ、という手法です。
捕まりにくい詐欺パパの行為
詐欺パパは、偽名でアプリに登録しているうえ、女性との接触時間が短いので、個人を特定されにくい特徴があります。
また、パパ活女子側も、そもそもパパ活をしていることを内緒にしていたり、好条件につられた引け目もあります。
加えて、騙し取られるお金がデポジット名目の金額にとどまるため、1度で多額のお金を振込むパパ活女子の詐欺よりも被害額が少ない傾向にあります。
そのため、警察に相談せず泣き寝入りする女性が多いため、詐欺パパが実際に詐欺罪で逮捕される可能性は、パパ活女子が逮捕されるよりも低いのが実情です。
パパ活の詐欺が心配な場合は弁護士に相談を
パパ活であふれる詐欺のケースの多様さに、驚いた方もいるのではないでしょうか。
パパ活は、出会い系サイトやマッチングアプリよりライトで気軽な関係と考えがちですが、若い女性であっても、お金を稼ぐために疑似恋愛を装ったり、言葉巧みにウソをつき、お金を詐取しようとする人は存在します。
また、男性側がパパ活女子を騙してお金を詐取するケースも発生しています。
パパ活をする当事者からすると、パパ活相手に騙されてお金を要求されたり、騙されたお金を取り返したいと思っても、周りにバレたくない、警察でも受け付けてもらえないのではないかなど、一人で悩みがちです。
そのような場合は、まずは弁護士にご相談ください。
弁護士であれば、守秘義務があるので、パパ活の詐欺トラブルや相談内容が弁護士から周りにばれることはありません。
また、依頼すれば、代理人としてパパ活相手と交渉をしてもらったり、警察との対応も任せることができます。
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