不倫をしているとさまざまなきっかけでばれてしまうことがありますが、職場で不倫をばらされてしまうとほとんどの方は慌ててしまうことでしょう。
自分が不倫していたことによる慰謝料などの責任問題もさることながら、わざわざ職場でばらした相手に対して何らかの責任を問うことはできないのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、以下の点について解説します。
- 職場で不倫をばらした相手に対してどのような請求ができるのか
- ばらした相手が誰かによって請求できる内容は異なるのか
- 自分が支払わなければならない慰謝料と相手への請求はどのような関係にあるのか
- 会社へはどのように対応すればいいのか
職場で不倫をばらされてお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
職場で不倫をばらすことは犯罪に当たることも
職場で不倫をばらされると、自分にも不倫をしていたという落ち度があるにせよ、職場でばらすという行為に正当性はあるのかという点がまず気になるところだと思います。
結論からいうと、他人の不倫をあえて職場でばらす行為は犯罪に当たる場合があります。
該当する可能性がある犯罪として「名誉毀損罪」「侮辱罪」「威力業務妨害罪」があげられます。
犯罪が成立する場合は相手を警察に告訴することもできますし、犯罪被害を受けたことを理由に損害賠償を請求することもできます。
公然と不倫の事実を言いふらした場合は名誉毀損罪が成立する
相手が会社に乗り込んできて不倫の事実を不特定多数の人に言いふらした場合は、名誉毀損罪が成立します。
名誉毀損罪の刑罰は3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金です。
名誉毀損罪とは、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損する犯罪です。
「名誉を毀損する」とは、人の社会的評価を下げることをいいます。
不倫したことが社会に知られると通常は評価が下がるので、不倫をばらすことは名誉毀損罪に該当するのです。
不倫したことが事実であっても名誉毀損罪は成立します。
名誉毀損罪は人の社会的評価を下げる行為を処罰する犯罪なので、言いふらした事実が真実であっても虚偽であっても、社会的評価が下がるようなことを言いふらせば名誉毀損罪となります。
ただ、名誉毀損罪が成立するのは「公然と」事実を言いふらした場合に限られます。
「公然と」とは、不特定または多数の人にその事実が知れるような状態のことをいいます。
言いふらす相手が少数の場合は、不特定の人に事実が知れわたる状態でなければ名誉毀損罪は成立しません。
したがって、職場でばらす行為であっても大勢の人の前で言いふらすのではなく、責任者や上司など限られた人にだけ内密に告げる行為は名誉毀損罪には該当しません。
大勢の前で罵倒された場合は侮辱罪が成立する
職場に来た相手から、大勢の前で「浮気者」「色狂い」「最低」などと罵倒された場合は、侮辱罪が成立します。
侮辱罪の刑罰は、拘留または科料です。
拘留とは1日以上30日未満の間身柄を拘束される刑罰で、科料とは1000円以上1万円未満の支払を命じられる刑罰です。
侮辱罪も公然と人の社会的評価を下げる犯罪ですが、名誉毀損罪と違うのは事実を摘示しない場合に成立することです。
不倫したという事実を言いふらせば名誉毀損罪が成立しますが、あえて事実は伏せて「浮気者」「色狂い」「最低」などという言葉で罵倒する場合は侮辱罪となります。
職場で大声でわめいた場合は威力業務妨害罪が成立する
相手が職場で大声でわめいて仕事に支障をきたした場合は、威力業務妨害罪も成立します。
大声を出さなくても、執拗に話し続けて仕事に支障をきたした場合も同様です。
威力業務妨害罪の刑罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
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職場で不倫をばらした相手には民事上の慰謝料も請求できる
他人の不倫をばらす行為が犯罪に該当する場合は、民事上も不法行為に該当します。
したがって、相手の不法行為によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを請求することができます。
慰謝料の相場は10~50万円
名誉を毀損された場合の慰謝料はそれほど高額とはならない場合が多く、相場としては10~50万円程度です。
ただし、事情によってはこれより高額になる場合も低額になる場合もあります。
高額になるケースの例としては、虚偽を交えて不倫の内容を実際よりも悪辣に言いふらしたために相手に深い精神的苦痛を与えた場合などです。
威力業務妨害罪に対する慰謝料の相場もほぼ同等ですが、仕事に支障をきたしたことによる損害の程度によっては別途損害賠償が認められることもあります。
侮辱罪に対する慰謝料はさらに低額となり、0~30万円程度が相場です。
犯罪が成立しない場合でも慰謝料が認められることがある
さきほど、職場において大勢の人の前で言いふらすのではなく、責任者や上司などにだけ内密に不倫の事実を告げる行為は名誉毀損罪には該当しないことをご説明しました。
しかし、このような場合でも公開されていない私生活上の事実をみだりに公開されたといえるときはプライバシー侵害を理由として慰謝料請求が認められることもあります。
金額としては、やはり10~50万円程度が相場です。
ただし、自分や不倫相手の配偶者が不倫をやめてもらうために会社の上司などに相談した場合は正当な理由があるため違法性がなく、慰謝料は認められません。
職場の同僚が不倫で仕事上迷惑していることを相談したような場合も同様です。
職場で不倫をばらした相手によって対応は異なる
不倫の事実を職場でばらした相手に一般的に請求できる内容は以上のとおりですが、ばらした相手によっては対応が異なる場合もあります。
不倫相手の配偶者がばらした場合
不倫は自分または相手の夫婦関係を侵害する違法な行為です。
したがって、不倫相手に配偶者がいる場合は慰謝料を支払う義務があります。
不倫による慰謝料の相場は100~300万円程度です。
慰謝料の支払い義務があるとしても、不倫の事実を職場でばらされたことによって減額されるのではないかと考える方も少なくないでしょう。
しかし、不倫の慰謝料はあくまでも不倫の事実によって発生した精神的苦痛に対して支払う損害賠償金です。
基本的には職場でばらされたことによって金額が変わることはありません。
ただし、職場でばらした行為が犯罪に該当する場合は、それに対する慰謝料と相殺するような形で不倫の慰謝料の減額を求めることは可能です。
慰謝料を減額する方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
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自分の配偶者がばらした場合
不倫は自分の配偶者にも精神的苦痛を与えるため、配偶者に対しても慰謝料を支払う義務があります。
配偶者から離婚を求めて慰謝料を請求された場合の金額の相場は100~300万円程度です。
ただし、離婚に至らない場合は慰謝料額がやや軽減され、50~200万円程度が相場となります。
したがって、離婚したくない場合は不倫をやめたうえで配偶者に対して真摯に謝罪し、夫婦関係の修復を図ることが慰謝料を減額するための最善策となります。
職場でばらした行為が犯罪に該当する場合に相殺の形で不倫の慰謝料の減額を求めうることは、不倫相手の配偶者がばらした場合と同じです。
職場の同僚がばらした場合
職場の同僚は不倫とは無関係なので、こちらから慰謝料を支払う義務はありません。
ばらした同僚に対して慰謝料を請求できるかどうかのみが問題となります。
この場合、同僚が職場で不倫をばらした目的に注意が必要です。
その同僚が不倫によって仕事に支障をきたすなどの迷惑を受けていて、改善を求めて上司などに相談したような場合は、ばらすことに正当な理由があります。
この場合は慰謝料請求は認められません。
それに対して、こちらの職場での評価をおとしめる目的でばらしたり、あるいは単なる好奇心で言いふらしたような場合には正当な理由がなく、慰謝料請求が認められます。
ただし、金額はそれほど高額にはならないのが通常です。
弁護士に依頼すると費用倒れになるおそれもあるので、どこまで請求するかはよく考える必要があります。
慰謝料請求する場合の弁護士費用についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
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無関係の第三者がばらした場合
不倫とも職場ともまったく関係のない第三者がばらした場合も、慰謝料請求は可能です。
無関係の第三者が職場で不倫をばらす目的としては、社員の不適切な行為を知って会社に経営の改善を求めたり、不倫の事実を知って義憤に駆られたような場合もあります。
いずれも他人のプライバシーを公開する正当な理由にはなりません。
ただ、無関係の第三者がばらす場合は、匿名で行われることが多いのが特徴的です。
会社や社員に対するメールや、会社のホームページのコメント欄やお問い合わせフォームから匿名のメッセージが送信される場合が多いです。
このような場合は、相手が誰なのかが分からないため、ただちには慰謝料請求ができません。
誰がメッセージを送信したのかを特定する方法については、こちらの記事が参考になると思いますのでご参照ください。
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不倫相手がばらした場合
不倫相手本人が職場で不倫をばらす場合もあります。
この場合も慰謝料請求はできますが、慎重な対応が必要な場合が多いので注意すべきです。
さまざまなリスクを負うことを承知で自分の不倫を職場でばらす場合は、不倫相手が穏やかでない目的を持っていることが多いのです。
こちらに離婚をさせて自分と結婚してほしいと思っていたり、別れ話を切りだされて復讐のためにばらしたようなケースが多くあります。
平穏な生活を守るためには、法律問題とは別に不倫相手に真摯に対応しなければならない場合もあります。
場合によっては、法律上の義務はなくても手切れ金を渡すことが有効な解決策となることもあるでしょう。
しかし、相手の要求に従ってばかりいては問題を解決できない場合も多いです。
不倫相手の関係がこじれた場合は、弁護士に依頼して冷静に話し合ったり、必要に応じて慰謝料請求の裁判を起こすなどして毅然とした対応を取ることも必要です。
弁護士に依頼する前に、まずは無料で相談してアドバイスを受けることもおすすめです。
弁護士の無料相談についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
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不倫をばらされた職場への対応には法的知識が必要
職場で不倫をばらされると、多くの場合はそれなりの騒ぎになるでしょう。
社会人としては、まずは騒ぎを起こしたことを会社に謝罪しなければなりません。
そのうえで、当事者間で問題を解決して会社には迷惑をかけないことを伝える必要があります。
ただ、不倫したことを理由に解雇や降格、減給、配置転換などの処分を受けたときは法的な対応が必要になります。
社内恋愛を禁止する就業規則に法的な拘束力はない
就業規則で社内恋愛を禁止し、違反した場合の処分を定めている会社は世の中にたくさんあります。
このような就業規則は、社内の風紀や秩序を維持し、快適な職場環境を守るためのものとして有効と考えられています。
ただ、人が誰と恋愛するかは本質的に自由です。
個人の自由と幸福追求権は憲法第13条で保障されている基本的人権です。
憲法第24条でも結婚は両性の合意のみで成立することが保障されています。
不倫関係の恋愛であっても、会社が禁止することはできないのです。
したがって、社内恋愛のみを理由として社員に不利益処分をくだすことは法的に認められません。
社内恋愛を禁止する就業規則は訓示規定のような意味合いで有効なのです。
不利益処分が有効となる場合もある
労働契約法では、労働者に対する懲戒や解雇について、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当でない場合は権利濫用に当たり無効であると定めています。
これを反対解釈すると、客観的に合理的な理由があって社会通念上相当な場合は懲戒や解雇などの不利益処分も有効ということになります。
例えば、社内恋愛によって職場の風紀や秩序が乱れて生産性が下がって会社に損失が発生した場合は、不利益処分も内容次第では有効となります。
他にも、会社の社会的な評価が傷つけられたり、業務上の情報漏えいが発生したり、公私混同した人事が行われた場合なども不利益処分が有効となる場合があります。
不倫の当事者のどちらかが退職に追い込まれた場合も、会社にとっては損失となり、不利益処分が認められる可能性があります。
会社に損失が発生したかどうかは微妙な判断になることもありますが、自分の不倫が職場に与えた影響を客観的に振り返ってみることも必要でしょう。
正当な理由なく不利益処分をくだされた場合は弁護士への相談が有効
会社の経営者や上司は必ずしも法律に詳しいわけではないため、社内恋愛を禁止する就業規則に基づいて当然のように不利益処分をくだすことがよくあります。
しかし、不倫をしても職場の風紀や秩序をみだすことなく、会社に損失が発生していない場合は不利益処分に正当な理由はありません。
このような場合は、法的に不利益処分の取り消しを求めることができます。
ただ、不利益処分を当然のことと考えている経営陣との話し合いは難しい場合も多いです。
その場合は法的手続が必要となります。
法的手続としては不利益処分の取消請求訴訟に加えて解雇無効による社員としての地位を確認する仮処分などの申立てが必要になることもあります。
法的手続をとる場合は専門的な知識が必要なので、労働問題に詳しい弁護士に依頼した方がいいでしょう。
弁護士の探し方についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
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不倫したことを職場でばらされると、ばらした相手の責任を追及することだけでなく、難しい問題がいくつも同時に降りかかってくるものです。
自分や不倫相手の配偶者からの慰謝料請求や、会社からの懲戒処分などにも早急に対処する必要があります。
何から対処すればいいのか分からず、困ってしまう場合も多いでしょう。
そんなときは、早めに弁護士に相談して問題を整理し、一つひとつ適切に対応することをおすすめします。
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