金銭トラブル

美容医療にもクーリングオフを適用可 解約が容易に

2022年3月24日

女性の脚

エステティックやダイエットなど、やってみないと効果がわからない、あるいは、個人差があるサービスは解約トラブルが多くなるようです。

特に美容医療は外科的手術を含む施術があるので身体に与える影響も大きく、料金が高額になりがちです。

ところが、2017年に「特定商取引に関する法律」(特商法)が改正されてからは国民生活センター・消費者センターによせられた相談は前年の半分にまで減りました。

法改正によってどのような変化があったのか、どのような状況で適用されるのかを説明します。

美容医療の解約は何故トラブルになるのか

不安そうな女性

美容医療とは、「美容を目的とした医療行為」のことで、保険適用外の自由診療で行われることが多いサービスです。

美容医療が解約のトラブルに発展するのは、先にも述べたとおり、施術を受けてみないと効果がわからないこと、つまり料金を払っても目的を達成できるかどうかが不確実だからです。

そして、保険適用外ということで料金が高くなります。

目的達成が不確実なことと料金が高額であることの2点が美容医療トラブルの主な原因です。

事例:痛みがあるので中途解約したい

契約期間3年で全15回、約25万円のシミ取り契約をしました。
回数が多いほど効果があり割安になるとのことだったので、最大の15回にしました。
1回目の施術中に顔がピリピリして痛く、怖い感じになりました。
施術後は皮膚が赤くなっていたので解約の連絡をしましたが、「ドクターストップがかからない限り、契約はやめることができない」と言われました。
何とか解約できないでしょうか。

法改正により中途解約が容易になりました。解説はこちら▼

事例:クーリングオフができない

ネット広告で見たトライアル脱毛を受けてみようと脱毛クリニックに行きました。
しかし、クリニックでは別の約50万円もする「脱毛1年間コース」を勧められ、契約してしまいました。
でも、高額すぎるので思いなおして解約を申請したところ「クリニックの契約はクーリングオフできない」と言われました。

法改正によりクーリングオフができるようになりました。解説はこちら▼

改正特商法の対象となる美容医療とは

レーザー脱毛

法改正によってクーリングオフの適用など消費者に有利なシステムが導入されましたが、すべての美容医療が対象となるわけではありません。

美容医療が「特定継続的役務提供」に追加される

改正前の特商法では6種類の業種(エステティック、語学教室、学習塾、家庭教師、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)が「特定継続的役務提供」に指定されていました。

法改正によりこれに美容医療が追加され7業種となりました。

これら7業種は法整備される前は解約時に高額の違約金が必要だったり、中途解約を認められなかったりといったトラブルが多発していた業種です。

美容医療については、期間が1ヶ月を超え、料金が5万円を超えるものに限って、特商法の規制対象となります。

5万円以下のサービス、例えば「トライアル」や「お試しプラン」のみの提供などは、特商法の規制対象にはなりません。

サービスの方法が限定される

以下の5つのサービス・方法が特商法の規制対象になります。

法改正で可能となった美容医療への対処

医療従事者

  • 期間が1ヶ月を超え、料金が5万円を超えること
  • サービス・方法が上記の5種類に該当すること

この2つの要件を満たす美容医療については、次のような規制の対象となります。

クーリングオフ・中途解約・取り消しが可能に

クーリングオフ契約書を受け取った日から8日以内であれば無条件で解約できるという消費者保護のためのシステムです。

事業者は違約金など特別な条件をつけることはできません。

中途解約サービスを途中まで受けてしまった後でも解約できるということです。

すでに受けてしまったサービス分の料金は支払わなくてはなりませんが、違約金には上限が施されました。

1度でもサービスを受けたときは、違約金の上限は5万円または契約金額の20%に相当する金額のどちらか低い方の額になります。サービスを受ける前なら2万円です。

取り消しは不実告知や故意の事実不告知により誤認して契約した場合に契約を取り消せることです。

また、未成年が親の承諾を受けないで契約したときも取り消すことができます。

事業者に課せられる義務・禁止事項

契約書・概要書を交付する義務

特定継続的役務提供の要件に当てはまる場合は、事業者は契約する前に概要書を、契約時には契約書を交付することが義務づけられました。

施術内容、料金、期間、解約に関することなど法定事項を記載しなくてはなりません。

消費者は契約内容を書面で確認できるので、口頭のみの説明よりも把握しやすくなり、言った・言わない、憶えていないなどの問題が解消されます。

誇大広告、不実告知・故意の事実不告知などの禁止

迷惑な勧誘や大袈裟な広告で消費者を惑わすようなことをしてはいけないということです。

また、嘘の情報を知らせたり、大事な情報を知らせないで誤解させたまま契約することも禁止です。

他にも、クレジットカード契約の与信を通すために、前職の職種・収入を記載させるといった虚偽の申告をさせることも禁止されます。

美容医療の解約 まとめ

解約トラブルが多かった美容医療ですが、法改正によってトラブル件数は大幅に減少しました。法改正の主な効果は以下になります。

  • クーリングオフ、中途解約、取り消しができるようになった
  • 書面の交付が義務付けられた
  • 誇大広告、誇大広告、不実告知・故意の事実不告知などの禁止

法改正によって、契約したが高額なので解約したいという場合は8日以内なら無条件で解約でき(クーリングオフ)、施術を受けたけれど身体に合わないときは中途解約が容易になりました。

さらに事業者が義務違反、禁止事項に違反しているときは、契約を取り消せることも大きな変化です。

特定継続的役務提供に該当しない美容医療は専門家に相談を

契約した美容医療が上記の「特定継続的薬務提供」に該当しない場合でも、民法上の瑕疵担保責任にもとづく損害賠償を請求できることがあります。

例えば、施術によって身体に支障をきたしたような場合、事業者が提供したサービス(役務)に欠陥があったことが証明されれば、責任を追及できます。

他にも消費者契約法の対象となる場合は契約を取り消したり、一部を無効にすることも可能です。

例えば、契約書に「事業者の損害賠償責任を免除する」といった条項や、消費者の利益を不当に害する条項がある場合は無効にできます。

いずれも、事実関係を立証したり法的手続きが必要になりますので、専門家である弁護士に依頼するのがよいでしょう。

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