相続・贈与

相続の弁護士費用は高い?いくらかかるか相場を解説

弁護士に相談する親子

親族が亡くなり相続が発生した場合に、身内の話し合いで済ませようとして、かえってトラブルになるケースは少なくありません。

というのも、相続財産が現金で割り切れるケースはほとんどなく、不動産や株などの評価を要するために、単純に案分できないケースが大半だからです。

また、亡くなった人が、生前に相続人の1人を援助していたり、逆に相続人の1人が亡くなった人の世話をしていた等の事情も絡むと、さらに複雑化します。

相続問題を弁護士に相談することで、トラブルを回避し、穏便で公平な相続が可能になります。

一方で、「弁護士費用が心配」「弁護士費用の相場が知りたい」という方も多いのではないでしょうか。

そこで、相続問題を弁護士に相談・依頼した場合の弁護士費用や、弁護士費用の相場についてご説明します。

相続問題の弁護士費用の相場とは

お金と貯金箱人が亡くなると「相続」が発生します。

亡くなった人のことを「被相続人」、被相続人の財産を受け継ぐ人のことを「相続人」といい、配偶者がいる場合、子どもがいる場合、親が存命の場合など、ケースによって、相続人の範囲と相続分が法律で決められています。

しかし、法律の決まり通りにいかないのが相続です。

相続問題を弁護士に依頼した場合、依頼する内容・法律事務所や弁護士ごとの基準によって弁護士費用の相場が変わります。

現在、弁護士費用(報酬)は自由化されているので、弁護士や法律事務所が自由に決めることができます。

とはいえ、自由化前に日本弁護士連合会が定めていた基準(旧報酬規程)が一定の目安になっているのが実情です。

相続の弁護士費用の内訳

弁護士費用は、どのような弁護活動をするかによって基準が分かれるのが通常です。

相続問題の場合は、次のような内訳になることが多いのでご参考ください。

法律相談料

弁護士に依頼する前に、法律相談することに対する費用です。

30分5,000円+税、1時間10,000円+税が目安です。初回無料というところも多いです。

着手金

弁護士に依頼するときに発生する費用です。

事件の解決の有無にかかわらず発生し、基本的に返金はされません。

着手金は、事件の経済的利益(依頼者が相続する遺産の時価相当額)を基準にする場合、旧報酬基準では以下のように定められており、現在もこの金額が一定の目安になっています。

経済的利益の額

着手金

300万円以下 経済的利益の8%(最低額10万円)
300万円を超え3000万円以下 5+9万円
3000万円を超え3億円以下 3+69万円
3億円以上 2+369万円

経済的利益によらず、一定金額が決まっている場合は、20万円~100万円程度が着手金の目安といえるでしょう。

報酬金

事件が解決したときに発生する費用です。

経済的利益の額に応じて、以下のような基準になります。

経済的利益の額

報酬金

300万円以下 経済的利益の16
300万円を超え3000万円以下 10+18万円
3000万円を超え3億円以下 6+138万円
3億円以上 4+738万円

着手金と異なり、相続問題の報酬金は上記のように経済的利益に応じて変動するのが通常です。

そのほかの報酬の決め方としては、「遺言書を作成すると30万円+税」というように、行為の対価として一定額が決められている場合もあります。

実費、日当

実費は、弁護士が裁判所などに出向く際にかかった交通費や郵便代のことです。

日当は、弁護士が出張した場合に生じる費用を言います。

ポイント

このほかにも、相続人が1人増えるごとに何万円、というように手数料が別途かかる場合もあります。

相続問題は複雑なので、弁護士費用もいつの間にか高くなることもあります。

まずは、ご自身の感覚でどのくらい遺産があり、ご自身がどのくらいもらえそうなのかの目論見を立て、その場合の弁護士費用がどのくらいになるのか、法律相談で見積もりを出してもらうことをお勧めします。

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相続問題の「経済的利益」とは?

相続問題で、着手金や報酬金の基準になるのが「経済的利益」です。

経済的利益とは、一般的に、交渉、調停、審判、裁判などで、最終的に依頼者が得た利益の合計金額のことをいいます。
不動産等の場合は、金銭に換算して計算されます。

相続問題の場合は、依頼者が相続する遺産の時価相当額になります。

ただし、「分割の対象となる財産の範囲及び相続について争いのない部分」は、相続分の時価相当額の1/3の金額になります。

例えば、父親が亡くなって息子2人が相続し、兄の方が1000万の遺産をめぐって弁護士に相談したとします。

その場合、法定相続分は1/2になるので、500万円が原則として着手金・報酬金を算定する際の金額になります。

ただ、弟が相続分や財産の範囲は争わないけれど、感情的に話し合いを拒否している場合、算定金額は500万円の1/3である166万円になります。

弁護士に依頼を検討すべき相続問題

手を取り合う親子

相続でトラブルになりやすく、弁護士に相談・依頼を検討した方がいいのは、特に次の5つの場面です。

遺産分割

遺産分割とは、相続人間で、被相続人の財産を分け合う手続きです。

被相続人の財産を調べ、誰が相続人になるかを調査し、誰がどのくらい相続するかを話し合いで決めます。

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相続人が、法律で決められた最低限の相続分すらもらえなかった場合に、他の相続人に対して、遺産を公平に分配するように請求する手続きのことです。

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特定の相続人が、被相続人の生前に受けた利益のことを「特別受益」といい、被相続人の財産作りや維持に貢献した相続人に相続財産をプラスすることを「寄与分」といいます。

特定受益と寄与分は、遺産分割の際にもめる典型例です。

遺言書の執行

遺言は、作成する場合と執行する場合があります。

遺言を作成する際は、弁護士に頼むことで、死後のトラブルを防ぐ遺言書を作成することができます。

被相続人が遺言書を残していた場合は、弁護士に執行を依頼することで、遺産分配など遺言内容を適正に実現することができます。

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相続の弁護士費用は誰が払うか

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相続問題を弁護士に依頼する場合、弁護士と依頼者の間で「相続問題の弁護活動を任せる」という内容の契約を結びます。

そのため、相続の弁護士費用は、弁護士に依頼した人が支払うのが原則です。

特に、相続では、依頼者と他の相続人がもめていることが多いので、弁護士は依頼者のために他の相続人と交渉し、他の依頼者とは利益が対立する関係になります。

しかし、相続人全員が1人の弁護士に依頼して、全員が納得できる遺産分割方法を決めてもらうなど、丸く収めることを依頼するケースもあります。

そのような場合の弁護士費用の負担割合に特に決まりはなく、相続人同士で決めることになります。

弁護士費用を確定申告で経費にできるか

相続問題で弁護士を依頼した場合、かかった弁護士費用は経費になりません。

なぜなら、相続人間の紛争を解決するための費用は「家事費」として見られがちなので、通常事業に必要な経費として認められるのは難しいからです。

また、相続財産から控除することもできません。

同様に、調停や裁判を利用した場合などの係争費用や、遺産の預貯金の名義書き換えなどでかかった遺言書の執行費用も、相続財産から支払われる家事費として扱われます。

そのため、各種所得の計算上経費にあたらず、確定申告で経費に算入するのは難しいといえるでしょう。

ただし、相続した不動産について、賃借人の契約違反で賃貸借契約解除のために弁護士を依頼したような場合は、不動産所得の金額を計算する際の経費に算入することが可能です。

高い弁護士費用を安く抑えたいなら

古いノートと時計とペン

上記のように、相続問題にかかる弁護士費用は高額になる場合があります。

高い弁護士費用をできるだけ安く抑えたい場合は、ポイントが3つあります。

1つは、できるだけ自分で調査を進めることです。

被相続人の遺産がどのくらいあるのか、法定相続人は何人いるのか、わかる範囲で把握しておきましょう。

相続問題の基礎が固まれば、弁護士費用の大まかな見積もりを出すことができるからです。

2つ目は、法律相談を利用し、見積もりを依頼することです。

弁護士事務所によって、法律相談も初回無料のところから2万円程度かかるところまで様々ですし、依頼した場合の着手金や報酬金の基準も異なります。

法律相談時に明確な見積もりを出してくれる事務所が安心です。

3つ目は、ホームページなどを調べて、専門性の高い事務所・弁護士を選ぶことです。

相続問題は複雑化しがちなうえに、納税上の期限もあります。

相続問題の取り扱いの多い弁護士の方が、スムーズに交渉や手続きが進みやすく、最終的に費用を安く抑えられることが多いです。

相続問題の弁護士費用が心配なら

相続は、誰にも起こりうる問題です。

お金と感情が絡むだけに、親族で解決しようとすると人間関係を悪化させるリスクもあります。

弁護士費用がご心配な場合は、法律相談を利用して見積りを依頼し、信頼できる弁護士を見つけるようにしましょう。

相続問題は、手続きによっては期限があるものもあるので、早急かつ穏便に手続きを進めることが大切です。

まずはお気軽に弁護士に相談してください。

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