モラハラ(モラルハラスメント)とは精神的な暴力でDV(ドメスティックバイオレンス)の一種です。
言葉や態度によって相手に精神的な痛みを与えます。
そう思っている女性のために、モラハラ離婚について解説します。
モラハラ離婚を切り出す前に
結論からいうと、モラハラ離婚ではほとんどのケースで母親が親権を獲得できますし、慰謝料も請求できます。
しかし、モラハラ夫との離婚を成立させるためには、事前にやっておくべきことがあります。
一つ一つ説明していきます。
ここではモラハラ離婚に特化して説明しますが、その他の離婚準備については下記の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。
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自分を責めるのをやめる
モラハラ夫の妻は「自分が悪い」「夫にも優しいところがある」などと自分の責任を感じている人が多いようです。
でも、モラハラはDV と同様に暴力です。
ずるずると時間が経ってしまうと、うつ病になってしまうかもしれません。
うつ病になると気力が萎えてしまうので、別居も離婚も難しくなってしまいます。
まずは、モラハラであると明確に認識しましょう。
モラハラの具体的な証拠を集める
モラハラの実態がわかるように、証拠を保存しておきます。
モラハラは傷や身体的な痕跡が残らないので、立証するのが難しいのです。
証拠がなければ離婚することも、慰謝料をとることも無理です。
できる限り証拠を集めましょう。
夫の発言を録音しておく、LINEのやりとりを保存しておく、継続的に日記をつけるなどが役に立ちます。
長期的に虐待を受けていて、傷ついていることがわかるように、小さな証拠でもいいので、見落とさずに集めましょう。
大丈夫と思っても神経内科を受診する
一度神経内科を受診してみるのもおすすめです。
疾患がなければ良いし、うつ病などの疾患があった場合は、早期治療にかかれます。
また、モラハラ夫と別居・離婚をする場合には医師の診断が有利に働きます。
別居して冷静さをとりもどす
あまりにひどいときは、別居して冷却期間を置くのもよいでしょう。
でも、「別居したい」と切り出しても、激昂して話にならないかもしれません。
モラハラ夫は自分の非を認めませんから、別居する理由がわからないのです。
第三者を交えて話し合うか、実家など人のいるところに同居させてもらうのがよいでしょう。
ただし、別居するのは充分に証拠を固めた後にしましょう。
モラハラなのに子どもがいるから離婚できない?
毎日、暴言を浴びせられ心身共にまいっているのに、「子どもがいるから離婚できない」と思っている女性が多くいます。
「自分さえ我慢すれば、みんなうまくいく」と耐えてしまうのです。
主に以下の3つの理由がありますが、どれも離婚できない理由にはなりません。
①生活・教育にお金がかかる?
自分一人の収入ではきちんとした教育を受けさせられないのではないか。
母子家庭では生活費を賄うのがやっとではないか。
②夫婦そろっていることが子どもの幸せ?
子どもにとって何が幸せかというと、両親そろっていることが一番幸せなのではないだろうか。
就職や結婚でも片親だと不利になるのではないか。
③夫は優秀なので、子どもにとっても良い環境?
夫の家系は代々優秀で、子どもも夫とともに住むほうが優秀になるのではないか。
このように思っていませんか?
①については、養育費をとることで調整可能です。
②、③のような考え方はそれ自体は正しいかもしれませんが、実はモラハラ夫と同居している方が子どもに対して悪い影響をあたえやすいのです。
モラハラが子どもにあたえる悪影響
毎日、怒られ、いじめられる母親をみて育つと子どもはどうなるでしょう。
母親をバカにして、モラハラを行っている父親を偉いと思ってしまわないでしょうか。
訂正してくれる人が誰もいない環境で、正しい認識ができるとは思えません。
モラハラ環境で育った子どもはモラハラになる
子どもが最初に人と接するのは家庭です。
両親が話すのをみてコミュニケーションを学ぶのです。
母親をバカにする父親をみていると、それが当たり前のコミュニケーションなのだと思うようになってしまいます。
モラハラ家庭で育った子どもは高い確率でモラハラを行うようになります。
子どもが男尊女卑を当たり前と思うようになる
父親が母親を見下して人格を否定するような発言をしていると、子どもは男が偉くて女は一人では生きていけない弱い存在だと思うようになります。
昭和の日本ではどこの家庭でも男が威張り、男尊女卑が当たり前でした。
現在の中高年男性に男尊女卑的な考えの人が多いのもそのためです。
モラハラ離婚で慰謝料・親権も確保する
最後の手段として、離婚について考えましょう。
時間や費用がかからないので、まずは夫婦で話し合ってみましょう。
その際、証拠などを提示して冷静に話すことが大事です。
しかし、モラハラ夫が離婚を受け入れることは、まずありません。
もし、冷静に話し合えないようであれば、調停・裁判に持ち込むことになります。
その場合は早めに弁護士に相談し、夫と一対一で向き合うのは避けましょう。
弁護士に依頼するメリット
今日ではモラハラについての認識がひろまりつつあるとはいえ、調停員や裁判官はモラハラの辛さをなかなか理解してくれないかもしれません。
そのためにも、モラハラについて理解があり、離婚問題を得意とする弁護士を選ぶのが重要になってきます。
弁護士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- モラハラのどのような証拠をそろえればいいかアドバイスしてくれる
- 調停員や裁判官に伝わりやすいようにモラハラの実態を説明してくれる
- モラハラ夫の勝手な言い分に対して、論理的に反論してくれる
- モラハラ夫と直接話さなくて済む
モラハラ離婚の場合は特に弁護士の助けが必要なので、早い段階で弁護士に依頼しましょう。
モラハラは民法の離婚事由にあたる
夫婦双方が同意すれば簡単に離婚できるのですが、一方が離婚に応じない場合にも相当の理由があれば離婚できると民法で定められています。
ひどいモラハラは民法の定める「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するので、モラハラ夫が拒否していても離婚できます。
親権は母親に帰属する
未成熟の子がいる離婚では90%が母親の親権を認めています。
親権は「子どもの幸せ」を第一に考えて判断されるので、育児放棄などをしていないかぎり母親が有利です。
ただし、子どもが自分で判断できる年齢の場合、モラハラ夫は子どもを洗脳してしまう可能性が高いので要注意です。
慰謝料を請求できる
モラハラのせいで精神的に損害を受けた場合は慰謝料請求もできます。
精神的な損害は人によってまちまちなので、証拠固めはとても重要です。
モラハラの慰謝料は50~200万円が相場といわれています。
財産分与・養育費を請求できる
離婚による財産分与の請求も当然できます。子どもの親権を得た場合は養育費も請求できます。
「子どもを引き取るなら、家のローンはおまえが払え」などと勝手な要求をしてきても、応じる必要はまったくありません。
別居の生活費を請求できる
離婚が成立するまでの別居中の生活費を婚姻費用として請求できます。
モラハラ夫が「勝手にでていったんだから、何も支払わないぞ」といっているなら、給料を差し押さえることも可能です。
有利な離婚を決定づけるのはモラハラの証拠!
モラハラの辛さは人には伝わりにくいものです。
何を言われると傷つくかは人によって異なるからです。
また、単なる夫婦喧嘩との違いも言葉で説明するのは難しいでしょう。
でも、具体的な音声・映像が残っていればずっとわかりやすくなります。
どのくらいの頻度かもしっかり記録しておくと証拠としての信頼度が上がります。
継続的にひどいモラハラを受けていることが証明されれば、夫の同意がなくても離婚できます。
さらに、高い確率で慰謝料が請求でき、親権も獲得できるでしょう。
この記事をよんでくださった方が、一日でも早くモラハラから解放されることを願っています。
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