弁護士選び

弁護士に依頼するといくらかかるの?費用の相場と内訳を確認

2019年6月11日

お金を持っている弁護士

ある日突然、何かの事件に巻き込まれたり、大切な家族が逮捕されてしまった場合、まず考えなければならないのが弁護士に相談して対応してもらうことです。

すぐに弁護士に活動してもらえれば、逮捕されたとしても早期に釈放されたり、不起訴を勝ち取ることも不可能ではありません。

逆に自分たちだけで解決しようとすれば、たとえ軽い罪でも長期間身柄を拘束され、最終的に起訴されて刑事裁判を受けなければならないケースも出てきます。
どんな事件であれ、トラブルに巻き込まれたらすぐに弁護士に相談するのがベストな選択となります。

ですが、いざ弁護士に相談しようと思っても、具体的にいくらぐらいかかるのかを知らない人は多く、そのため費用面が不安で相談しづらいこともあるでしょう。

弁護士費用にも相場がありますから、相談する前に大体いくらぐらいかかるかを知っておくことで、安心して相談できるようになります。

そこで今回は、実際に弁護士に相談する際にかかる費用の相場と料金体系について解説します。実際に弁護士に依頼する際の参考にしてください。

弁護士にかかる費用の種類と相場

電卓を指差す弁護士弁護士にトラブルの相談をしたり、事件の弁護を依頼する場合に支払うことになる費用の種類としては、主に以下のものがあります。それぞれ大体の相場を押えておきましょう。

ただし、基本的に弁護士にかかる費用は、それぞれの弁護士が独自に基準を決められるので、標準価格といったものはありません。

依頼する弁護士や弁護士事務所によって具体的な費用は変わってきますから、以下は業界全体の大体の相場と考えてください。

弁護士費用の相場表

相談料

弁護士は専門性の高い職業であるため、相談するだけでも費用がかかるのが一般的です。

相談料は具体的な法律問題に関して専門的な助言を受けるための費用で、巻き込まれてしまった事件の法的な解決方法について、弁護士に直接もしくは電話やメールなどを使って相談し、法的なアドバイスを受ける際に発生します。

多くの人が思い浮かべる弁護士費用といえば、この相談料を指します。

基本的に相談にかかった時間ごとに料金が発生するようになっており、時間単価は大体30分で5,000円程度ですが、特に専門性の高い相談などは数万円かかるケースもあります。

弁護士を利用したことのない人は「相談だけでこんなにかかるのか」と思うかもしれませんが、30分程度の相談でトラブルを適切に解決できると考えれば、それほど割高というわけではないでしょう。

相談なしに自分で解決しようとすれば、事態を悪化させて結果的に高くついてしまう可能性もあります。

ただ、弁護士事務所のなかには、初回の相談に限り無料でやってくれるところも増えていますから、何とか費用を抑えてトラブルを解決したいという場合は、インターネットなどで初回相談無料の弁護士事務所を探してみてください。

弁護士の無料相談については、以下の記事で詳しく説明していますから、こちらを参考にしてください。

また、相談者の収入が一定額以下の場合など、諸々の条件に当てはまっていれば、法テラスでの無料相談を受けることも可能です。

弁護士への支払いが不安な人は、法テラスを利用するのも有効です。

法テラスとは

国が設立した国民の法的トラブルを解決するための総合案内所。一定の条件で無料の法律相談などができる。

繰り返しになりますが、具体的な相談費用は弁護士や弁護士事務所ごとに変わってきますから、相談する前に相手の弁護士の相談料については最低限チェックしておきましょう。

着手金

着手金とは、弁護士に事件の弁護を依頼する場合に発生する費用です。

いわば弁護活動の基本料金あるいは手付金ともいえる費用で、事件の結果にかかわらず原則として返金されません。

着手金の相場を知るのに便利なのが、以前に日弁連(日本弁護士連合会)が公表していた基準(※1)で、これによると着手金の相場は以下のようになっています。

  • 事件の経済的利益が300万円以下の場合:経済的利益の8%
  • 300万円超3,000万円以下の場合:経済的利益の5%+9万円
  • 3,000万円超3億円以下の場合:経済的利益の3%+69万円
  • 3億円超の場合:経済的利益の2%+369万円

「経済的利益」というのは、慰謝料など、弁護士に依頼することによって依頼者が得ようとしている具体的な金額のことです。

たとえば、事件の被害者として加害者側に400万円の慰謝料請求をする場合、上の基準に当てはめてみると、400万円の5%の20万円に9万円を加えた29万円が具体的な着手金となります。着手金の説明図

これはあくまでも、かつて日弁連が設定していた基準であり、現在は弁護士事務所ごとに独自に着手金の体系を設定しているのが普通ですが、今でもこれを基準としている弁護士も多いようです。

いずれにしても、依頼者が被害者として加害者側を訴える場合の着手金は、主に相手に請求する金額を基準に計算することになります。

ただし、着手金を算出するうえでややこしいのは、逆に相手側から訴えられて慰謝料の請求などを受けた場合です。

たとえば、事件の加害者として被害者側から1,000万円の慰謝料を請求されたとします。

弁護士の協力により、最終的に600万円で相手側と和解できたとすると、本来は1,000万円支払わなければならなかったところ、600万円で済んだことになり、こちらの経済的利益は1,000万円-600万円=400万円ということになります。

しかし、弁護士に依頼する段階では、400万円が依頼者の具体的な経済的利益になるということはわかりません。

そのため、弁護士によっては、はじめに請求された1,000万円を経済的利益とみなすこともあれば、依頼の段階で「依頼者の最終的な経済的利益は○○万円ぐらいになるだろう」と大体の金額を想定し、そこから着手金の額を導き出すケースもあるのです。

依頼者が加害者側だった場合の着手金説明図

このように、こちらが加害者として訴えられている場合の着手金の算出方法については、弁護士によって考え方が違っているので、事前にどういう基準で経済的利益を考えているのかを確認しておきましょう。

さらに、弁護士によっては、事件の性質によって相場の30%程度の範囲で着手金が増減するケースもあるほか、どんな事件でも最低額として10万円程度を設定しているところもあるようです。

そのため、弁護士に事件を依頼する場合は最低でも10万円以上はかかると考えておき、実際に依頼する際には、その弁護士や法律事務所からしっかりと費用についての説明を受けるようにしてください。

報酬金

報酬金はトラブルや事件が解決した際に弁護士に支払う費用です。

これも着手金と同じように経済的利益を基本に算出されることになりますが、いわゆる成功報酬的な意味合いが強く、相手から支払われた金額(回収できた金額)を基準に計算します。

上で紹介した日弁連の旧基準では、弁護士に支払う報酬金は以下のようになっています。

  • 事件の経済的利益が300万円以下の場合:経済的利益の16%
  • 300万円超3000万円以下の場合:経済的利益の10%+18万円
  • 3,000万円超3億円以下の場合:経済的利益の6%+138 万円
  • 3億円を超える場合:経済的利益の4%+738 万円

このように、依頼者が得た経済的利益が大きければ大きいほど、その額は高額になります。

たとえば、事件の被害者として加害者側に1,000万円の慰謝料請求を行い、訴訟の結果、900万円を支払ってもらえることになったとします。

報酬金を計算する場合、基本的にこの900万円を依頼者が実際に得た経済的利益として、これを基準に報酬金が計算されることになります。

上の基準でいくと、900万円の10%の90万円に18万円を加えた108万円が弁護士に支払う報酬金の目安となります。

報酬金の説明図

逆に、相手から訴えられて1,000万円の慰謝料請求をされていたところ、弁護士の協力によって800万円で和解できたとします。

すると、1,000万円-800万円=200万円が依頼者の経済的利益となるので、これを基準に報酬金を計算すればよいということになります。

上の基準に当てはめると、200万円の16%ですから、大体32万円ぐらいが報酬金の目安となるでしょう。

なお、報酬金はあくまでも成功報酬ですから、訴訟などの結果、経済的利益がほとんどなかった場合は報酬金に関しては支払う必要がないケースもあります。

日当

日当は、訴訟や相手方との示談交渉などにより、弁護士が事務所を離れて出張した場合に発生する費用です。

つまり、弁護士の時間を拘束することに対する費用で、一日分ないし半日分といった時間単位で手当てを支払うのが一般的です。

たとえば、裁判の日に弁護士が事務所から裁判所まで移動する時間と、裁判で弁護活動をしている間の時間などがこれに該当します。

大体の相場としては、1時間あたり5,000円~3万円程度ですが、特に有名な弁護士の場合はもっと高額になることもあります。

日当に関しては着手金に含めて請求する弁護士も多い一方で、着手金や報酬金とは別に発生した時点で請求するケースもあるなど、弁護士や法律事務所によって扱いが違ってきます。

このあたりも事前にしっかりと担当してもらう弁護士に確認しておきましょう。

実費

事件やトラブルを解決するための行動や手続きに伴って発生した費用全般です。

具体的には裁判所までの交通費宿泊費訴状に貼る印紙代郵便切手代などが該当します。

さらに細かいところでいえば、訴訟のために必要となった証拠資料の印刷に多くのコピー代がかかった場合、それを実費として請求するケースもあります。

これらもあらかじめ着手金に含めている弁護士もいれば、別途請求してくる場合もあります。

各種手数料

弁護士がトラブルの解決のために必要な資料を作成した場合や、遺言手続きや債務整理などの事務作業を行った場合の費用となります。

大体の相場としては、一書類につき2~3万円程度となっています。

事件や事故に巻き込まれた!離婚したい!代表的事件における弁護士費用の相場と裁判費用

大まかな弁護士費用の相場と料金体系について説明したところで、よくある事件として交通事故と離婚問題にかかる弁護士費用の相場を事例として紹介しておきます。

交通事故の場合

交通事故と示談金交通事故に巻き込まれて弁護士に依頼する場合、まず相談料として30分で5,000円程度かかりますが、すでに説明したように初回に限り無料相談で対応してくれるところもあります。

そして、トラブル解決のために相手方と示談を含めた交渉をすることになりますが、交通事故の場合は着手金はかからず成功報酬金のみ請求する弁護士が多いようです。

着手金がかかる場合でも、大体10~20万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

示談とは

示談とは、裁判をせずに事件の当事者同士の話し合いで解決することをいい、特に交通事故では相手方と示談で決着がつくことが多いです。

示談交渉を弁護士に任せることで、当事者同士で話し合うよりも双方が納得する結論に至る可能性が高くなるので、多くの事件で弁護士が代理人として交渉にあたることになります。

示談について詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

報酬の具体的な金額に関しては、経済的利益の額を上で紹介した基準などに当てはめて算出してみます。

たとえば200万円を示談金として相手方に支払ってもらうことで解決した場合、その16%で32万円程度ということになるでしょう。
当然、このあたりは各弁護士事務所の料金設定によって変わってきます。

なお、交通事故の場合、多くの保険に「弁護士特約」が含まれています(※2)。

これは交通事故に巻き込まれた場合にかかる弁護士費用の一部を保険で補償してくれるもので、具体的には、弁護士費用300万円までは加入者の負担がゼロになります。

そして多くの場合、交通事故で弁護士費用が300万円を超えることはありませんから、事実上、自己負担ゼロで弁護士に依頼できることになります。

一方、弁護士特約を受けられない場合には、自費で弁護士に依頼する必要があり、これまで説明してきたような料金体系で弁護士費用を負担する必要があります。

この例で弁護士特約を利用できない場合を想定してみると、まず初回の相談に1時間程度かかるとして相談料金に1万円、着手金はゼロとすると、依頼者が得た経済的利益200万円の16%で32万円の合計33万円程度になるでしょう。

事故の場合の料金表

当然、初回相談が無料の場合や、着手金を設定している弁護士に依頼する場合は、この金額は上下しますので、あくまでも大体の相場と考えてください。

離婚トラブルの場合

不仲の夫婦夫婦の離婚問題の場合も、まずは弁護士に相談するところからはじまります。
相談料はすでに説明したように、大体30分5,000円程度です。

その後、弁護士に解決を依頼するとなれば、まず着手金を払うことになりますが、離婚トラブルの場合は大体20~30万円程度が相場となっています。

複雑な問題の場合や、有名な弁護士事務所の場合は50万円近くの着手金となるケースもあるようです。

離婚協議では慰謝料や財産分与、そして子供がいる場合は親権をどちらにするかを相手方と話し合いますが、話し合いがまとまらない場合は裁判で決着をつけることになります。

離婚事件にかかる大体の弁護士報酬としては30万円程度が相場となっていますが、依頼者が望む通りに離婚を成立させられた場合や、親権を獲得できた場合などには追加報酬として20~30万円程度かかることもあるようです。

たとえば、弁護士の協力で離婚協議を行い、結果としてこちらに有利に離婚を成立させられた場合を考えてみます。

まず初回の相談を1時間として相談料が1万円、着手金に30万円、さらに弁護士報酬が30万円とすると、合計61万円程度かかると想定できます。

さらに親権を得られたなど、こちらに有利な結果に終わったことによる追加報酬が20万円程度かかるとすれば、最終的には80万円ぐらいの費用になることがわかります。

この例に関しても、着手金の具体的な金額や報酬額に関しては弁護士によって差がありますから、あくまでも一般的な相場として考えてください。

ただ、離婚事件の場合、どんなに高くても100万円を超えるということは稀なようです。

特に相手方と協議してすぐ離婚が成立した場合、全体でも20~30万円程度で済むケースもあります。

いずれにしても、初回相談のときに質問すれば、大体いくらぐらいかかるのかを教えてくれますから、まずは気軽に弁護士に相談してみましょう。

離婚トラブルの場合の料金

裁判にかかる弁護士費用

法廷イメージ最後に、事件や事故に巻き込まれた結果、最終的に裁判になった場合にかかる弁護士費用について触れておきます。

裁判の結果、訴訟にかかった費用を敗訴した側が負担するという趣旨の判決が出ることがあります。

そのため、多くの人は弁護士費用もこれに含まれると考えがちですが、実際は裁判で弁護士にかかった費用は、原告側・被告側の双方がそれぞれ自分で支払う必要があります。

具体的には、すでに説明したように、弁護士の裁判中の日当をはじめ、弁護士が裁判所まで移動するのにかかった交通費や資料代金などが実費としてかかります。

そして、一般的に訴訟費用というのは、裁判所が判決を出すのにかかった手数料や書類の配達費、訴状の印紙代などのことをいいます。

たとえば1,000万円の損害賠償を求める裁判を起こした場合、6万円程度の収入印紙を購入して訴状に貼る必要があり、原告側と被告側に裁判に関する書類を送るために6,000円程度の郵送料がかかります。

こういった訴訟費用は、原則として裁判に負けた側が支払わなければなりません。

しかし、弁護士費用に関しては訴訟費用には含まれないので、敗訴した側に請求するわけにはいかず、自分で支払う必要があります。その点は注意してください。

裁判にかかる弁護士の具体的な日当や資料代などに関しては、それぞれの弁護士で違ってきますので、相談する際に質問して、大体いくらぐらいかかるのかを確認しておきましょう。

弁護士費用の相場を知って慎重に契約しよう

弁護士にかかる費用の相場や具体的な料金体系について解説しました。

多くの人にとって弁護士に相談する機会はそれほど多くはないですが、もし何かの事件に巻き込まれてしまったら、すぐに弁護士に相談して事件の解決を図るのがベストな選択となります。

ただ、弁護士費用は依頼する弁護士や法律事務所によって違いがあるため、大体の相場を理解しておき、割高になっていないかどうか確認することも重要です。

特に弁護士によって違いの出てくる経済的利益の考え方や計算方法、そして費用の支払い時期などについても不明点は積極的に弁護士に質問するようにしてください。

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