ハラスメント

職場でセクハラ被害!弁護士に相談する前に知るべき基礎知識

2019年6月12日

セクハラ 職場

職場や取引先との面談の場で、突然肩や腰などを触られたり、しつこくデートの誘いを受けたりといったセクハラ行為に悩まされる女性が後を絶ちません。

とても嫌な気分になりながらも、社員という立場上、はっきりと拒絶することもできずに悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

また、最近では女性だけでなく男性もセクハラ被害を受けるケースが増えており、性別を問わず、セクハラが大きな社会問題となっています。

そして、被害を訴えることで問題が解決すればまだよいのですが、セクハラを訴えたら解雇されたり、不本意な異動をさせられた、役職を降格させられたなど、とても理不尽な扱いを受けて精神的に追い詰められてしまうケースも決して少なくありません。

そういうときは、セクハラをはじめとした労働問題に強い弁護士に相談することで、スムーズに問題を解決できる可能性が高まります。

今回は、職場などでセクハラ被害を受けた場合にすべきことと、セクハラを弁護士に相談するメリットについて解説します。

セクハラの実態と弁護士に相談するメリット

セクハラの実態

まずセクハラの定義と実態について理解するとともに、どういう行為がセクハラにあたるのかを知っておきましょう。

「もしかしてセクハラかもしれない」と思っていても、勘違いで訴えることを恐れて我慢してしまう人は少なくありません。

特に、実際に職場で「セクハラではないか?」と思うような行為をされた経験のある人は、その行為がセクハラにあたるのかどうか、しっかりと確認してください。

セクハラの定義

セクハラ(セクシャル・ハラスメント)とは、相手が望んでおらず、その行為をされることによって不快な思いをする性的な言動のすべてを指します。

冒頭で例に出したような、身体を不必要に触るといった直接的な行為が当然セクハラとなるのは、多くの人が納得するところでしょう。

さらに、法務省から委託を受けている財団法人「人権教育啓発推進センター」が発行しているセクシャル・ハラスメントに関する資料によると、たとえば女性に対して「スリーサイズはいくつ?」といったような明らかに性的な質問はもちろん、「恋人はいるの?」といった質問であっても、それが相手にとって不快ならばセクハラとなる可能性があります(※1)。

また、女性の年齢に言及する行為や「子供はいつ生まれるの?」と声をかけた場合にも、相手にとってそれが不快感をもつものであれば、後にセクハラとして問題になるケースは少なくありません。

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最近では、男性に対しても交際や結婚について言及したり、あるいは容姿をあげつらう発言などはセクハラと認定される事案も増えてきています。

とはいうものの、こういった性的な言動は個人によって感じ方・受け止め方が変わってくるため、ある人にとっては非常に不快なものであっても、別の人にとっては気にするほどでもないというケースは多くあります。

しかし、繰り返しになりますが、セクハラは「相手が望んでおらず、それによって不快な思いをする性的な言動のすべて」が当てはまってきます。

そのため、相手がどう思うかを考えずに安易な発言をしてしまう側に責任があり、度が過ぎる発言は、たとえ発言者に性的な意図がなかったとしてもセクハラとして問題になるのです。

過度なセクハラは刑事事件となるケースもある

刑事事件に発展そして、相手に不必要に触れるなど直接的な行動に出ている場合、過度なセクハラとして刑事事件にまで至るケースも増えています。

たとえば、執拗に相手の身体に触れる行為は、強制わいせつ罪や迷惑防止条例違反として罰則の対象となる可能性が出てきます。

これらの犯罪について、詳しくは以下の記事で解説していますので、ぜひこちらを参考にしてください。

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また、直接身体に触れるような行為ではなくても、言葉によるセクハラの場合は、それが不特定多数の前でされた場合は名誉毀損罪や侮辱罪が成立する可能性もあります。

名誉毀損罪:相手の社会的な評価を下げるような言動に対する罪。身体的な特徴をあげつらう行為でも成立する可能性がある。

侮辱罪:不特定多数が見たり聞いたりできる場で、相手を直接的に侮辱した場合に成立する。嫌がらせで相手の身体的特徴を言う行為なども侮辱罪となる可能性が高い。

このように、たとえ身体に触れるなどの行為でなかったとしても、セクハラとみなされる発言は名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪となる可能性があります。

さらに執拗な発言や嫌がらせによってPTSDなどを発症した場合などは、傷害罪として訴えることも可能になってきます。

なお、名誉毀損罪や侮辱罪について、詳しくは以下の記事で詳しく説明していますので、ぜひこちらを参考にしてください。

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セクハラ被害の問題点

しかし、このように「どういった行為がセクハラとなるのか?」について、社会的に理解が進みつつあるにもかかわらず、実際はセクハラ被害を受けていても、それを言い出せずに我慢を強いられている人がたくさんいるのが現状です。

たとえば「セクハラ被害を訴えたら職場に居づらくなってしまうのでは?」と感じて、日常的にされているセクハラ被害を我慢し続けている人は少なくありません。

また、セクハラに加えて「(セクハラを)訴えたら解雇する」とか「降格させる」といった恫喝行為をしてくる加害者も多いのが現状で、相手からの報復を恐れてセクハラ被害を訴えられない場合もあります。

つまり、セクハラと同時にパワハラやモラハラをされてしまうケースです。

パワハラ:パワーハラスメントの略。職場などで立場が上の者が下の者に対して行う嫌がらせや精神的・身体的苦痛を与える行為のこと。

モラハラ:モラルハラスメントの略。倫理や道徳に反した過度な嫌がらせのこと。相手に暴言を吐いたり、無視する、貶(けな)すといった行為が含まれる。

また、セクハラの加害者によっては「相手に拒否されなかった」といった理由で、自分のハラスメント行為を正当化しようとするケースがあります。要は「(相手が)嫌がっていなかったから問題ないと思った」といった類の弁解です。

しかし、たとえ相手の拒絶がなかったとしても、すでに性的な言動自体がセクハラであるとした最高裁の判例があります。

つまり、相手が拒絶の意思を示していないからといって、これまで説明してきたような行為を行った場合、その時点でセクハラとして成立するわけです。

弁護士にセクハラ被害を相談するメリット

セクハラで悩む今現在、あなたがこれまで説明してきたようなセクハラ行為を受けているならば、それが直接の上司の場合は、さらにその上司に相談するなどして早急に対応する必要があります。

それでも改善の見込みがない、あるいは相談しても無駄だと感じる場合は、信頼のおける弁護士に現状を説明し、必要な対応をしていきましょう。

一人で悩んでいても問題は解決しませんから、積極的に専門家の力を借りることを強くおすすめします。

特に弁護士に相談するメリットとしては、次の点が挙げられます。

自分の代わりに会社と交渉してくれる

自分だけでセクハラ被害を会社に訴えても、社員からのクレーム程度にしか考えてもらえないケースはたくさんあります。

そこで弁護士を間に立てることにより、法的な視点を交えて対等な交渉ができるようになるため、会社側も話を聞いてくれる可能性が高くなります。

また、過度のセクハラにより警察に被害届を出すような場合でも、弁護士ならば加害者のどういう行為がどういった犯罪になるかがわかりますから、その後の警察への対応も含めてスムーズにいくケースが多いです。

精神的なサポートをしてくれる

弁護士は法律の専門家というだけでなく、被害者の精神的なサポートもしてくれます。

親身に話を聞いて問題解決のサポートをしてくれるので、周りには話せないようなことでも、弁護士ならばしっかり耳を傾けてくれますし、周囲に話が漏れるということもありませんから、安心して話をすることができます。

なお、セクハラをはじめとして、さまざまな犯罪行為に対して弁護士に相談するメリットや優秀な弁護士の選び方など、以下の記事で詳しく説明しています。こちらも参考にしてください。

慰謝料の請求がスムーズになる

セクハラによって精神が不安定になったり、場合によっては、うつ病やパニック傷害といった病気にかかってしまうこともあります。

そうなると、加害者に慰謝料を請求したいと考えるのは当然のことといえるでしょう。

しかし、自分だけで慰謝料請求するとなると、それを相手に内容証明郵便などで伝える必要がありますし、相手が納得しない場合は訴訟となる可能性もあり、どうしても負担が大きくなってしまいます。

内容証明とは

内容証明とは、「誰が誰に、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」を郵便局が公的に証明してくれる郵便のこと。

慰謝料の請求など重要な内容の送付に使われ、内容がしっかりと記録されるため、相手側が「受け取っていない」といった言い訳ができなくなります。

そういった場合でも、弁護士ならば被害者に代わって慰謝料の請求を行ってくれますし、相手との交渉も行ってくれます。

特に日常的にセクハラをするような相手は、被害者が自分で交渉しようとしても相手にしなかったり、場合によっては逆に恫喝などしてくる可能性もあります。

しかし、弁護士が相手の場合、事が大きくなることを恐れて話を聞いてくれるケースがほとんどですし、相手が承諾せずに訴訟となった場合でも、そのまま手続きを任せることができるため、負担が軽くなります。

セクハラ被害を弁護士に相談する際にすべきこと

それでは、セクハラ被害を弁護士に相談する際に、あらかじめやっておくべきことについて説明します。

以下の事前準備をしっかりしておけば、相談がスムーズにいくだけでなく、弁護士も動きやすくなります。

セクハラ被害の証拠を集めておく

セクハラの証拠集めもっとも重要なのは、セクハラの被害に遭った証拠を集めておくことです。

セクハラの場合、相手の言動が問題になるケースがほとんどなので、なかなか物的な証拠が残るということはありません。

ですが、相手の発言を録音したり、セクハラに該当するメールやSNSでの発言などの履歴を残しておくことはできます。

実際に遭ったセクハラの内容やその日時を詳細に記録しておくのもよいでしょう。

身体を触られるなどの直接的な被害に遭っている場合は、その様子を収めた動画などが用意できれば、非常に強力な証拠となります。

重要なのは、どんな些細な証拠であっても残しておくことです。

弁護士に相談すれば、それがどれほど有効かを判断できますから、使えるものは何でも使うという意識で、さまざまな証拠を集めましょう。

どういう解決を望んでいるのか自分なりに整理する

セクハラの解決といっても、実際にはさまざまなパターンがあり、被害者自身がどういう解決を望んでいるのかによって必要な対応が変わってきます。

たとえば、相手のセクハラ行為がなくなれば解決で構わないと考えていて、これまで通り仕事を続けたいと思っているならば、弁護士を通じて会社と交渉して、これ以上の被害を出さない体制にしてもらうよう働きかけることになるでしょう。

あるいは加害者と違った職場に移りたい場合は、部署を変えてもらうか、加害者を別の部署に異動させてもらうなどの要望を出すことになるはずです。

セクハラ被害を引き起こした会社を辞めて損害賠償を請求したい場合は、必要な証拠を集めて会社側と交渉し、場合によっては訴訟をすることになります。

このように、解決パターンによって必要なアプローチが変わってきますから、自分なりに整理したうえで、弁護士と話し合ってベストな選択をしましょう。

職場でセクハラ被害に遭ったら、すぐに弁護士に相談しよう

主に職場でのセクハラの実態と、被害に遭った場合の対応について解説しました。

最近では企業もセクハラなどの問題が起こるのを恐れ、そういった被害が起こらない体制を模索していますが、それでもなかなか被害がなくならないのが実態です。「

被害を訴えたら不利な扱いをされるかもしれない」と感じて、我慢し続けている人は少なくありません。

しかし、加害者の立場や言い分はどうあれ、性的な言動や相手に不快感を与える言動は、被害者側が拒絶しなかったとしてもセクハラであることは間違いありません。

今現在、そういった被害に遭っているなら、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

相手の言動がセクハラなのか判断できないという場合でも、初回の相談は無料でしてくれる弁護士や法律事務所も多いですから、ぜひ積極的に利用しましょう。

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